6話 裏切り者に気をつけろ
ケトスを走らせること数時間、特にこれといったこともなく二、三回魔物が襲ってきたがヤヅキが、馬に乗ったまま射殺したのでノンストップで、砂漠の街キャマティクルについた。
「おー、これがキャマティクルか、案外緑あるな」
「うん、確か今いるのが南門で、緑がある方。反対の北門周辺より北西は大きな砂漠、キャマティクル砂漠が広がっているよ」
「この街は邪人とか魔人が支配してないでふか? スフィラの行ったことある街は三回に一回くらいの割合で支配されてたでふよ」
「それは心配せんでもええんちゃうか? キャマティクルは、王都に一番近い大きな街や。支配されたらすぐ奪還作戦行うやろ」
「そ、それもそうでふね」
「よっしゃ、早く行こーぜ。行くぞセム!」
「了解、みんなも行くよー」
「おー!」「うん!」
ヤヅキ一行は南門から砂漠の都市に入ろうと、門の前まで行き、門番に止められていた。やけに兜を深く被った男だ。
「お前らは、何をしにこの街へ来た?」
「えっと、俺らはゆう──」「──ただの旅人です」
ここにきてやっとヤヅキは気づく、先程スフィラに勇者討伐に来たとは言うな。っと言われていたことに。
「……ただの旅人だな。よし、入っていいぞ」
門番が少し考えてから街に立ち入るのを許可する。それに伴い、町に入るヤヅキ。その耳元で門番が囁いた。「青髪の、裏切り者に気をつけろ」と。
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「これうまいな!もっと、砂みたいな味かと思った!」
「はい!なんかジュワーってなってホロホロでふ!」
今、二人が食べているのは、キャマティクル名物の砂魚だ。このキャマティクル砂漠にしか生息せず、砂魚と地下資源のおかげでこの街は潤っている。砂魚は、えら呼吸ではなく肺呼吸をおこなっており、また鰭がすべて石でできている。最大1メートルほどの大きさにもなる。
「はい、セムも食べてな」
「あ、ありがとう! うわぁおいしい!」
「だろ! やっぱり砂魚うまいな! 砂漠突っきて『ウェルミラ山』いくか」
ヤヅキの今の発言を聞いて、笑みをこぼした者が一人いたが、誰もそれに気づかなかった。
その後もいろいろあり、だいたいはヤヅキとスフィラが騒いだだけだが、宿の前についた。
「ここが今日止まる宿『砂丘荘』だ!」
「ふごー、めっちゃくちゃふごいでふね!」
「だろ?やっぱりでっかいとこは迫力あるわー」
砂丘荘は、この町で二番目に大きい宿で、夕食が豪華と、評判だ。外壁は砂のような色で、砂で作った宿というような見た目をしている。ヤヅキ達は、その入り口までの、石でできた道を歩いている。
「やっぱり、近くから見るとホンマにすごいなぁ〜。ウチ感動するわ。な?セム」
「ほんとだね。僕もすごくわくわくするよ、マリーナとこんなところに来れるなんて」
「おーい、いい感じの雰囲気やけど、そういうのは中でしてください」
「えっ、あっ、そうやね。せ、セムはよなか入ろー」
「う、うん」
セムとマリーナの雰囲気をぶち壊したヤヅキに促されマリーナを先頭にヤヅキ達は中に入り、手続きを行った。
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「部屋2つやけど、どうやって分ける? やっぱり、俺とセムがペアで、マリーナとスフィラがペアやんな?」
「ちょっとまって〜なぁ、ウチとセムは一緒やないん?」
「おまえ、いいお年頃の男女が二人おんなじ部屋とかありかよ!なしだよな? なぁ、スフィラ?」
「うん!駄目でふ。てことで、スフィラと、マリーナ姉さんが一緒で、ヤヅキとセム兄が一緒」
「はぁ〜、しゃーないなぁ……じゃっ、スフィラ一緒に行くで!」
「うん!ばいばーい」
「あぁ、また明日な!ばいばーい」
「マリーナ、おやすみ」
「おやすみー、セム」
マリーナとスフィラが、部屋に戻りヤヅキとセムは二人きりになった。部屋の扉を閉めてからヤヅキは、声を下げセムに門番に言われたことを話した。
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「う〜ん、青髪の裏切り者かぁ。考えたくないけど、スフィラの可能性もあるよね」
「そうなんだよ、俺たち全員じゃなくて俺だけに聞こえるように言ってたからな」
「うん、けどさ、もしほんとにスフィラが裏切り者だったら、なんであの門番が気付いたのか、ってことになるよね」
「だよなぁ、まぁ、明日からスフィラのことを見張っとけばいいか」
「マリーナが襲われたりしない?寝てるときとか」
「大丈夫だろ、俺達の中で一番強いのマリーナだし」
「それもそうか……もう遅いし今日は、寝よう」
「そうだな、おやすみ」
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「ごめん。けど、スフィラ達にも理由があるから……」