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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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そんなに驚かなくても…

翌日は事務室で教科書を受け取りました。

そしてノートに各教科書の要点を書き写すのに一日半かかりました。あ、食事は取りましたよ。でないとエイダにツノが生えますから。

薬草と魔法史に関しては館にあった本と大差が無くて良かったです。ユーマ先生と勉強した時のノートを持って来ていますので、書き写す手間が省けました。

ここの教科書は履修するとすぐに返却しなければなりませんから、出来るだけ筆写して手元に残しておきたいのです。

魔法に関しては座学より実習が主なので教科書が思ったより薄くて助かりました。


夕食までまだ二時間半くらいあります。

すっかり凝ってしまった肩と腕を回しながらこれからどうしようかと考え始めた時、部屋の扉がノックされました。

エイダが扉を開けて相手を確認します。

「お嬢様、お嬢様の担任になる男性教師の方だそうです。」

「では扉を少し開けたままで応対しましょう。」

「かしこまりました。」


「はじめまして。レティシアさん。僕はサルツ・ドール。この学校で薬草学と薬学を教えています。」

「はじめまして。」

「明日は九時から授業があります。教室の案内図を渡しますね。この、薬草学教室と書いてある部屋にいらしてください。そのあとは魔法実習棟…校舎を出たこちらの建物に移動します。実習が終わったら午前の授業は終わりですから食堂へ行ってください。

午後の授業は十三時から。こちらの魔法研究室で座学となります。午後の授業が始まる前に鐘がなりますから、それを聞いたら教室に入ってください。よろしいですか?」

ドール先生はその調子で平日のスケジュールを教えてくださいました。


この世界の一週間は七日。その内二日は休日です。

一ヶ月は二十八日。十二ヶ月で一年。うるう年、うるう月はありません。曜日の名前は地球の呼び名とほぼ同じです。


私は新しいノートに、週のスケジュールと使用する教室をメモしました。学期や生徒の習熟度によってスケジュールも教室も変わるそうですから。

書いたことにミスがないかをドール先生と確認します。間違いが無かったのでホッとしました。

エイダが私のメモを自分のノートに写し終わった時。ドール先生が

「あなたの作ったエキスを教頭から見せていただきました。どのようにあれを作ったのか、僕も見たいのです。よろしいでしょうか?」

とおっしゃいましたから

「はい。少々お待ちください。」

と答えて私は小さな竪琴とガラス瓶を三つ、リュックに入れて背負いました。昨日は歌いましたが、竪琴を弾いても同じことになりますし、弾く方が疲れませんから。


薬草園(畑とは呼ばないそうです)で昨日の魔法を使います。歌の代わりに竪琴を使いましたけれど。気持ちを乗せるだけなので竪琴の方が良いのだとドール先生に説明いたしました。

おかげで昨日より多くエキスが取れました。ドール先生にお渡しいたします。

でも。ドール先生は大層驚いた様子で。しばらく硬直なさってました。

…そんなに変な魔法でしょうか、これ。


「レティシアさん、質問をいくつかしても?」

「はい。もちろんです。」

「魔法でチョウを作って植物のエキスを集めているのは何故ですか?」

「一つの葉や花や実から取り過ぎないように、です。数時間もしたら回復する量…ごくごく僅かしか取りません。」

「エキスにあなたの魔力が混ざるのは?」

「チョウが溶ける時に混ざってしまうみたいです。私の魔力で作ったチョウなので。」

「竪琴を弾くのは?」

「竪琴でなくても歌でも良いですし、何もしなくても作れます。けれどこうした方が気持ちを魔力に乗せやすいんです。無理がないくらい、ほんのちょっとのエキスを分けてねって植物に心の中で話しかけながら魔力に乗せていますから。」

「無詠唱ということですか。」

「…よくわかりません。強く願うとそうなるんです。」

「あなたはきっと、イメージする力が強いのでしょうね。」

「そうかもしれません。」


他に使える魔法は?とドール先生に尋ねられました。

それにいくつかの魔法を挙げて答えるとドール先生の顔色が少し蒼ざめたような気がしましたけれど…

お疲れが出たのかしら?

「ドール先生?お疲れが出ましたか?よろしければ疲労回復の魔法をかけましょうか?」

そう私が尋ねますと、ドール先生は気をとり直したご様子で

「そうですね、お願い出来ますか。」

と答えられました。

それで疲労回復魔法をかけましたら、とても驚かれてしまいました。

…疲労回復魔法は病気を癒せません。

ただ本当に肩凝りや疲労による頭痛、腰痛、目の疲れがよくなるだけ。お仕事で疲れたお父さまお母さまの為に私が願って使えるようになった魔法です。

先ほど説明いたしましたのに。どうしてドール先生はこんなに驚いていらっしゃるのかしら?

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