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Fight for Survivor!  作者: 元海鷲
第2章 詮索無用
20/22

人として

-4.16.AM8:45-

廃ビル3階-

勝山拓哉曹長-



「・・・福田、お前は右の奴を、俺は左だ」カチャ


「・・・了解」シャキッ









 9人の集団のうち4人がトラップの確認に1階へ降りていったことによって、監視の目が緩いだ隙に俺たちは慎重に素早く金網の換気路を通り抜き、3階に到達した。

 

 3階の奥田たちのいる踊り場にたどり着いたが、そこには奥田軍曹たちの姿はなく、代わりに先ほどの米軍部隊の隊員だと思われる2人組の男たちが居た。

 






 男1人が何やら床あたりを物色し、もう一方が周囲の警戒に当たっているようだ。俺たちはそれぞれ近くの物陰に身を潜めて様子を伺い、手順を決めて、、、







「hey,Lewis,Here it has fallen canned!(おい、ルイス、ここに缶詰が落ちてるぜ!)」


「oh,We're the lucky luck.(俺たちはツイテルな。)」


「that's right. It's hungry because not barely taking a meal because of us recent strategy.(全くだ。最近の作戦のせいで腹ペコだ。)」


「Let now eat here? That way...(ここで食っちまうか?そうすれb)」

パシュッッ


どさっ




タッタッタッタッダッ



「? hey,jakob? what's hap...?!(?おい、ジャコブ?一体どうs?!)」ザシュッ


ドサッ






 ・・・俺は監視に当たっていた敵の喉元にサイレンサー付きの拳銃で射撃し、縦断を受け倒れた同僚に気を取られた缶詰に夢中だった敵を福田が素早く走りよりナイフ一撃で急所を切り裂いた。




 俺の放った拳銃弾で喉元から後頭部を撃ち抜かれたジャコブと呼ばれた男は脳ミソを撒き散らして即死していた。


 福田がナイフで切り裂いたルイスを呼ばれた男は喉元を切られて喉笛をヒューヒューと鳴らして倒れ悶えながら、



「...nancy...i... miss you...」


 ルイスは福田を睨みつけすぐに動かなくなった。

 返り血を浴びた福田は息絶えていく敵の様子を凝視していた。





「・・・敵死亡を確認。ほか敵影なし」


「よし、福田よくやった。敵兵の装備から使えるものは引き抜いてすぐに奥田たちと合流するぞ」


「・・・了解です・・・」









 目の前の脅威となる2人組を福田と連携して処理した俺は奥田たちを捜しに動こうとしたとき、



「・・・曹長」


 福田が低い声で絞り出すように俺を呼び止めた。

 振り返って福田の顔を見ると変に顔が歪んでいた。


「福田、どうした」


「・・・曹長、一つ質問があります・・・」


「・・・なんだ。質問って・・・?」




 重い沈黙が10秒ほど続いたあと奥田は言った。











「・・・なぜ、人を殺さなきゃならないんですか・・・?」












 彼、福田圭介。彼は父が中小企業のサラリーマン、母が専業主婦の一般家庭で生まれ育った。しかし、小学生の頃に天然パーマの髪型にやせ細った外見からくる偏見でいじめに遭い、尚且つ『異変』に伴う混乱によって両親がウイルスに感染して死亡。それがきっかけで精神的なダメージの決定打として少年の心に突き刺さったため不良と化す。異変後はセーフゾーン内の中学高校にかけて不良グループの下っ端として少年時代を過ごしていた。


そんな彼がどのような経緯で防衛隊に入隊したのか……。







 彼自身、戦争をしたくて防衛隊に入隊したわけではなかった。高校卒業後の進路が身辺上の理由で防衛隊入隊しか存在しなかったからである。異変後の日本各地のセーフゾーンの都市では全世代の就職難が社会問題となっていた。



