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徐々に不穏な響きが出てきた。奪われた、つまりは彼女を害する存在がいることを示す。彼女の異変の原因は、何かの不幸な事故だとか、そういうことではなく人為的に起こされたものだということだ。
「誰に?」
俯いた麻耶に声をかける。彼女はすぐには答えなかった。不思議なことに、頭では解ってはいるのに、僕は何故だか彼女には感情があるのではないかと思ってしまう時が度々ある。些細な体の動きを悲しそうだとか嬉しそうだとかそんな風に自分の経験から勝手に推測してしまうのだろう。今だって所詮は僕の思い込みだろうが、僕には、麻耶がとても緊張しているように思えた。
「…………『物語』」
「え?」
思わず耳を疑った。




