魔法学校の入試
エラリナはうちの領地から馬車で十日ほどかかる、山がちな地方にある都市です。
そうして、優秀な魔法師の育成に力を入れている魔法学校は入学を随時受け付けていて、授業内容もフレキシブルなのだとか。
私はお父さまが書いた入学申し込み書類を手に、エラリナ魔法学校に向かいました。
司教であるラミアスおじさまと、私の侍女エイダ、そして衛士のエセルが付き添ってくれています。
「もし魔法学校が不合格になったら、神学校に入って欲しくてね。」
なんておじさまの冗談を聞きながらの馬車旅行。途中いくつかの村や町にある教会に泊まり、おじさまはそこの神官や司祭さまたちと何か会議?をしていました。
多分、おじさまにとってはそちらが本当の目的なのでしょうね。
十四日かかってエラリナに着きました。おじさまは教会へ。私たちは魔法学校へ行く前にギルドで宿を紹介してもらいました。
入学出来たら私は学校の学生寮に入って生活することになります(侍女のエイダと衛士のエセルも私のお付きとして寮の別室が与えられます)。
でも、入学が認められなければこの町の宿屋で一泊して領地に戻ることになりますから。
…そうしたら王都にある神学校に行こうかしら?
神学校の入試は夏にありますから、今からでも間に合うような気がします。
紹介された宿屋は学校のすぐ近く。これなら不合格でもすぐに部屋に入ってエイダに慰めてもらえますし、合格ならすぐに部屋を引き払えます。
ドキドキしながら学校の門番に入学申し込み書を見せると、門番の方は笑って
「書類に不備はありません。お入りください。合格すると良いですね。」
と声をかけてくださいました。
校舎に入ると受付があったのでそこでも入学申し込み書を提示しました。
すると受付のドアが開いて私たちを奥の事務室?に招きます。そのまた奥にソファと椅子とテーブルが置かれた応接室?がありました。
受付の方が
「書類を校長に届けて参ります。それまでお待ちください。従者の方は試験が終わるまでこの部屋でお待ちいただきます。」
と言って部屋を出て行きました。
この学校の入学試験ってどんなものなのかしら?
無事に合格出来ますように!
という不安を懸命に隠してエイダに
「この学校には制服があるのかしら?」
「薬草畑があると嬉しいのだけれど。」
とか、ポツポツ話しかけました。
「制服…一応目安がございます。女子の場合はグレーか臙脂のスカートもしくは同色のロングパンツですね。素材は自由ですし、地色がそれであればチェックやストライプ柄でも構いません。上着も同様です。シャツは淡い色であれば構わないそうです。ローブを羽織るならば紺かグレーだそうですよ。」
「ローブ…羽織る人もいらっしゃるのね…」
「ローブの裾には学校のマークのフクロウとヒイラギが刺繍されていて人気があります。」
「いかにも魔法使いという感じだわ。」
「フクロウは知恵の象徴、ヒイラギは知識の象徴ですからね。そうして薬草畑は…多分あるでしょうとしか…」
「ポーションとかを作るのならきっとあるわよね。」
話題がひと段落して、合格した場合の服の調達をどうするか話そうとした時にドアがノックされました。
「はい。どうぞ。」
返事をすると入って来たのは三十歳そこそこの少し神経質そうな感じの青年でした。
私が立ってカーテシーをすると彼は
「はじめまして。私はここの教頭をしておりますカイセ・ドゥエ・ヤルツァです。お見知りおきください。早速入学試験をしたいのでレティシアさん、私について来てください。従者の方はこちらにてしばらくお待ちいただきます。」
ヤルツァ教頭の少し後ろについて部屋を出ました。
廊下を歩きながら教頭が
「あなたの魔法を見せてください。それが試験です。校庭に出ますか?それとも校舎の裏手にある薬草畑を見ます?部屋をノックしようとした時に畑の話をされてましたよね?」
と尋ねられたので
「是非薬草畑にご案内くださいませ。」
と答えました。
薬草畑で私は私の魔法を教頭に披露いたしました。教頭はたいそう驚いた様子で、それでも入学試験に合格したことを宣言されました。




