04妖精娘(15cm級)2
洗濯物を取り込んで畳もうとしたとき、彼女がいないことに気付いた。
用があるわけではない。
けれど、どこか変な所に行って怪我をしていたら大変だ。
探すことにしよう。
まずは名前を呼ぶ。
返事はない。
こたつの布団を捲り、中を見る。
いない。
テレビや家具の裏や戸棚の上を探しても彼女の影は見つからなかった。
どうやら居間にはいないようだ。
あとで詳しく探すことにして、とりあえず折角取り込んだ洗濯物を畳むことにした。
僕は縁側にまとめて山にした洗濯物の前に座り、上から取り除いて畳んで行く。
Tシャツやワイシャツ。
ズボンにパンツ。
彼女と一緒に暮らしているのに、色気のない洗濯物だ。
とはいえ、彼女の服は一緒に洗濯出来ないから仕方がない。
彼女の体は小さく、服もそれに合わせて小さく、薄い。
パンツなど排水口から流れて言ってしまうこともある。
だから、纏めて手洗いするか、妖精衣類洗濯用の専用の洗濯機を使うしかないのだ。
また干すにもハンガーなどは使えない。
とても気を使う。
そう畳みながら考えて居ると、タオルを手に取るとその下に金色の毛の束がはみ出ていることに気付いた。
彼女の髪色と一緒だ。
僕は気を付けて丁寧にシャツをつまみ、めくって覗き込む。
ちょっと無理に背を曲げるような姿勢になりながらシャツの下を見ると、いた。
彼女だ。
膝を抱くように丸まっている。
顔が見えないので姿勢を変えて再び覗き込んだ。
彼女は目を閉じている。
耳を近づけ澄ますと、規則正しい寝息、それと短く「んぅ……」と寝言かうめき声か、そんな声が聞こえる。
めくった所から冷たい風が入ったのか、彼女は少し身をよじり、膝をより抱き寄せるようにした。
僕は彼女を起こさないようゆっくりとつまんだシャツを下ろし、指を離す。
僕を驚かせようとしたのか、はたまた思いつきか、洗濯物の下に潜り込んだのだろう。
それも早い内に。
太陽の光で乾かされ、温められた洗濯物の肌触りは気持ちよい。
彼女もそんな洗濯物で気持ちよくなったのだろう。
彼女は自然から生まれる妖精だ。
自然たっぷりの太陽光に当てられた洗濯物はさぞ彼女には心地よいのだろう。
また、気持ちいいのが好きな妖精達のことだ。
この誘惑、耐えられるはずがない。
洗濯物を畳むのは後でも良いだろう。
他には何かやること……あったかな?
探せば良いか。いや、心地よい天気だ。
このまま縁側に寝っ転がるのも良いかもしれない。
僕は、洗濯物の山を避けて縁側に寝っ転がった。
寝てしまったら寝返りで彼女を潰してしまうかもしれないから眠るわけには行かないけれど、たまにはこういうのも良いかもしれない。
彼女と一緒に幸せな午後を送る。
ステキな考えだ。
今日の彼女の寝顔を思い浮かべ、僕は今日の晩ご飯を彼女の好きなオムライスにしようと決めた。
小さすぎて彼女って感じがしない。いいアイディアないかな。