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01スライム娘(高知能コミュニケーション型)

 異文化交流というのは大変だ。異種間交流ならなおさら大変だ。

 だと言うのに、惚れる僕は物好きなのだろう。


 そして惚れた弱みというのがある。

 そのお陰で、僕はこの半年、頭を下げる事が多くなった。


 もちろん、彼女にだ。


「や、ほんとごめんなさい。

 お願いだから勘弁してください」


 僕は恥も外聞も捨てて頭を下げる。

 彼女は水槽から人間の上半身を形成して出した。

 そして謎の発声器官を喉の辺りから出して喋る。


『ではおっぱい大きくするぞ。

 さもなくば小さくなって、具体的には130センチくらいであなたの恋人ですって喧伝するぞ』


 わざわざ口っぽく形作ったところをパクパクさせる意味はあるのでしょうか。

 鏡を見ながら表情を確認する彼女。

 人間っぽく見えるよう頑張っているらしい。


「後者はホントやめてください。

 マジ勘弁してください。

 お願いですから」


 僕はもう土下座だ。

 彼女の前に座し、両手をついて頭を深々と下げる。

 それと前者は僕の性癖的にやめで下さい。

 あと僕は貧乳が好きなので是非そのままの君でいて。

 あとロリコンじゃないので小さくならないで欲しい。


『だって、私も本読みたいもの』


「だからお願いやめて……ほら、タブレット買ってあげたでしょ」


 別にいじわるしているわけじゃない。

 ただ、彼女はスライム。

 紙に触れれば毛細管現象で紙が彼女の水分を吸ってしまうのだ。

 結果、本がしわっしわになってしまう。


『やだー電子書籍になってない本が読みたいの!』


 目の部分に配置した二つの光る球体が不気味に光る。


『出たばかりの新刊とか読みたいのー!』


「ほら、スキャン代行会社に頼んだから。

 明日届くから」


 その目に見える部分が光るの怖いから。


『知識欲が滾るの!!』


 彼女はとても高度な知性を持っている。

 また老いることも知らず、効率的で傷つきにくく変幻自在な体を持つ。


 が、最近まで文明レベルは低く、文化と呼べるものは少ない。

 というのも紙を作れず、文字も作ることが出来なかったからだ。

 その為彼女達が人間と出会って以降、その高度な知性を活かし自らを人間の形にして馴染むことで少しずつではあるが溶け込み始めている。


『もっと知りたい!

 物語が欲しいの!

 その為には本を読ませろ!

 でなきゃロリコン疑惑!』


 どんな脅しだとは思うがご近所様から有らぬ誤解を受けるのは避けたい。


 にゅうと2本の腕(に見えるよう伸ばした体)を高く上げて主張する彼女。

 説得するのは本当に骨が折れる。


「分かった分かったから」


 惚れた弱みというのは辛いもの。


「僕が本を持つ。

 君が読む。

 ページをめくるのも僕。

 これでどう?」


『むー』


 口っぽく形作った部分を一文字に結ぶよう閉じて唸る彼女。

 目も瞼のような膜をわざわざ作って目っぽい球体を半分隠している。


『しかたないな』


 腕を腰に当て、瞼のつもりであろう膜で斜めに目を覆った表情で彼女は言った。


『それで妥協しよう。

 さあ早くジャンプ開いて!』


 ジャンプかよ。



人外娘、魔物娘、いわゆるモンスター娘のショートシーンを書いていきます。


姉妹作「デミヒューマン娘のいる日常」もよろしく!

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