3話 旅立ち
空が暁色に染まる朝、ヤヅキ一行いっこうは王城前の大広間で、国王から地図を渡され説明を受けていた。
「ここから東に向かって進むと大きな町、『キャマティクル』が、ある。その東側には、王国最大級の大きさを誇る砂漠、『キャマティクル砂漠』が広がっている。この砂漠はモンスターが多いが、さほど強いやつはいなかったはずだ。そして、砂漠を突っ切ると長い山脈が続いている。確か、山脈のどこかにドワーフ族の地下宮殿がある。そこを通れば山脈を簡単に抜けられるだろう。そこより先は、我も知らないんだ。すまない」
他にも、『ヴェルディアルの迷い森』の話や『ウェリメルタイガ大河』のに住まう四大龍よんだいりゅうの話。そして、この世界に古いにしえから、伝わる『九人の使徒』の話。いろいろな話を王は話した。そして──
「そろそろ時間だ、ヤヅキこれ持ってけ」
そう言われヤヅキが、投げ渡されたのは昨日作った銃剣だ。
「セムとマリーナは、これだな」
セムもマリーナも魔導師なので、二人とも杖を渡された。が、流石は元冒険者のボルガだ。杖の先端には短剣がくくりつけられている。だが、二人の意識は他のところにあって──
「わぁー、おそろいやないの‼うれしいー、セムと一緒なんて嬉しいわぁー、なぁ〜セム!」
「えっ、いや……まぁ……うん!」
セムは、歯切れが悪いが、最後に喜んでるのが丸わかりだ。それに、ずっと笑顔だ。
「どないしたん、セム。ほんまは嬉しいんやろ? そうやろ?」
「ちょっ、なんだよ、やめてくれよ。そんなんじゃないから」
笑顔が隠ししれていないと、セム以外、皆が思ってた。
──
─
「じゃあ、行ってくる!」
「あぁ、気おつけろ!三人とも旅の心得は覚えてるな!」
「「「友を大事に、逃げることも考えろ!」」」
「そうだ!気おつけてなー!!」
今、王国の、否、世界の運命を変えるために、三人の若者は旅立った。それぞれの思いを持って。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ポイント
ボルガは昔、一流冒険者だった。