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Fight for Survivor!  作者: 元海鷲
第2章 詮索無用
13/22

憂鬱な夜営

-4.15.PM7:00-

某市街地・北地区住宅街-

勝山曹長-



 昼間の襲撃から逃れた俺たちと坂巻大尉とエマの5人は裏路地を通って、目標地点に向かっていた。しかしながら、日も完全に暮れてしまい、夜間での作戦行動を危惧した坂巻大尉が、



「夜になってライトをつけて動くと、武装集団の良い的だ。ここらあたりで宿営しよう!」




 俺たちは辺りを上から見下ろせられる廃ビルの屋上で宿営する事になった。あらかじめ所持していた簡易テントを兵士3人で組み立てて、食糧を準備した。


 秋雨市防衛隊では旧自衛隊が採用していたレーションを元に改良を加えて防衛隊のレーションとしている。

 例えば、第一種戦闘糧食改。旧自衛隊では1960年代からある缶詰め式の糧食で様々なバリエーションが存在していたが、異変によって生産会社が潰れたり食糧難で何種類か減り、代わりに比較的手に入りやすいキムチや昆虫類の佃煮などが加わっている。


 3人で周囲を監視しつつ交代して飯をかき込むようにして夕食をとっていった・・・。






ー4.15.PM11:30ー

某市街地・北地区住宅街の廃ビル屋上ー

勝山曹長-


 今夜は満月だった。遠方では深夜になっても銃声や叫び声が微かに響いていた。

 この前の昼間に見殺しにしてしまった味方兵士たちの顔が忘れられなかった。坂巻大尉に冷静に付き従ったあのときの自分に嫌気がさした。




『きゅ、救援を・・・!』


『なぜ助けない??仲間じゃないのか?!』


『痛い痛い痛いぃ!母さぁん!』



今になって兵士たちの助けを求めていた声が耳にこびりつき落ち着くことが出来なかった・・・。


 気分を変えようと満月を見ていたとき、奥田軍曹が横に寄ってしゃがみこんで言った。



「隊長~なんかムシャクシャしてませんかぁ?」


「ムシャクシャ?この俺が?」



 奥田が上目遣いで気になることを聞いてきたのだった。



「どうして?そう見える?」


「隊長は一見真顔ですが気にくわないことあったときはひたすら空を見ています!」



 全くその通りで俺は嫌なことがあったときは無意識に空ばかりを見ているそうだ。



「よく知っているな」


「これでも隊長の面倒見役ですよ!」



 全く、誰が「面倒見役」なのだろうか?



「何か気になることでも?」


「・・・奥田、今日の日中に討伐隊の連中を見殺しにして俺たちはここ居る。連中の助けを呼ぶ声が全く耳からとれないんだ・・・。今になって後悔している」


「しかし・・・命令でしょう。・・・その命令で私たちは危険を避けてここに生きています。ポジティブな思考でいきましょう!」



 俺たちは見張りの交代が来るまで今日の出来事を話した。奥田と話していると自然と気が和らいだような気がした。






 このまま何も起こらず夜が明けてくれるといいのだが・・・。




























-4.16.AM4:30-

某市街地・北地区住宅街の廃ビル屋上-

勝山曹長- 


 見張りの交代を終えた俺は朝まで睡眠を取ろうとしていた。疲れを残しては任務に支障が出て最悪死ぬかもしれない。俺が眠りに落ちようとしていたが・・・。









ドッカンッ



いきなりの爆発音で驚き目を覚ましてしまった。



「隊長!敵襲です!」


奥田がテントに駆け込んできた。


「さっきのはどこが爆発したんだっ?」


「このビルの正面玄関のバリケードが破壊されてしまいました・・・」


「敵は?」


「素早く影が複数、ビルに侵入したの見ました。おそらく人か、奴らです!もしかしたら討伐隊の生き残りかもしれません」




 最悪の事態になってしまった。福田が「人」言ったがこの壁外で自由に行動できるとしたら必ず何らかの武器を持っている。「奴ら」の場合、福田が見たのは走って侵入する影だった。そうすると変異種の可能性が高い。変異種は通常種に比べて身体能力が何倍も高く走って襲ってくる。おまけに知能があり、集団で連携して襲ってきたりするからタチが悪い。このビルは4階建てであるからすぐにでも敵が迫ってくるだろう。


 俺たちは敵襲に備え迎撃、脱出準備を進めた。

 宿営道具をしまい、奥田軍曹に坂巻大尉とエマの護衛を頼み福田一等兵と俺の2人で先行偵察でビルを脱出する。





-4.16.AM6:00-



 夜が明け太陽が昇り始め周囲が見えるようになった頃、俺たち2人は3階の廊下をクリアリングしていた。窓辺は明かりが差し込んでいて見透しがいいが廊下は階の中央を通っており暗く左右に部屋が何個かある。いつ奴らが飛び出してくるか判らない。



「こちらは秋雨市防衛隊です!人間であれば出てきてください!」



 索敵中に大声をあげるのは自殺行為かもしれないが万が一味方である場合は同士討ちを避けたい。故に1ブロック進む度に時折声を上げていた。奴らであれば向かってくるはずだから寧ろ手間が省けるが。



「(小声で)いませんね・・・」


福田がクリアリングを終えこちらに近づき話す。


「気を抜くな。入ってきたことはわかっているから絶対にどこかに潜んでいる。こんだけ声かけして出てこないってことは敵で間違えない。」



 もしかしたら昨日銃撃してきた連中かもしれない、と福田に言ったあと、

俺たちは3階の安全を確認し坂巻大尉たちを誘導し下の階へ移動していった。 






-4.16.AM6:20-

廃ビル2階廊下-


思ったよりもフロアが広いため時間がかかったがさっきと同じ様に索敵を進めていく。ふと、妙に唸り声らしき音?が聞こえたため立ち止まり音がした部屋を確認するために接近した。



 部屋のドアのプレートには「大会議室」と書かれていた。




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