5話 戦いの果てに
ヤヅキの合図とともにいっせいに前え跳ぶ。セムが杖を掲げ叫ぶ。
「行くよ!〚エム・ヒャガ〛」
詠唱に合わせセムの周りに氷の矢が浮かび上がる。その数は約5つ。5つの氷の矢はスフィラを狙い弾け飛ぶ。
「わっ、〚イア・フラマ〛!!」
すかさず後方に飛び火系魔法で迎え撃つスフィラ。こちらの攻撃は威力を少なくすることで手数を増やしている。セムの放った氷の矢をスフィラの火炎が焼き捨てる。
だが、セムの攻撃はそこで終わらない。予め氷の矢が溶かされることを予想していたセムは、矢を放った刹那、凍える風を吹き付け、スフィラの足元にできている水たまりを彼女ごと凍らせた。
「うわっ足カチカチふる。でも、スフィラ負けないでふ〚メル・フラマ〛」
しかし、スフィラもさるもの。中級火系魔法を唱えることで、攻撃と同時に足元の氷を溶かすことも行う。サッと移動しスフィラが、多重詠唱を行う。
〚フラマ+ウィルド・エム〛
スフィラの火と風の同時攻撃がセムに降りかかる。そして──
「えっ……」
「僕の勝ちだね」
時間がかかるという多重詠唱の弱点を知っているセムが、魔法攻撃でなく、攻撃までに時間のかからない物理攻撃で、スフィラの喉元に杖、否、杖の先端に付くナイフを突きつけていたのだ。
その圧倒的とも言える、力の差にスフィラは、ぐうの音も出ない。だが、それは周りも同じことだ。今までのセムの動きではない。
「どうしたんだよセム!いつの間にかそんなに強くなってるとわな」
「すごいわ、やっぱりウチのセムは違うわ〜」
さらっと、セムは自分のものですよ発言をしたマリーナに、ヤヅキは、ツッコまない、というより諦めている。
「ま、負けたでふ……これじゃぁ、勇者を殺せない」
「勇者を殺すだと?」
スフィラの最後の言葉にヤヅキが過剰に反応する。そしてなぜこんなにも反応するのかを知ってるセムは、何も言わない。
「そうでふ。スフィラの家族や、友達はみんな勇者とその仲間に殺されたでふ……だから、勇者を殺さないといけないでふ」
「そうか、お前も勇者に。そうだよな、勇者は、殺さないといけないよな」
「ストップ、ストッープ。ヤヅキ感情的になりすぎだよ、愛勇教団にでも聞かれたらただじゃすまないよ」
感情的になったヤヅキをセムが落ち着かせる。その声でヤヅキも正気を取り戻す。
「そ、そうだな、すまねぇセム。だが、俺は決めた。スフィラは、連れて行く!」
「まっ、まってよ!僕が勝ったじゃないか、ならスフィラは来ないんじゃなかったの、僕にも負けたんだ!こんなこと言うのはどうかと思うけど言わせてもらうよ。スフィラは、足手まといになるよ!死ぬよ!僕は……もう……知り合いを失いたくない……」
「……セム、スフィラわな、きっと一人でも行くぞ。俺がスフィラの立場なら絶対にそうする。なら、一緒に行ったほうが生存率が高いんじゃないか?」
「う、う〜ん……きっとそやね。うん!やっぱり連れて行こー。スフィラも一緒に行きたいやんな〜?」
「うん!行きたいでふ!」
「うぅん……なら。ヤヅキ、君がスフィラを見るんだ、それなら僕も同意するよ」
ヤヅキは、セムの瞳に宿るその強い決意を見た。そして、
「あぁ、俺がスフィラのことを見よう。それでいいか?」
「うん!いいでふよー、というよりお願いするでふ」「ウチも世話するけどね」
そうして、新しい仲間、スフィラが加わった。そして、ヤヅキ一行は次の目的地。キャマティクル砂漠に向かった。
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新しく、スフィラがなかまになったなあ〜、はよキャマティクルいきたいわー。