両親と家庭教師の相談
「あー、それでレティのことなんだが。学校へ…行かせた方が良いんだろうなぁ…」
「領主様?レティシア様は学校へ入学しましても何の支障もございません。礼儀作法もダンスも、貴族の子女としての振舞いも。いささか出来過ぎるくらいです。特に竪琴と歌に関しましては…」
「ついでに言うと勉学もです。卒業試験にも合格しそうなくらいですからね。それにお嬢様は学校に行くのをそれは楽しみになさっておられます。」
「では、どこの学校に?」
「え?王都の女学校ではないのですか?」
「神学校か、魔法学園でも良いかもしれません。お嬢様の魔法には特別なものを感じます。」
「…あぁそういうことですか…。それならばレティシア様にお伺いして、希望する学校へ進ませればよろしいかと。」
「レティは学校で上手くやっていけると思うかい?」
「おっしゃる意味をわかりかねます。レティシア様は賢いだけでなく、お優しい上に明るいご性格をお持ちです。また礼儀もわきまえておられます。きっと良いご学友に恵まれることと思われます。」
「大丈夫だと思いますよ。お嬢様はしっかりしておられます。」
「わかった。ありがとう先生方。下がって良いよ。お疲れ様。」
「失礼いたします。」「ご無礼を。」
「アルテ。君はどう思う?」
「どう…って?レティの望みを叶えないと。でしょう?」
「大丈夫かな?何かやらかしそうな気がして…」
「うん。多分大丈夫。」
「どうしてそう思えるか、訊いても良いかい?」
「だって、レティはすごく守られているもの。…神様に。そう思わない?」
「悪い方へは進まない…のか?本当に?」
「きっと。それにね、学校に行かせないと周囲の貴族たちが黙っていないわよ。マイエルトやマルブルフにレティがしたことは知られているから…」
「え?マルブルフはともかく、マイエルトに?」
「キャシーの婚礼の時、歌ったじゃない。レティが作った歌を。あれが大評判だったのよ。レティがキャシーに贈った楽譜はキャシーが困惑するくらいに売れたのよ。」
「そうなのかい?」
「そうなの。だから新しい歌を欲しがっている人はきっと多いわ。マルブルフでのことだって。自分の領地に有益な何かを望む人はいるわよね。そんな優秀な娘を自領に閉じ込めたら…」
「あー俺たちが責められるか。」
「そういうこと。陰に回ってね。」
「でもなぁ。」
「そうして、あの子の意思に反することをすると天罰が下るのよね?」
「うっ。忘れてた。…おとなしくレティの希望を聞くとしよう。」
「レティ、君は優秀なので王都の貴族女学院、神学校、魔法学園のどれにでも入学出来るそうだ。私たちとしてはレティの望む学校に行かせたい。二、三日中に答えをくれるかな?」
「はい!一所懸命考えて答えを出しますね。」




