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第2話:現状確認・名前はアルトリウス

説明会。

名前いっぱい出てきます。

一応あとがきで纏めます。

今回と次回は説明ばかりでつまらないかもしれません。4話あたりから登場人物が増え、少しずつ物語の雰囲気がつかめると思います(願望)。


 どうやら俺は通り魔に刺され、絶命した後、転生したようだった。

 前に寝てからどれくらいの時間が経ったか分からないが、ある程度、自分の状況を把握できた。


 まず、目は殆どみえない。

 いや見えてはいるのだが、上手く焦点が合わず、ぼやけて見えてしまう。

 せいぜい『まぶしい』、『暗い』などの明暗しかわからない。


 逆に耳はある程度聞こえるようだ。

 もっとも、周囲で話されている言葉は日本語ではなかったので何を言っているかはさっぱり分からない。

 ただ、『アルトリウス』、『アル』という単語は頻繁に聞くので、ひょっとしたら俺の名前なのかもしれない。


 続いて『触覚』も認識することが出来る。

 というか、自分が今『何をしているか』、『何をされているか』はほとんど触覚によって判断している。

 例えば―――おそらく今俺は、ベッドの上に寝かしつけられているが、これは背中に感じるベッドの質感から読み取っている。


 触覚ほどではないが『嗅覚』と『味覚』も多少あるようだ。

 頻繁に飲まされているほのかに甘い液体は母乳だと思う。


 そして、この体は非常に眠くなりやすい、何かするたびにすぐ睡魔が襲う。


 母乳を飲んでは寝て、オムツを替えてもらっては寝て、抱っこされては寝て。


 まだ体をうまく動かせず、特段やりたいことも無いので、寝るのは特に苦にならないが、寝小便はいつまでたってもなれないものである。


 考えているうちにまた眠くなってきた。


 まだまだ分からないことは多いが、ここは睡眠欲に従うことにしよう・・・。


● ● ● ●


 どれほど経ったころだろうか、ようやく目で物をしっかりと認識できるようになった。


 やはり、視覚が使えると色々なことが判るようになる。


 例えば俺は今ある人物に抱っこされているが、これは恐らく俺の母親に当たる人物だ。

 西洋風の整った顔立ちの女性で、長いブロンドの髪を後ろで縛っている。


 俺の顔を覗き込みながら何か話しているが、やはりあまり理解できない。


 俺自身はまだ歯も生えておらず、ろくに喋れないが、たまに「アー」とかいうとこの女性はものすごく喜ぶ。


 父親は実はあまり見たことが無い。仕事が忙しいようで帰りが遅いのだ。

 見た目は20代前半といった所のやや真面目そうな男性で、たまに俺の定位置である小さいベッドに来ると、慣れぬ手つきで抱っこしてくれる。


 そしてこの家には、この両親の他にも何人か人間が存在する。


 30代ほどに見える男性と女性、そして前世で言うと幼稚園児くらいであろう少女と、よく俺の隣のベッドで寝かされている赤ん坊だ。


 男性と女性はこの家の使用人のようなもので、少女と赤ん坊は彼らの子供のようだ。


 少女は遊び盛りなのかあまり家にはおらず、会う機会が少ないが、他の人物はよく見かける。


 使用人達は、俺の両親がいないときや忙しい時に世話をしてくれる。

 といっても、ほとんどは女性の方だが。

 彼女は少しふくよかな優しそうな人で、いつもメイド服のような物を着ている。

 俺と自分の子供を分け隔てなく接してくれるし、子育てに慣れているのか、色々な所作が速いうえに丁寧だ。

 オムツの替えなどは実の母よりも、この女性にやってもらったほうがしっくりくる。

 

 男性の方は、俺の父の仕事によくついていっているようだ。秘書のようなものだろうか?


