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異世界転生変奏曲~転生したので剣と魔法を極めます~  作者: Moscow mule
第三章 学校へ行こう・出会い編
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第19話:助けて先生!

 少しタイトルをいじりました。

 なろうっぽさ出していきましょう。

「おや、あげた髪留め、つけて来てくれてるんだな」


 教室につくなり、ヒナがつけている髪留めが目に入った。

 俺が先日あげたものだ。


「せっかく貰ったんだもの。つけないと損でしょ? それに―――ううん、なんでもないわ」


 ヒナはなにか言いかけたが口をつぐむ。


 まあ付けてきたということは、俺のセンスも悪くないということだな。

 うん、似合ってるし。

 家に招待してよかった。


 エトナとは一悶着あったが、やはり同年代で対等に話ができる友人というのは貴重だ。


 今度はリュデも交えて古代文学の話なんかに花を咲かせたい。

 ヒナとは今後とも仲良くやって行こう。


 それにしても、現在は魔法学の授業を受けているのだが、このつまらなさは異常だ。


 もう入学から半年以上経つのに、教える魔法は初級の初級ばかり。

 というか、そもそも半年間、魔法の発動どころか、魔力を引き出すための《瞑想》というのをやらされていた。


 《瞑想》というのは、心を無にして、ひたすら内にある血液の流れや、心臓の鼓動などに神経を集中させ、魔力の流れを感じる訓練であるらしい。


 これを続けて行くと、次第に魔力の存在を認識できるようになり、魔法の使用ができるようになるようだ。


『《瞑想》は一応効果はありますが、時間もかかり、とても効率の悪い訓練です。まあ家庭教師と違って学校でマンツーマンで《同期》などするのは、公平の観点からしても色々問題が出てしまうので仕方がない部分もあるのですが』


 イリティアが以前そのようなことを言っていた気がする。


 俺はイリティアに《同期》をしてもらうことによって、魔力を引き出して貰ったようなものだが、学校の教師が生徒一人一人にそれをやるのはおそらく、相当の負担がかかるのだろう。


 やろうと思ったら軽い流血沙汰だし、教師の負担以前に、不特定多数と血を混ぜるなんて流石にね。

 なにせ1クラス100人もいるのだから。 


 しかし、《瞑想》でも半年も経てばクラスの半数は魔力が発現するあたり、あながち間違った方法ではないのかもしれない。


 まあ魔力が発動しても、それで魔法を使えるわけではないというのが魔道の非情なところだ。


「『憤怒と情熱の火の精霊よ! その燃え盛る炎の吐息を、我が手に貸し付け給え!《炎球(ファイヤーボール)》』!!」


 ・・・・シーン。


「くそおおおお」


 俺の後ろの席でも、魔力が発現したのにイメージが出来ず、詠唱を用いても魔法の発動ができない奴がいる。

 多くの人間がこんな感じなので、別段珍しい光景でもない。


「うぬぬ・・・・」


 隣の席ではヒナが険しい表情をしながら右手とにらめっこしている。

 魔力が流れているのは見えるので魔法を発動させるつもりのようだが…


「ミロティック、《魔力神経》もないのに、無詠唱の魔法は流石に無理があるんじゃないか?」


「うるさいわね、貴方は無詠唱でできるじゃないの」


「だから俺は《魔力神経》があるから・・・」


 偶然だけどね。


「理論上はなくても可能なの!」


 そう言ってヒナは無詠唱魔法の練習をしている。

 

 このように、俺もヒナも基本的に魔法学の授業は暇なので、他のことをしている事が多い。


 もっぱらヒナは無詠唱の魔法の練習。


 俺は新しい魔法の研究だろうか。

 最近は闇属性魔法の一種で、《重力魔法》の詠唱文を新たに発見した。『魔法書』に書かれていない詠唱文は貴重である。もっぱらこれの習得が現在の課題だ。

 『魔法書』と違って効果の説明は見つけられなかったので、どれくらいの規模の魔法かは分からないが、これを極めれば、もしかすると空を飛ぶこともできるかもしれない。


 上級生になるとゼミに入る事が出来るようなので、できればこういった魔法の研究をするゼミに入りたい。


 また、最近では、以前俺がヒナに貸しを作る原因になった『ルシウス・ザーレボルド』についても一応軽く調査を開始している。

 《重力魔法》についてもその調査の過程で存在を知ったものだ。


 結果はあまりでていない。


 あの後、一度だけヒナを連れて図書室にいき、例の偉人伝を開いてみた。

 ヒナを連れて行ったのは、また以前のように倒れたら助けてもらうためである。

 まあ彼女には探したい本があるから手伝ってもらうということで来て貰ったのだが。


 しかし、今回は特に死のフラッシュバックが来ることはなかった。


 『偉人伝』には、前と同じ文面と、俺を殺した男の肖像画が載っているだけであった。


 その後も何度か図書室に足を運び、ルシウス・ザーレボルドに関連してそうな文献を読んだが、特に偉人伝に書いてあること以上の情報は得られなかった。


「ルシウス・ザーレボルド? ああ、確か闇属性の権威だったかな。闇属性魔法に関してなら有史以来3本の指に入る使い手だったそうだが、あまり詳しいことはわからないかな。たしか晩年は《失伝魔法》を研究していたらしいが・・・」


