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閑話②-1 共和国へ

この話書き上げたの、もう半年前くらい。

あげるのを完璧忘れてました。多少手直しも出来たのでちょうどよかったかも?


自由人達の冒険者業第五十話にて

アイ・タケヒト・ストが共和国へと戻る話?

時間は遡り、タケヒト達一行が王都を出発した昼過ぎ頃に戻る。あれから特に異常が起きることもなく、王都の貴重な水源の一つである河川に到着した。


「王女様は通ったことあるだろ?何せ共和国から王都へは大多数がここを通るからね。例外として後ろめたいことがあるやつは魔物ひしめく地下洞窟を通るけど。」


「ええ。仰る通り、このトマス川を渡りましたが王都はただ通行しただけでそのままポロローズに向かいました。」


これから三ヶ月近く旅を共にする予定なのに、アイの様子はどこか二人を警戒していて気を許してはいなそうだった。ストはそんなアイを見て打ち解けようとここにくる道中何度も話しかけたが、軽くあしらわれていた。


ストが懸命にアイのご機嫌をとろうとなっているときにタケヒトはずっと無言を貫いていた。トマス川に掛かっている対岸への橋は多くの商人達が行き交ってなかなか通れそうになく、それもあってか渡るタイミングを窺っていた。

強引に渡っては商人達が混乱して一時渋滞が起こるかもしれないし、全員通り終わるまで待ってるというのも日が暮れてしまう。最悪その可能性も充分ありえる話なので地図を広げて、近場にあるこちらの都合がいい村を探すことにした。もしや一泊するかもしれないからだ。


「え…?」


ストがアイと話をしても一向に反応が固いままなので、深くため息をついて目をつぶり、どうしたものかと悩んだ。

…再び目を開けるとアイの姿が消えていた。


「タケヒト!王女様が消えた!」


「は?お前が話しかけてたから、俺は集中して作業出来てたのに…。大方、便所にでも行ったんじゃないか?そこらの茂みに行って声かければ反応するさ。」


ストからいきなり見失ったと言われて驚き、地図から顔を上げたタケヒトだが、普通に考えて用を足しにいったと考えることにした。女性が大の男二人に対していちいち用を足しに行きたいとは言えない筈だろうと予測もしながら再び地図へと目を向けた。


「王女さま~?用を足すなら足すで恥ずかしくても言ってもらわないと困りますんで…。おれここにいますよ~?」


タケヒトに言われた通り、近くの茂みになるべく大きく声をかけたが反応がない。


「…?ちょいと失礼しますよ?」


失礼を承知で茂みを覗いたもののアイの姿がどこにも見えない。首をかしげてどこに行ったもんだと考えてたら、橋の方から何頭かの馬が啼く音がした。


「おいおい…まさか。」


橋の方へ駆け寄ると、馬車が大混雑してその多くの馬車の馬が暴走して手がつけられなくなっていた。数台の馬車の荷が川に落下して積み荷が流されてもいた。よくみると橋の中央に小太りの男が転がっていて外傷は無さそうなものの、胸を押さえ苦しんでいるようだ。


肝心のアイは向こう岸で、不機嫌そうにストとタケヒトを睨んで、まるで早く来いと行ってるようだった。


「タケヒト…。どうしようか。」


「ここは知らぬ存ぜぬで行こう。だが王女さまがまた呪いをぶっ放したようだからおっさんに緩和させる魔法をかけよう。いくらなんでもこれは無視するわけにゃいかん。」


「おい!あんたら…」


橋を渡って男の治療をしようと、側に駆け寄ると側にいた他の商人が何か言おうとしたので、金貨をちらつかせて少し黙らせる。


「すまんな。貴族のお嬢さんのワガママのせいでこんなことになって。すぐ立ち去るかわりといってはあれだが請求はギルドの方へ問い合わせてくれ。…全員分でいいし、多く見積もってもいい。」


「タケヒト、治療は済んだ。」


「すまん。近くにいたのが不運だと思ってくれ。後処理は任せた!」


急いで橋を渡り終えると、不機嫌そうにため息をついてる糞王女さまを担いで、急いでその場を離れる。橋からそう離れないうちに後ろから魔法や矢などの投擲武器の類が迫ってきた。


「うん、やっぱり怒ってるな。タケヒト…王国の法では故意に交通を渋滞させた場合はどうなるか王女さまに説明してくれ。」


「詳しい番号やら忘れたが、故意に渋滞を発生させるとその場にいた者たちで処遇を決めても構わない。最悪、殺してしまっても構わない。…この攻撃の嵐は法に基づいた行動さ。」


