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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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治癒魔法とポーションと…

大きな魔法を使えない普通の人でも、カマドとかストーブとかで薪を燃やす時の種火くらいは大抵魔法でつけられます。

小さい頃から見ているせいか、種火の魔法は覚えやすいようで、

「水や風魔法が苦手でも魔法で火をつけるのは得意なんだ。小さい火だから恐くないし。」

という自慢?は村の子どもたちからよく聞きました。私が領主の娘なのでそんな生活魔法とは無縁だと思っていたみたいです。

実際は私も料理をたまにさせてもらいましたし、刺繍やパッチワーク、編み物などもしていましたから、それらを洗ったり糊付けしたりもしていました。ですから糊を溶かす火魔法も、洗った物を乾かす風魔法もちょこちょこ使っていたのですけれど。


私は自分の魔力が溢れて困ったことがありません。だから多分魔力量は少ない方なのだと思います。

ただ、周りに助けられているような気がする時があります。そんな時は風の中に含まれる魔力や、草や木から微かに出ている魔力が協力してくれているのだと思っています。


ともあれ。治癒魔法も草木のエキスを抽出する魔法も

成功した方は生徒の中にはまだ一人もいないのです。

「元々治癒魔法の習得は素質も必要だから難しいのだよ。一方でエキスを抽出する魔法は必要な魔力が少な過ぎてかえって難しい。」

ハザムさんがそう言うと、アリアをはじめ、周りにいたクラスメイト皆が頷きました。

「教頭先生が『微妙で精密な魔力制御が必要』と仰ってたもの。レティには多分、そういうことが出来るスキルがあるのだと思うよ。」

アリアにはそう言われ。シールには

「大きな魔法をドン!とぶつける方が楽な私には向いてない。そしてこの学校には私みたいな人の方が絶対多い。」

と断言されました。

この学校で少ない魔力をちまちま使っているのはどうやら私だけのようです。何だか寂しいです。


薬草からエキスを抽出する魔法は、私が

「ポーションを作りたいけれど、薬草をその為に摘んで枯れさせたくなかった」

から出来た魔法です。ハチやチョウは蜜を吸っても花がすぐに枯れるわけではありません。その真似をすればあるいは…と思っただけ。

そうして薬草も薬木も私の思いをわかって喜んでくれました。木や草にアドバイスをもらいながら出来た魔法です。愛着がある魔法なのですが…。


ドール先生とキアン先生は最近エキス抽出魔法が使えるようになったそうです。ドール先生はたまに薬草を枯らしてしまいますけれど。魔法に慣れればきっと枯らす薬草は減っていくことでしょう。

ドール先生は教頭先生とポーションの作成とその効能の研究を、キアン先生は薬草だけでなく食用の野菜や果物からもエキスを抽出しては何か薬効がないかを調べているそうです。

医食同源という言葉が日本にも中国にもありましたから、何らかの薬効は見出されるのではないかしら。

ビタミンとかミネラルとかタンパク質とか炭水化物とか。あらそれって薬効というより栄養素に近いかしら?でも大切な知識のはずです。

確か未病という言葉を前世で聞いたような…


「失礼いたします。キアン先生。レティシアです。今、お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」

「レティシアさん。どうぞお入りください。このドアストッパーを床に置いて。そうすればドアは閉まりませんから。」

「ありがとうございます。あの、実は…」

私が知っている限り、栄養素とカロリーと健康の関係をキアン先生に話しました。先生は優しく頷きながら聞いてくださって、

「身体は食べた物の栄養素をあまり溜めておくことが出来ない。それで毎日必要な栄養素を過不足なく摂る必要があるとは興味深いです。実験は出来ませんが、冬に野菜や果物が不足すると確かに具合が悪いと訴える人が増えますし、夏の暑さで食欲不振になると身体が弱ります。この課題はもう少し深く研究する必要がありますね!」

と仰いました。


ついでのように私がつぶやいた言葉

「これで病気になる原因が一つでも減らせると嬉しいです。」

にキアン先生は食いつかれて

「食べ物以外にも病気の原因があるのですか?レティシアさん、あなたの知っている限りあげてください!ドール先生たちと検証しますから!」

と言われたものですから。バイキンのこと、伝染病の感染方法、傷が膿む原因、なども話すことに。でも検証とかどうするのでしょう?

…予防方法から検証していくのだそうです。それならすぐに結果が出るかも!


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