 魔法学や歴史学の先生にも聞いてみたが、やはりその程度の事しかわからなかった。

 今の俺にはこれ以上調べる手段が無かったので、ルシウス・ザーレボルドについてはひとまず諦めることにした。


 そして、魔法とは全く関係がないのだが、最近では問題がもう一つある。


 エトナのことだ。


 ヒナをバリアシオン家に招いた日以来、俺とエトナはほとんど口を聞いていない。


「アル君がそのつもりなら、こっちにも考えがあるんだから」


 あの時、俺にそう耳打ちして、彼女は、自分に告白して来たという先輩と一緒に帰ったらしい。


 最近は、その先輩と思われる人物と歩いているところとすれ違う事も多い。


 そういう時に限って俺はヒナと2人で歩いていたりするので、エトナはこちらに気づくと


「ふんっ」


 と言った感じで無視して通り過ぎる。




「アル、最近エトナが過去に見ないほど不機嫌なんだが、お前何かしたか?」


 カインまで心配して俺のクラスにやって来た。


「いや、痴情のもつれというか、男の甲斐性というか・・・・」


「よくわかんないこと言ってないでさー、あいつが機嫌悪いと俺が殴られるんだ。早くなんとかしてくれ・・・・」


 カインはげんなりした表情で嘆く。


 しかしそんなことを言われてもだ。


 俺はエトナと正式に付き合っているわけでもないし、だからといって、ヒナとどうこうするというわけでもない。


 少なくとも、今の俺に特定の誰か恋人を作るという考えはない。

 俺の体の年齢は、前世に換算すれば小学2年生なのだ。

 正直、この世界の子供がマセすぎなのだ。


 そういうことは普段から言っているつもりなんだがな。


 そんなことを考えながら家に帰ると、イリティアからの手紙が届いていた。

 学校に入学してから、イリティアとは度々手紙のやり取りをしている。

 大抵、世間話や近況の報告、魔法の話などだ。


 先日は、ルシウス・ザーレボルドについての手紙も送ったのだが、やはりイリティアも名前くらいしか知らないようだった。


 俺は迷った結果、敬愛する恩師にエトナのことについて相談することにした。


 手紙を書いて、リリスに持たせる。


「配送屋へ頼みます。なるべく速達便で。イリティア先生宛てです」


「はい、届けてまいります」


 そう言うとリリスは小さく礼をして、家の外に出て行った。

 買い物に行くというから、そのついでだ。


 リリスも俺からしたら随分大人っぽいお姉さんだ。もちろん前世も換算すればガキだが、この国の成人は早い。もう3年ほどすればリリスも成人だ。

 

 リリスにはアイファとアランがよくなついている。

 俺が生まれたときはまだ4歳だったリリスも、アイファ達が生まれたときはもう8歳だ。自ら率先して子供たちの面倒をみたようだ。

 俺が修業に明け暮れてあまり面倒を見られないこともあり、リリスはよく妹弟の面倒を見てくれた。

 いずれ何かお礼をしよう。


 ちなみに配送屋というのは、遠地に物を届ける仕事をしている業者で、郵便も請け負っている。

 手紙専門の配送屋ならスピード重視で速達便がある。少し金はかかるが。


 おそらくここ、首都ヤヌスからイリティアのいるマニアまでは馬で2週間ほど。

 手紙が帰ってくるのは1か月ほどは後だろうか。


 俺は悶々とした気持ちで返信が来るのを待っていた。


 学校では、しきりに隣の席のヒナが、


「大丈夫? 顔色悪いわよ」


 と心配してくれていたが、大丈夫だ。

 彼女にも一因はあったので事情は説明していない。


 思ったより早くイリティアの返信が届いた。


 俺は急いで自分の部屋に戻り、手紙を開く。


『拝啓 アルトリウス・ウイン・バリアシオン様。

 お久しぶりです。手紙は拝見させてもらいました。

 私の愛弟子は、異性にとても人気なようで、私は師として誇らしく思います。

 相談された件ですが、エトナさんは別にアルのことを嫌いになったのではなく、好きだからこそ、他の子と仲良くするアルに嫉妬してしまったんでしょう。

 なので、告白してきた先輩と一緒にいるのは、アルに対する対抗心からではないでしょうか。

 エトナさんは異性としてはともかく、アルにとっては大切な友人のようですし、一度2人できちんと話し合った方が良いと思います。

 アルの、正直な気持ちを伝えてあげて下さい。


 イリティア・インティライミより。


 ps.重婚は大貴族の嗜みの一つです』


「・・・・・・」


 ―――重婚⁉︎


 考えたこともなかったが、この国には重婚があるのか?

 そんな文献見たことないが。


「いや、ていうか先生、子供にそんな事を教えるなよ!」


 おっと、思わず声に出てしまった。


 それにしてもなるほど、重婚はともかく、一度きちんと話しあうべきではあるな。

 俺にとってエトナは数少ない大切な友人だ。

 こんなことで失うわけにはいかない。


 次の日、俺はカインに、エトナ宛ての手紙を持たせた。


 ちなみに、調べたところ、重婚は違法だが、大貴族は隠れてやっているらしい。


 いや違法かよ!?





 闇属性魔法は便利魔法が多いですが、効果の説明がよくわからないので、あまりアルトリウスも習得していません。念のため詠唱文は暗記しています。


 読んでくださり、ありがとうございました。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 基本的に前世に拘ってる奴が多すぎてチャンチャラおかしい。嫁子供恋人が居てどうしても戻りたいなら時空間魔法極めて亜空間?異空間?転移すればいいけどさ。死んだ上に待ち人すらいないなら役立つ知識を…
2019/12/11 16:52 退会済み
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