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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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朝の職員会議

授業開始の一時間ほど前、私はドール先生の研究室を訪ねました。

扉をノックすると「どうぞ」と返事がありましたので

「レティシアです。失礼いたします。」

と言って入室しました。勿論ドアは半分ほど開いたままです。


そうして、昨日アリアとシール、エリティリーズの古い魔力傷が私の魔法で治ったこと、治った理由について考えたことなどを先生に話しました。

「想像する力とそれを実現する魔力量ですか。確かにそれは魔法の基本です。」

「私はあまり魔法に詳しくありませんし、人の治癒を願ったのは昨日が初めてです。でも、古い傷が治ったことをアリアさんたちは大層喜んでくださいましたから、もしかしたら他の方も…」

「レティシアさん。僕にもあります。とても古い…かれこれ二十年以上前の魔力傷です。治せますか?」

そう言うとドール先生は左腕のシャツの袖を捲り上げました。そこには手首に引き攣ったミミズ腫れのような(アリアやシールに比べると)少し大きい傷痕がありました。

私は目をつぶってただ「よくなって」と念じました。そこだけではなく、身体全体がよくなるようにと。


しばらくして目を開けると。ドール先生が真剣な顔で私に訊きました。

「どんな治癒魔法を使ったのですか?この結果は…ありえない。」

「?ただ『よくなってください』と強く念じました。腕のその傷だけでなく、身体全体がよくなりますようにと。」

「それだけ?ですか??本当に???」

「はい。」


ドール先生は時計を見て、授業開始までまだ三十分以上余裕があるのを確認しました。

「レティシアさん。私と一緒に来てください。教頭にこのことを話しましょう。」

そう言って職員室に入ると、ヤルツァ教頭が席に着くところでした。

「教頭、こちらでしたか。」

ドール先生がそう言ってヤルツァ教頭に近づくと、今朝のことをドール先生が話しました。ヤルツァ教頭は大層驚いた様子で私を呼ぶと

「治癒のスキルがあるのではないかと、友人に言われたそうですね。実際魔力による古い傷を気にする人は多い。もし古い傷に対する治癒が出来るようになれば喜ばれるでしょう。」

と仰っいました。

それで私がこの魔法についてわかっていること、感じていることを話しましたら、ヤルツァ教頭は全教職員を呼ぶ為の呼び鈴を鳴らしました。これは魔力を込めて振ると全ての教室と研究室に音が聞こえて、教職員を集める為のものだそうです。


「朝の臨時職員会議を始めます。」

そうヤルツァ教頭が言って始まった会議は、会議というよりも実験会のようでした。

ドール先生が説明して、私がこの場でキアン先生の古い傷を治して見せた途端に先生方は治癒魔法が出来る先生を中心にして輪を作り、治癒魔法をかけてもらい始めました。

ドール先生は日頃から治癒魔法を研究しているせいかいち早く古傷の治癒魔法を習得しました。

ヤルツァ教頭は…「イメージが難しい」そうです…。

「治せないものと思い込んでいますからね。出来るようになるには時間がかかりそうです。」

ですって。

けれど私の方法で作るポーションを使うと、もしかしたら古い傷が癒せるかもしれないと仰っていました。そうだと嬉しいです。

「特に自分で作ったエキスから作ったポーションには自分の魔力が溶けていますから、自身の身体には効果が高くなるのではないかと思っています。」

そう仰ってヤルファ教頭は笑いました。

「私には魔力でつけた傷はありません。また今までは目立つところに傷が無い人はあまり気にしていないと思っていました。でも違ったんですね。こんなに先生方が熱心にこの魔法を習得しようとしています。きっと治したい人がいるのでしよう。自分も含めてね。」

「教頭先生、目立つところに傷のある方もいらっしゃるのですか?」

「身体から溢れる魔力によって出来る傷は手足に出来ることが多いようです。まれに首や顔にある人がいて、それは目立ちます。魔力が身体の中から皮膚を破って…大抵熱をもって溢れますからヤケドのようになります。出血自体は熱ですぐに止まりますし、傷もすぐふさがります。だから死亡するようなことはありません。まれにごく近くに人がいてケガをすることはありますが、熱湯の滴がかかった程度のごく軽いものが殆どで、大抵二、三日もすればそちらは完治します。ただ自分の魔力でつけたケガの場合、魔力が傷の上にしばらく留まることが多く、それが治癒魔法の効果を遮断してしまうのです。」

「それで傷痕が残ってしまっていたのですね。」

「はい。」


「レティシアさん。この治癒魔法はすぐに全生徒に伝えたく思います。そうして学校として王宮にも発表したい。あなたの名前で発表してもよろしいですか?」

「私の名前で発表しても…ドール先生と教頭先生のお名前で発表された方が信頼されると思います。よろしければそうしてください。」

「良いのですか?本当に?」

「この魔法は、本当に一日でも早く伝わって欲しいので。」

「…わかりました。」

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[気になる点] 「レティシアさん。僕にもあります。とても古い…かれこれ二十年以上前の魔力傷です。治せますか?」 レティシアは、治療に対して対価など求めないでしょうが、先生はそれではいけないでしょう。…
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