一旦、横道に外れて今後の進路を決めることにするか…。また問題を起こされたらたまらん。




「王女様?どうしてあのようなことを?」


「私たちが近くにいるのに、あの商人たちは一向に道を譲ろうとせず、私が渡ろうとした時もさも自分が正しいかのように唾を飛ばしながら怒鳴り付けられたのでしかるべき対処をしました。」


「…国境も越えなきゃならんのに、こうも騒ぎを起こされちゃたまらんな。どうする?タケヒト。今ごろ、国境警備をしてる騎士に連絡がいってるはずだ。」


ふむ…。まあ、この程度ならまだ巻き返しは出来る範囲内だ。国境を渡るくらいなら騎士に幾らか金を握らせれば楽に行ける。お忍びの貴族やらがよく使う手だから別に構わんだろう。


「ここから北上していけば、小さな農村に到着する。そこで宿をとろう。そんで馬も借りよう。」


「断ります。まだ昼を少し過ぎた頃ですよ?それなのにもう宿を取るとはどうかしてるのではないですか?」


「…まあまあ、君がPTのリーダーに従うように、ここは俺らのリーダーに従ってくれないか?」


「その話は今関係ないでしょう。それより、何時までもここで貴方たちと言い争いをしている時間も無駄ですし、さっさとその農村に行きましょう。」


俺らの言い分はまるで無視して我を通す王女さま。あまりこんなことは言いたくないが、こいつ先輩冒険者並びに年上も舐めすぎだろうと…。今まで護衛したお嬢さんやご婦人はまだこちらの言い分を聞いてくれたものだが、こちらはガン無視か。


「タケヒト…。あのガキ、健康なままじゃないと駄目かな?せめて足折っちゃ駄目?」


「俺もそうした方が山々だが、あの嬢ちゃんスキルの潜在能力が未知数らしい。変に刺激すると、場馴れした俺たちでも一撃でやられるかもしれないし、そうなったとき天狗になられるのも困る。」


道も知らないのにすたすたと歩いていくアイ。だが不思議とその方角は正確で地図の道通りの順路だった。


特にアイの好きなままにさせて、道に迷わせてしまえば言うことも聞くだろう、道が正確なのも単なるマグレだろう、と思う二人であった。

すると道から外れて茂みのなかを通っていくアイ。理由を聞くと…


「貴方たちには関係ありません!こっちの方が早くつくと思ったからです。」


そうしてどんどん進んでいくアイに半ば諦めかけた二人も後を付いていく。


「タケヒト…実際、本当にこっちの方が早いとかないよな?もしかしたらここを通ったことがあるからそう言うんじゃないか?」


「スト、この地図は最新版だぞ?その上、魔具だから地形変動や災害による封鎖状況が更新される。グー○ルマップ顔負けの品だぞ?まぁ、王国と共和国の一部限定だが。」


ひそひそとアイに聞こえないように話す二人。歩いている道は農村に行く道とは思えぬ完全な山道。


「ほら、私が言った通りでしょう。あのまま進んでいたら立ち往生でした。」


山道を登り終え、開けた場所につくと多くの人が簡易的な小屋や、荷車に積まれた荷物を整理していた


「…忙しい途中失礼ですが、この騒ぎは一体?」


「冒険者のお方ですか…。私たちの村の近くにある鉱山が地盤沈下しまして、毒の霧や魔物、とても歩けぬ地面、とひどい有り様でして…。それが起きたのが昨夜の真夜中でして…。」


村があったと思われる場所を眺めると、毒々しい霧が立ち込めていて、恐らくCランク相当の魔獣が多数蠢いていた。あのまま道なりに行っていたら、激しい戦闘になったであろう。


「ところで貴方たちは、この地図に書いてある村の人ですか?」


「はい…。そうですが?」


「なら泊めてください。どうせ、今晩は泊まろうと思ってたので。」


タケヒトの手から地図を奪い取ると、村人に見せて勝手なことを言い出す。当然、それを言われた村人や周囲の村人は断るが、アイは一歩も引かず泊まる気満々だった。


「はは、すいません。この糞女(むすめ)は世間知らずなもので…今、僕と彼が護衛中なんですよ。ほら、ギルドカード。僕がS、彼がS2ランクです。

聞いたことありませんか?白煙の竜殺しって?彼がその人ですよ。」


「…タケヒトと言います。一晩だけですが、ここに魔物が来ないよう寝ずの番も俺たちが行います。」


「Sランクがいれば安心だ!」


村人達は、一瞬怪訝そうな顔をしたが、ギルドカードを見るとすぐに態度を変え、こちらの要求を受け入れてくれた。ストは頑張ってランクを上げた甲斐が出て内心嬉しかったが、一方でタケヒトは今日一番と言っていいほどしかめっ面をしていた。


