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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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楽しみにしましょう

ラミアス司教さまは深い茶色の波打った髪がお父さまにそっくり!と思ったら、お父さまの従兄弟だそうです。お祖父さまの弟の息子さんなんですって。


司教さまの目はお父さまの優しい灰色ではなくて茶色だけれど楽しそうに明るくて、私は大好き。

昨日いらして、約束した通りに歌の楽譜と竪琴を持って来てくださいました。そうして歌の練習だけでなく竪琴も教えてくださったの。楽しかった。

まだ私は小さいから高い声や低い声が上手く出ないんですって。喉を痛めないように無理してはいけない、って言われました。上手く歌えない理由はわかったけれど、ちょっとガッカリ。

でもあの楽しそうに笑うお顔で、

「大きくなる楽しみが増えたでしょう?それにその分竪琴の練習に身を入れたら、素晴らしい演奏が出来るようになるかもしれませんよ?」

って言われたら、そうねそうだわって思えたから不思議。大きくなる楽しみもいいわね。ちょっとずつでも出来ることが増えていくって素敵だわ。竪琴も貸していただいたし。毎日少しでも弾いてみましょう。


今度からしばらく、司教さまに竪琴の指導と神さまに関するご本を読んでもらうことになりました。読んでもらった後でわからないことがあったら司教さまに訊いても良いんですって。

それに、ご本に書いてある字を覚えたら、私一人でも読めるようになるわね。頑張りましょう!


お庭の草や木はこの頃機嫌が良いし、お花に蜜を吸いに来るチョウもハチたちも蜜がとても美味しくなって嬉しいって言ってる。もうすぐ実がなるイチゴはどうかしら?…鳥たちに食べ残してもらうように頼まなくちゃ。

厨房に行ってほんの少しだけアワとヒエ、それから果物や野菜の切りくずをいただく。端が欠けて使えなくなった古いお皿ももらって、お庭にアワとヒエと野菜の切りくずの入ったお皿を置いて鳥たちを呼ぶ。

そうしてイチゴのことをお願いした。…うん。そのかわりイチゴの実がある間はこんな風にご飯をあげるからね。

森の中に果樹を少し植えればそちらに食べに行くって本当?そうよね、人に追い回されるのは嫌よね。やっぱり。

うちの裏の森で良い?あそこは誰も入らないから。その向こうの山にもね。大丈夫。出来ると思うわ。

ではキイチゴとリンゴとオレンジと桑とブルーベリーと桃の木よ。山の中に生えて実をならせてちょうだいな。実がよくなるように間をあけて。でも実がなりやすいように何本か固まって生えてね。

これで良いと思うの。鳥さんたちよろしくね。

オリーブと柿も?わかったわ。はい。柿は甘柿にしておいたからね。ふうん。オリーブと柿の実があると冬越しが楽になるのね。


あ、そうなの?山の中に木が茂り過ぎていて、草が生えてこない所があるのは困るわねー。

大丈夫よ。うーんと。枯れそうな木を何本か取去って(もう充分生きたでしょ?子どもたちを大きく育てるにはあなたはもう…うん。綺麗な木材にするし枝や根っこは薪にするから。)、空いた穴を埋めて。灌木を植えて、土をかぶせて草の種を蒔いて。草さん、育って。あら、薬草や山菜がいっぱい生えてきたわね。じゃ、少しだけ食べられる草を…ケールやアブラナやクサイチゴやハーブ。

クコの木や野ばらやサンザシも?わあ素敵!ローズヒップ、欲しいなぁ。

ドングリの木がもう少しあればなぁって言うのは山にいるノネズミやリスさんたちなのね。繁殖をもう少し我慢してくれるなら。うん。年に三回か四回にするなら良いかな?…伝えてくれる?…うん、わかったって言ってくれたのね。それなら頑張ってみる。

クヌギにナラにシイね。あとブナも?え?栗とガマズミも欲しいって?

いいけど…それならもう何本か古い木を取り去らないといけないわね。良いかしら?…ありがとう!


はい。おしまい。これでしばらくは大丈夫。動物たちが住みやすい森になったはず。

材木や薪は無限収納にとりあえずしまっておけば良いわよね。うん。

今年のイチゴがちょっと楽しみになりました。







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