 異変によって世界経済が崩壊し日本経済も例外ではなく一部の大企業を除きほとんどの企業が役員や社員が死亡し倒産が相次いだ。

 安全が確保されたセーフゾーンの各都市では経済インフラの復興が急がれたが、経済経営に詳しい資本家や経済学者は異変前まで大都市に集中して活動していたため真っ先にウイルスの犠牲者になってしまい、有用な人材が一気に不足し復興が遅れていた。


 秋雨市では特に深刻で東西日本の狭間に位置していた結果、関東の避難する商人は元々軍港で防衛施設のあるY市(後の第一湾岸都市)に、関西ではより西のセーフゾーンに人々が避難していったためにビジネスマンの避難民が少なかった秋雨市ではより経済復興が他の都市に比べて遅れていた。

 しかし、立地的に自衛隊のZ駐屯地やF駐屯地から戦闘車両や多くの兵員が秋雨市防衛についたり、工業地帯からの技術者たちの流入によって本州では有数の軍事都市になった。特に秋雨市の中央区画には民間空港であったM空港を接収して作戦機の航空基地や次世代のパイロット育成の場として教育航空隊の拠点としたり、軍需工場や防衛施設を次々と建設して今日では軍事力工業力だけは秀でた都市になった。



 そういった状況の中で新たに労働者となる中学高校大学卒業者などの若い世代は学があるものは省庁の文官や武官に、学がないものは工場の労働者、農家か兵士になる絶対的な2択を選択するしかなかった。


 福田は学がない方の人間であったが、利を考えられる知性やそもそもの学力は人一倍あった。工場の労働者は省庁や教師の宣伝によって一見魅力的に見える職業に仕立てられており8割がたの人間が意外と嬉々として進路の選択に選んではいるが、実際は低賃金でほぼ休みなく働かされ昇給はほんの一部の可能性しかないまるで奴隷のように働かなくてはならない。一方、兵士は平和主義の教師によって悪いように宣伝がなされ選択するものは少なかったが、戦闘による死のリスクを差し引いて考えれば給料などの待遇は良く、結果を出せば昇進ができ、退役後は年金が支給される。両親や親戚のいない元孤児の彼は死んでも悲しむ人間がいなかった。それらの点から福田は兵士の道を選択した。このときまで彼は兵士になることのリスクについて深く考えてなかった。















-4.16.AM8:55-

廃ビル3階-

勝山拓哉曹長-





「・・・福田、何言っている・・・」


 勝山は福田の質問に戸惑った。福田はどこか不安そうな顔立ちして虚ろな目をしていた。



「曹長、俺たちは‘奴ら’を倒しに来たんですよね?今やっていることってなんですか?同じ生きている人間を殺したくない・・・」



 そう言って福田は頭を抱えだした。













 そこで俺は気づいた。福田のような状態に陥る若い兵士は何人も見てきた。防衛隊はたいていバケモノの相手を主にして戦闘を行っている。防衛隊兵士は対人戦闘訓練はさほど熱心に行われていない。福田は生まれて初めて生きている人間を至近距離で殺した。福田はおそらく軽い心的外傷後ストレス障害にかかったものと考えられる。元々奴は射撃技術は優れていたが精神的に弱かった。



 ふと俺自身はどうなのか考えるともはや人を殺すことをなんとも思っていない。殺人に慣れて流れ作業のようになっていた。任務をこなし敵は殺すだけ・・・。俺自身異常なんじゃ・・・?・・・













 ・・・考える時間はない。今は戦闘中である。俺は無駄な思考は即座に止め、




「福田、すぐに奥田や坂巻大尉たちに合流しなきゃならない。悩むのはあとにしろ。無駄死にしたくないだろ。仲間のことをかんがえろ」



「曹長、でも俺・・・」



















・・・ギャアアアアア!ダダダダダダッ!




「「なんだ?!」」



 俺たちの階下で突然叫び声と銃声が鳴り響いた。

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