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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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初めて訪ねたクワ村

お兄さまたちあてに手紙を書いて五日。そろそろ届いたかしら?まだかしら?なんて思っていたらお父さまが夕食の後で

「明日は近くの村、クワ村に私とアルテは視察に行く。馬車で行くからレティも一緒に行くかい?」

とおっしゃいました。勿論一緒に行きたいです!

「誘ってくださってありがとうございます!どうぞ私も連れて行ってくださいませ!」

思わずお父さまの膝に飛びつきました。お隣にいらしたお母さまが私の頭を撫でてくださって。

お父さまが私を抱き上げて、お母さまとお顔を見合わせて頷いて。

「ならば決まりだ。ではレティ、今日は少し早めに休みなさい。明日が楽しみだな。」

そうおっしゃって私を抱いたまま寝室へ連れて行ってくださいました。


侍女のエイダとラーナに寝支度を整えてもらっておやすみなさいです。

でもわくわくしてなかなか寝つけません!早く眠る、なんて、無…理…ぐう………。


翌日。お父さまとお母さまは午前中はお仕事。私はエイダにご本を読んでもらったり文字の練習をしたり。

少し早めのお昼ごはんをいただいて、皆で馬車に乗ってクワ村へ出発しました。

ガタゴト揺れはしたけれど、お父さまやお母さまと楽しくお話をしながらだったせいか馬車に酔うこともなく。あっという間にクワ村に着いた気がします。


村長さんのお家にお父さまとお母さまはお仕事の為に入られました。私は村長さんの娘さんのダナさんに村を案内していただきます。ダナさんは十歳。ランバート兄さまと同じ歳で、ランバート兄さまと何度か会ったこともあるそうです。


村は秋の収穫がひと段落。秋に蒔く麦の種や野菜の種の用意をしている時期なのだそうです。

「では肥料や灰の鋤き込みで忙しいのではありませんか?」

「は?お嬢様は何を言っているのですか?」

「だって、畑は今まで野菜や麦を育てていたのでしょう?土の中にある、植物が育つ為に必要なものが土から野菜や麦に取られた分を補ってあげないと…」

私がダナさんにそう答えると、ダナさんは私を抱えて走るように村長さんのお家に帰りました。


「お父さん!」

「何だ、ダナ。領主様がおいでなのだ。静かに…」

「だって。お嬢様が」

「レティシアがどうか?怪我でもしましたか?」

「領主様。違います。実はここ数年、この村の麦や野菜の収穫が少しずつですが落ちているんです。」

「…今、そのことの報告を受けていましたわ。他の村でも起きているようなので心配しておりますの。」

「お嬢様が肥料という物や灰を畑の土に鋤き込むと良いと。植物は育つ為に必要な物を土から取っているので、それを補う必要があるとおっしゃったんです!」

「「「何?」」」

村長さんとお父さまお母さまが同時に立ち上がって私を見たのでびっくりしました。

「あの…」

私は腐葉土と堆肥の作り方、作る際の注意点、灰の利用など、庭師のリックにも教えたことを繰り返しました。果樹にも花をつける前と収穫した後に根の先の方の土を(根を傷つけないように)掘り返して肥料を埋めてあげると良いことも。

「早速やってみましょう。今回はとりあえず近くの林や森の腐葉土?を持って来て鋤き込んでみます。灰はカマドにいくらもありますから。」

村長さんがそう言いました。

後は大人たちに任せましょう?ダナさん、村の案内が途中です。どうぞよろしく。


クワ村は殆どが畑地で、馬は村長さんだけが二頭飼っていて、あとの家は牛を二頭ほど飼っているそうです。牛には農耕を手伝ってもらうので、お乳が出なくなることもあるのですって。

繁殖と農耕用に貸し出す為に牡牛ばかりを数頭飼っているお家も一軒あるようですけど…お乳用にヤギを飼ったらどうでしょうか?羊は群れにしないと飼いにくいけれど、ヤギなら一頭でも飼えましたよね?

ああでも羊のモコモコは素敵です。羊毛も欲しいですね…布にも毛糸にもなりますもの。あれ?カシミアってヤギでしたっけ?確か羊ではなかったと…ラマみたいなのはアルパカだったかしら?毛が長いヤギなのかな??こういうことの記憶はとても曖昧です。

あれ?記憶って…どういうこと⁉︎



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