 赤ん坊に至っては、ほぼ毎日隣でお昼寝をしているのでもう見慣れたものだ。



 また、最近では外に連れ出されることも多くなった。


 それでようやくわかったのだが、俺が転生したここは、現代ではない。それどころか――――俺の知っている世界とは全く違う別の世界である可能性が高い。

 

 家はほとんどが西洋風の石造りで、道は舗装されてはいるが、コンクリートではなく土や砂がむき出しであり、また、走っているのも車ではなく馬車が殆どだ。

 生活水準もほとんど中世の西洋そのまんまといったところだろうか


 しかし、それなのに、この世界には、所々中世の技術では説明できないようなものがある。


 例えば『呼び鈴』だ。


 呼び鈴と言えば、俺の前世だとボタンを押したらピンポーンと音が鳴るインターホンが当たり前であったが、まさにそのインターホンに近しいものが、俺の住む家にはあった。


 そう、玄関に設置されたベルを鳴らすと、屋敷中のすべての部屋にそのベルの音が鳴り響くのである。

 勿論、部屋の中にベルはないのにだ。


 まだベッドから出れないころは、いったい何の音かとびくびくしていたものだ。

 

 ともかく、少ないながらも俺のいた前世との違いや、不思議なことがいくつかあったのだ。

     

 ―――それにしてもえらいところにきてしまったな。


 正直、まだ自分が死んだこともあまり理解できていないのに、よりによって記憶を持ったまま転生してしまい、しかもその転生先は現代ではなく、異世界ときた。


 どんな原理でこのような現象が起きるのか、文系の俺には全く見当もつかないが、生前の世界でも稀に、前世の記憶を持ったまま生まれてきた人は存在したというし、もしかしたらあり得ない話ではないのかもしれない。


 まあ実際体験しているわけだし、俺は自分の目で見たものを信じるタイプの人間だ。 

 

 ともかく、再び人生をやり直すチャンスが与えられたのだとしたら、ひとまず喜んでおくことにしよう。


 もう前世のような終わり方はしないように―――。


● ● ● ●


 ようやく言葉を理解できるようになったのは俺に歯が生え始め、離乳食のようなものを食べさせられ始めたころだろうか。


 俺は生前、日本語と英語以外にも、ドイツ語やフランス語なども勉強し、簡単な文なら理解できる程度の語学力をもっていたのだが、ここの言葉を理解するにはとても時間がかかった。

 文法も単語も、生前のものとはまるで違うのである。


 ―――やはりここは生前の世界と全く違う異世界なのだ。


 この時点で、俺は暫定的にそう判断することにした。 


 さらに、言葉が分かると色々なことが分かるようになった。


 まず名前である。


 どうやら俺の名前は『アルトリウス・ウイン・バリアシオン』と言うらしい。

 大層な名前だが、この家の人間は「アル」「アル君」など省略して呼ぶことが多い。


 そして母親の名前は『アティア』。

 父親は『アピウス』というようだ。

 なぜか皆「ア」から始まる名前である。


 バリアシオン家はどうやら下級ではあるがこの国の貴族で、父親のアピウスは割と地位の高い公職についている。それが理由で、ある程度裕福な暮らしをしているらしい。

 たまにパーティーなどを開いて自宅に他の貴族を招待したり、もしくはパーティーに招待されることもあるようだ。


 俺はまだ歩けないので一部しか見ていないが、家もなかなかに広く、軽くかくれんぼができそうだ。


「あー、あうー」


 おっと、この声の主は俺ではなく、俺の隣で離乳食を食べている使用人夫妻の次女『リュデ』だ。


 リュデは俺と同じ時期に生まれたらしく、殆ど一緒に育てられている。

 亜麻色の髪の小柄な子だ。

 