「スト、少し話したいことがある。こっちに来てくれ。」


「おい、あの娘がまたどっか行ってもいいのか?近くに魔獣もいるのによ。」


「その心配はない。ここは安全だ。」


ストはタケヒトの尋常ならない様子に首を傾げるがタケヒトの跡を暫く付いていき、アイがひとまずテントの下で座ってる姿がギリギリ見える程度の距離まで離れると…話を始めた。


「スト、俺のスキルは知ってるよな?」


「勇者関連のスキル及び魔法の無効化だったな。確か《勇者屠殺(セルフ・ディフェンス)》。だからお前は自由国の人間…ひいては勇者の血を受け継ぐ人間を楽に殺れる。だったか?…まさか?」


「そのまさかだ。あの嬢ちゃん。勇者の血を継いでるかもしれん。しかも確かあの手のスキルは伝承通りなら5代目のスキル、つまり先祖返りだ。」


「5代目って確か魔族討伐全盛期の勇者じゃねえか。」


それからタケヒトが語ったのは、まさにチートとしか思えない能力だった。幻術を実現させるスキル…。アイが望めば、村の近くの鉱山から魔物が溢れだし、地図の安全だと思われる道を強制的にそして無自覚に変更させられ、村人は死んでいたとしてもその魂はアイの無自覚の夢物語のエキストラとなり、行動を実現させるらしい。

5代目としてはその辺りの能力は、あまり活用する場は少なかったらしい。それもそうだ、膨大な魔力が必要だし、自ら発動させなければいけないスキルの為活用が難しかった。だが、あの(アイ)は特殊型のようで発動条件は分からないが大して魔力を消費してるように思えないし、またその身に秘める魔力も強大なため、どう考えても逆らわない方が身のためだった。


「何で分かったんだ?それに仮に勇者の血を引いてるとすれば、お前なら楽に止められるだろ?」


「6代目勇者からの血筋なら殺れるが、以前の初代から5代目の血筋は無理だ…。辛うじてスキルを使用してるかどうかくらいは分かるけどな。。そもそも6代目が最も種を撒き散らした者として有名だし、俺がこのスキルを発現した要因が6代目の血筋の人間に襲われたことだからな。この村に着いたとき、薄っすら違和感を感じたんだ。住民の気配がないし、あの数の化け物から多くの村人が逃げ出せる筈がない。せいぜい数人くらいだろう?普通に考えたら。」


「そういや、そうだな。不味いな…俺も王女様のスキルの影響下か。」


「本当はやりたくなかったんだが…こうなった以上強行手段に移るしか無さそうだな。」


タケヒトの思い付いた案に、反対こそしないもののストはそれがどれ程危険なことなのかが分かっていた。


「まぁお前とは長い付き合いだからな。手筈と段取りは任せたぞ。」


「…とりあえず、決行するのは明日の早朝だ。あと少しでもリスクを減らすために、一応鉱山とやらの魔物も駆除した方が良さそうだ。」


「OK。じゃあ頼んだぞ。俺は別に準備をしておく。」


簡単に打ち合わせを済ませると、タケヒトは鉱山ひいては村に向かい、蔓延っているであろう魔物の駆除。ストはストで、明日の為に自前の道具を用いてアイや村人達が眠るテントの側で何かを作成していた。


――そうして夜は更けていった。

ここでタケヒトさんのスキルを説明してましょうか。多分、本編で出るようなことがあったらそれはタケヒト無双の話です(確信)


勇者屠殺セルフ・ディフェンス》…六代目勇者以降の勇者と呼ばれる者及びその血筋に属する人間からの攻撃はほぼ無効化される。簡潔に言うと、勇者のチート能力・スキルを無効化するスキル。本人が努力してつけた剣術といった技術は無くなることはない。六代目以前の勇者の血筋に対しては効き目が薄い。使用の有無を感じることが出来る程度。


逆にそれ以外には全く効き目がないスキル。血が多少混じってるだけでは発動対象にはならなく、認識してることや悪事を働いているという手順を踏まえた上が発動条件。つまり特殊型。

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