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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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転送魔法陣

また王都に行って。帰って来ました。

王様やたまたま居合わせたヤルツァの前領主に引き留められて、二十日間ほどの、思ったより長い滞在になりました。

でもお父様とお母様と甥や姪たちに(それから懐かしい使用人たちにも)会えましたから、王都の家での生活は楽しかったです。たくさん皆に甘えてしまいました。

甥や姪たちには本を読んであげたり学校の話を聞いたりして。久しぶりのお姉さん気分を満喫です。


また王様に、宮廷魔術師に紹介していただきました。魔法陣に詳しい方を、という私の要望を叶えていただいて。

お会いしたのはテトナさんという、新しい魔法陣を勘案したり魔法陣を書くのを主な業務にしている方でした。 見た目は軽い巻き毛の黒髪と黒い瞳が綺麗で。素敵な方です。


私の書いた転送の魔法陣(送り手と受け手で二枚一組)を興味深そうに見てくださいました。

私が試したことの実例を紹介した後、実演しますと私が書いた魔法陣をすぐに書き写して試用し始めました。

そうして二人で意見を出したり相談したり。

十日間ほど魔法陣を書いては試して、書き直しては試して…を繰り返しました。


その結果、転送魔法陣は


生き物は送れない(切り花は死んだものと認識されるので送れるのだそうです。魔力を内蔵または放出しているかいないかの違いなんだとか)。

送る魔法陣の大きさまでの物が送れる。

送る物の高さは魔法陣の半径まで。

受け手側のフルネームと屋敷の場所を送り手側が把握していなければならない(大きさや高さがはみ出しても、フルネームと家が把握出来なくても物は送られず、そのまま残ります)。

受け取り側は魔法陣が書かれた紙をあらかじめ広げて、床か台の上にそれだけを置いて置く必要がある(受け取り側の魔法陣の上に既に何かが乗っていると送り手側の魔法陣の上の荷物がそのまま残ってしまう)。

というものになりました。


村長や商店(平民なので姓が無い)へはファーストネームと家や店の場所を把握していれば送れました。

ギルドへも同様で(ギルド長にファーストネームしかない場合でも)送りたい町のギルドの場所を把握していれば大丈夫でした。

でも王宮へ送りたい時は。例えば王様宛だと王のフルネームと王宮内の王の執務室の位置の両方を把握していないと送れませんでした。

そして補佐官や事務局長、王宮魔法師長など、長のつく役職で個人の執務室を持つ方も同様です。

その部下の方たちへ送るのもフルネームと所属部署の事務室の位置の把握が必要でした。

「王宮を小さな町みたいな認識を(魔法陣が)してるのかしら?人が何しろ沢山いるからね…」

とテトナさんは仰いました。

そうして私はテトナさんの名前でこの転送魔法陣を発表してもらうことに。

だって元の魔法陣を検証して改編して検証して改編して検証してくださって。

安全策を沢山考えてくださり、実用できるようになった時には私の考えた箇所なんて殆ど残らなかったんです(未熟でごめんなさい)。

でもテトナさんてば

「こういう魔法を思いつく発想力と、曲がりなりにも一人で完成することが出来たあなたはすごいのよ!」

と慰めて?くださいました。

安全策とか、何故この術式文が必要なのかとかをまるっきり考えつかなかった私なのに。


私が初めに作った小さな(直径三十センチほどの)魔法陣だと使う魔力はほんの僅かで済みますけれど、使いやすい魔法陣はその倍近いもの(直径五十センチくらい)になりそうです。

そうなると使用する際には初めのものの倍ではなく、三倍くらいの魔力量が必要になりました。

でも貴族なら大抵魔法師がいますし、平民でも一日に一度くらいならば使っても生活に支障が出ないくらいですよ、とこれはテトナさんの上司である魔法師長のコルテオさんが仰っていました。

これ以上大きくなると魔法師でなければ無理だと思われるとのこと。


コルテオさんのファミリーネームはマナムで。魔法学校で同じクラスだったハザムさんの叔父様なのだそうです。ハザムさんはコルテオさんに憧れて魔法師を目指したのではないでしょうか?

優しい眼差しの、でも底に厳しさを秘めた穏やかな方でした。


「ハザムから魔力量の制御を学生の頃に助けてくれた人だと聞いたよ。ハザムの婚約者エルティリーズからもあなたのことを聞いた。ハザム領はあなたの領地と離れているから、この転送魔法で物や手紙のやり取りだけでもしてくれると嬉しい。よろしく頼む。」

「こちらこそよろしくお願い申し上げます。僭越ですが、ハザムさんやリズ…エルティリーズさんへのご指導をどうぞ…」

「あなたは彼女をリズと呼んでいるのか。本当に親しかったのだな。二人は来月式を挙げた後、王宮に来る予定だそうだ。しばらく王都に滞在すると聞いているよ。その時二人が望めば喜んで指導することにしよう。…あなたもよかったら…」

「私は魔力量が少ないので、お二人の足を引っ張ってしまいます。それに、そろそろ領に戻らねばなりません。」

「残念だが仕方ないな。二人にはあなたからよろしくと言っていたことを伝えておこう。」

「ありがとうございます。失礼いたします。」


夏になる直前に王宮から発表された転移魔法陣は貴族だけでなくギルドや商店にも好評で。一時は生産が追いつかないくらいだったそうです。

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