腕試し
問題発生。モンスターが巨大すぎる。魔法を当てやすいのは確かだが、効いているのかいないのか、一向に倒れる気配すら見せない。どれくらいの大きさかと言うと、ダンプカーくらいの大きさだ。しかも何か機械仕掛けな気がする。
(デカいくせに早い。)
破壊力はそれほどでも無いのが幸いなところ。ロッドで受け止めきれる。モンスターは攻撃を繰り出す。彼はそれをかわしていく。
「か、カッコいい。」
三階から見物している魅麗がつぶやく。
「あれ?男に興味ないんじゃなかったの?」
葵が何気なく言う。
「うるさい。あたしにもタイプはいるの!」
「暴発させる!」
「簡単に言わないで!」
彼がそういうと女性は怒ったように返す。彼はモンスターの動きを見切りその隙をついてロッドを全力で叩き込む。
ドーン。
すさまじい爆音が辺りに鳴り響く。モンスターも彼も吹き飛ばされたが彼は空中で姿勢を立て直し、魔法を打ち込む。
「おらよ。じゃあな!」
ドーン。
本日二回目の暴発。自分でも驚く速さでモンスターに飛びかかり、ロッドで叩く。彼は暴発になれたのか、後ろに吹き飛ばなくなる。だが、かなり疲れていた。
(どんだけ強いんだ、このロッド?)
モンスターは動かなくなった。モンスターの腕に紙が貼ってあった。それを見た彼は驚いた。
三階、生徒会室。
「すごい。倒しちゃった。」
魅麗が感心したようにつぶやく。
「あれって葵ちゃんしか倒せなかったよね?」
遥希が言った。
「そうだけど。あの子、倒したの?」
「うん。」
遥希が答えると葵は表情を一変させて驚く。
「あ、お疲れ。すごかったね。」
朱音が彼の労をねぎらう。
「お疲れじゃないでしょうが!こっちは死ぬ思いして戦ってるの、分かってますよね?」
彼はモンスターのような機械に付いていた紙を放り投げた。その紙には腕試し用と書いてあった。ロッドをメンバーに向ける。しかし、彼はその場に倒れこんだ。
放課後の保健室。
「最初から言っておけばよかったね。」
葵が言った。
「怒らせちゃったもんね…。」
遥希が残念そうに言う。
「ん?あれ?ここは…?」
彼は目を覚ます。
「保健室よ。いきなり倒れたからびっくりしちゃった。…まだ怒ってる…?」
魅麗が心配そうに言う。
「…いえ。あれは俺がムキになりすぎました。すいません。水流さんもやりましたか?」
「やって、負けちゃった。あれ、気絶までしかしないの。」
魅麗が言った。
「あたしは勝ったよ。」
葵が口はさんでくる。彼は咄嗟にロッドを手に持った。葵は短く声を上げた。魔法をかけようとしたが、それも嫌になってきた。
(ここまでされると気が滅入るってもんだ…。)
ありがとうございました。