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05デュラハン娘

 講義室について、空いている席に背中のリュックを下ろす。


 僕は後の長机に固定された折り畳み椅子の座部を開いて座った。

 家に置いてきた彼女が気がかりだ。

 最近特に寂しがり屋がパワーアップして僕と一緒にいたがる。

 けど、彼女はここの学生ではない。

 だから置いてきた。


 のだが、心配なのは変わらない。


 僕はため息を一つ吐いて、リュックのチャックを降ろした。


 ごろん、と転がり出てくるボールのようなもの。


「きゃあああ」


 彼女の頭だった。


 僕は慌てつつ、ほぼ無意識で彼女の髪を乱暴にひっつかみリュックの中に叩き込んだ。

 何してんのこの子。


 急いで周りの様子を見るが、幸い誰にも見られなかったようだ。

 本当に幸いだ。

 猟奇的事件のような光景だったものな。


「いたいよーなにするのー」


 彼女は僕を控えめに非難する。

 引っ込み思案なのか小声だ。

 だがなにするのと聞きたいのは僕だ。


 彼女の髪の毛を巻き込まないようにチャックを締め、僕は講義室を出ることにした。


 僕は少し迷い、ダッシュで部室に駆け込む。

 この時間は誰も使わない。

 使わないはずだ。


 リュックから彼女の頭を取りだし、床に置く。


「何してんの君。

 いつの間に入り込んだの」


 彼女はデュラハン、というやつだ。

 だから頭が取れるのは知っているし、付き合って暫く経つ今ではもう驚かない。

 が、今の状況はそれとは別だ。


 彼女は髪が乱れて目に掛かってるのが嫌なのか、だが生首なので大きく振れないので小刻みに顔を振るわせている。

 瞬きも激しい。


 僕は髪の毛を簡単に手櫛で梳いて彼女の髪を左右に流し、もう一度聞いた。


「だってーさみしかったんだもん」


 もんじゃない。

 ほら頬をぷくーと膨らまさない。


「だいいちキミ、体はどうしたの」


「体はーあなたの服着せてーあなたのベッドの中ー」


 表情だけで嬉しそうに明るく笑う彼女。

 喜んでいいのか怒ればいいのか分からない。


「なんでこんなことしたの」


「さみしかったのー。

 あなたが好き過ぎてー」


 こてん、と彼女の頭が横倒しになる。

 僕は彼女の頭を両手で支え、直立するようにした。


「でもさ、ほら頭だけだと、みんな怖がるし」


「いいじゃない。

 みせつけてやろうよー」


 何を。

 頭を抱えて笑顔で練り歩いたら警察呼ばれちゃうから。


「あ、もしかして。こんな人気の無いところに私を持ってきたのってもしかして……」


 どうしよう。

 説得できそうにないや。



ストックがあと二つしかないや……

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