3歩進んで2歩下がる
坂巻大尉は討伐隊に「視察をしたいのだが、あの一際デカいビルを目標に進撃してほしい」と注文し、1両の戦車と歩兵10名のグループに随伴して坂巻大尉の示す目的地に向かうことになった。
「討伐隊第1戦車隊2号車長の村上曹長だ。よろしく頼む!」
「同じく討伐隊第6歩兵隊隊長の鎌田曹長です。我々の精練された行動よくみていてもらいたい!」
「防衛隊第3連隊第7分隊隊長の勝山曹長だ。こちらこそよろしく頼む!」
速やかに自己紹介と準備を整えた討伐隊歩兵戦隊と俺たちは進撃を開始した。
戦車と随伴歩兵のセットは、戦車から見えない箇所を随伴歩兵がカバーするため、とても良い。
前方の奴らや建物の陰から出てくる奴らを討伐隊の隊員たちが素早く排除し、複数のまとまった奴らには戦車砲の榴弾・散弾や機関銃で吹き飛ばして、グングン進撃していった。
市街戦ではどこから敵が飛び出してくるかわからない。だがそんな不安をなくしてくれるかのように意気揚々と討伐隊は進んでいく。
「さすが討伐隊!手馴れたようにどんどん制圧していますね」
「そうっすね~!これだと自分たちの出番なく、目的地に着きますね~!」ヒック
「そうだな」
俺たち第7監視分隊の面々はこう楽観視して気を緩ませていた。坂巻大尉もやや安堵した感じだったが、、、
「・・・何か嫌な予感がします・・・」
エマは小さな肩をぶるぶると震わせてそうつぶやいた。
「?どうしましたか?我々の先鋒として戦車が進路を確保してもらってます。戦車さえあれば怖いものなんて1つもないですよ(笑)」
「怖いものなんてない」と、言いつつも俺も何かおかしいと感じていた。
いくら討伐隊でも地中まで潜んでいる奴らをこうも跡形もなく制圧できるわけがなかった。
制圧出来るならば、秋雨市の現有戦力だけでも壁外の土地を奪還できるが、奴らはいつも無尽蔵に湧いて出て壁外への進出がなかなか出来なかった。今日はその奴らがなぜかとても少ないようだった。
俺も違和感を持ちつつもエマを安心させるように優しく声をかけたが、
「違います!嫌な予感どころかさっき私見たんです!」
「?何が違うのですか?何を見たんですかっ?」
俺はどこかハッキリしないエマに軽くイラつき、眉間にシワを寄せてやや怒気を含み、ぶっきらぼうに聞いてしまった。
エマはそんな俺にビクッと怯えつつも言葉を発した。
「向こうのビルの窓から人がこちらをジッと見ていました!奴らじゃなかったです!」
それを聞いた俺はまさかと思い、すぐに戦車の方を振り向いた。
俺が振り向いた瞬間、戦車がいきなり爆発炎上した・・・。