 ちなみに、一応使用人といったが、彼らは正確に言うなら使用人ではなく《奴隷》であるらしい。


 うちの家―――バリアシオン家では、彼ら《奴隷》を雇って、それらを使用人として従事させているようだ。


 なんでも、この世界の貴族は、一家まるごと奴隷を購入して、その面倒を見る代わりに家事や育児を任すことがあるらしい。

 そして奴隷一家の子供を自分の子供と一緒に育てて、自分の子供に交友経験を積ませるのだとか。

 もちろん呼び方は奴隷ではあるが、生前の世界の海外映画とかでよく見るような、鎖につながれて鞭をたたかれるという奴隷はそれほどいないらしく、少なくともこのバリアシオン家では真っ当な扱いを受けている。

 雇用主と被雇用者という感じだ。



「ほーら、リュデ、こぼれてますよー」


 リュデが声を発したせいで口からこぼれてきた離乳食を拭いているのは彼女の母親で、この家の使用人の女性、メイド服を着た『チータ』だ。


「アル坊ちゃんは、行儀が良くていいですね」


 チータは隣で離乳食を俺に食べさせている我が母アティアに話しかけている。


「そうね~、アルは昔から全然泣かないし、手が掛からないのよね」


 そういいながらアティアはスプーンを俺の口元に運ぶ。


 離乳食はそんなに美味しくないのであまり食べたくないのだが、かといってミルクだけだと腹が膨れない。

 俺はされるがままに母から餌付けされていた。 


「たしかに、夜泣きも少なかったし、育てるのは楽かもしれないけど、でもちょっと寂しいかな~とか思うこともあるのよ?」


 おいおい、せっかく人が気を使ってきたのにひどいな。


 まだ俺は自分で体を動かして何かをするということはできない。

 そのため生活のほとんどはアティアやチータの世話になっているのだが、不可抗力とはいえ、いい大人として流石に申し訳ないので、なるべく迷惑を掛けないよう、行儀よく接してきたつもりだ。


「なんかもう言葉を理解している節があるし・・・」


 おっと、ちょっと不機嫌な顔をしてしまっていたのか、言葉が理解できることが見抜かれそうになっていた。

 なかなか鋭い母である。


「まあまあ、手が掛からないのはいいことではありませんか。夜泣きなんて、母親からしたら寝不足の元ですし。」


「まあそれもそうね」


 チータの言葉でアティアは納得したようであったが、それにしても不思議な感覚だ。


 アティアはおそらく20代前半の若妻であり、生前の俺より年下に当たる。


 つまり俺は年下人妻に離乳食を食べさせてもらっていることになる。

 俺自身にそういう性癖は無いがまさか自分が離乳食プレイを体験することになるとは夢にも思わなかった。

 まあもう慣れたけどね。


 ちなみに俺が言語を理解しているということは一応秘密にしてある。


 発声のほうも誰もいないときに練習して、簡単な言葉なら話せるようになっているのだが、これもまだ誰にもばれていないはずだ。


 1歳児が言葉を喋ったなんて、生前の世界では大スクープだし、マスコミや研究者など、色んな人が訪ねて来てとても面倒だ。


 この世界にマスコミがあるかはともかく、余計な荒波は立てたくないので、ちょうどいい時が来るまで言葉を喋ることは隠しておくことにしたのだ。


「それにしてもこの子、やけにおっぱい吸うのうまかったのよね。普通、赤ちゃんって最初上手く吸えなくて大変じゃない?」


 突然アティアが暴言にも似たことを口走るが、弁明させてほしい。


 赤ちゃんが、最初うまく乳を吸えないということなど知らなかったのだ。

 普通に目の前に乳首があったら吸うに決まっているだろう。


 まあ全く下心が無いと言えばウソになるが・・・。


「ふふふっ、もしかしたら将来は凄くエッチな子に育つのかもしれませんね」


 チータは小さく笑うと、俺の将来に不名誉な予想をたてていた。


 ・・・・・・まあともかく、俺の第二の人生は、予想外の展望を迎えることになりそうだ。


 不安なこともたくさんあるが、ひとまず命があることに感謝をしたいと思う。



主人公=アルトリウス

母=アティア

父=アピウス

メイド=チータ

隣で寝てる子=リュデ


ありがとうございました。


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