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天衣無縫なお嬢様  作者: 眠熊猫
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先生をお迎えして

お会いした翌日。ユーマ先生は私の館に引っ越していらっしゃいました。貴族の家庭教師(または養育係)というのは基本住み込みなのだそうです。

そういえばバート兄さまにも教師が二人、ついておられました。いつお家にお帰りになるのか、不思議で仕方がありませんでしたけれど、住み込みだったのですね。


私が朝ごはんをいただいて少し経つと(午前十時頃でしょうか)。ユーマ先生が私のいるところ(居間だったり自室だったり)にいらして、図書室に二人で参ります。

そこで午前中はご本を読んでいただいたり、自分で音読したり、本の文章をなぞったり。簡単な計算練習をしたりして過ごします。

お昼を挟んで午後からは竪琴の指導や、神さまのことを教えていただいたり、お庭を散歩してお話したりします。

私が疲れを感じてくると館の居間に戻って、ヨーグルトや果物をいただきます。そして身体に清潔魔法を侍女のエイダかラーナにかけてもらってお昼寝。


お昼寝の時点でユーマ先生とその日はお別れです。ユーマ先生は神官なのだから教会に行かなくて良いのですか?とお尋ねしたところ、私の養育係をしている間は神官の任を解かれているとのことでした。先生は笑って、

「後進の指導をする為の訓練として神官が貴族の子弟の養育係や家庭教師になるのはよくあることです。神職の昇進には色々な道がありますからレティシア様と過ごす年月が神官として無駄になることはありませんよ。」

とおっしゃいました。

あとは月に二度か三度、館から日帰りで行ける村へお父さまと一緒に出かけるようにもなりました。

村の子たちと遊んだり食べられる野草や山菜を摘んだりするのも楽しいです。

この前に行った時は生後半年の赤ちゃんを抱っこさせてもらえました。もう可愛くて可愛くて。


そうしてほどなく。もう一人養育係が増えました。今度は女性でソーニア・ドゥエラス先生。

ご主人と二人のお子様がいらっしゃるので私が昼寝から覚めた後から夕食までの三時間ほどを一緒に過ごします。

ソーニア先生はダンスやカーテシー、裁縫や刺繍を教えてくださいます。柔らかな優しい笑顔の先生です。おかげでお裁縫も刺繍も楽しくなりました。でも…パッチワークしたいです…多分私の中にいる、日本人だった盛元礼香さんはパッチワークキルトと編み物が趣味だったのでしょう。もう少し私が大きくなったら始めますからね。

怪我をしたくないので、針を使う時はとてもスローペースです。私が望むくらいのペースで針を動かせるようになったらパッチワークを始めようと思っています。

今、侍女やお母さまに頼んで、小さくなった服やシーツなどのまだ丈夫な部分を切り取って、大きな箱に入れてもらってますの。その箱には型紙代わりの板を庭師のサルトに切ってもらったものも大切に入っています。楽しみです。ベッドカバーを最初に作ることも決定してますから。


…ソーニア先生がいらして三ヶ月。私は六歳になりました。

お父さまもお母さまも、先生方も侍女たちも。皆からお祝いをいただいて、ご馳走を食べて。

私は眠りにつく前に、神さまに祈りました。

「神さま。よろしければ夢でお話してくださいませ。私、神さまにお尋ねしたいことがありますの。」

…今夜の夢でお会い出来ますでしょうか?


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