入院中
更新遅れて申し訳ありません。
淳司が目を覚ますとそこは病院だった。しかし、そこは明らかに普通とは違う。白い天井に蛍光灯はない。しかし、中は明るい。ベッドは普通だがナースコールはない。点滴は刺されていないが彼は包帯でミイラになっている。
「あ、起きた。」
彼の右側にいた女性は瑠唯の声で言った。清楚で美人だった。
「瑠唯?」
「そう。ここでなら姿を現せる。」
瑠唯は平然と言った。
「で、ここは?」
「来たことないんだ。ここは魔界よ。」
「魔界!?」
彼は声を裏返しながら跳ね起きて立ち上がった。
「ちょ、病院なんだから静かにしてよ。」
瑠唯は彼をたしなめた。彼は納得できない顔でベッドに座る。
「でも、どうしてそんなに驚くの?普通じゃない。」
「だって魔界だろ?」
彼が言うと瑠唯はあきれてため息をついた。
「ゲームのやりすぎ!あんたね、ゲームと現実を切り離しなさいよ。魔界はモンスターが住むところとは違うのよ。魔界は四界の一つで魔法使いが住む世界。」
「四界?てことはあと三つは?」
「人間の魂が集まる人界とモンスターが集まる邪界、魔法使い、人間、モンスターが入り乱れる現。その四つ合わせて四界。ちなみに、人界には基本死人しかいないわ。人界を知らないまま死ぬ人が多いからね。で、死ぬと人界に旅立つ。そこで何かするとまた生まれ変わる。」
「何か?」
「そこまでは知らない。あたしは人間じゃないから。もちろんあんたも。」
彼は衝撃を受けた。今まで当然のことだったのが一気に崩れ落ちた。
「な、何そんなショック受けてんのよ。人間じゃないけど人よ。そんなしょげることじゃないわ。あたしも葵ちゃんも魅麗ちゃんも同じなんだから。」
「そうか。そうだよな。」
淳司は平気なフリをして笑った。
翌日、彼は退院日を知らされ、ベッドに寝ていた。
「楢葉。居る?」
病室の外から魅麗の声が聞こえた。
「はい、いますよ。」
「入っていい?」
「どうぞ。」
何か急にキャラが変わったようなそうでもないような。
「よかった。怪我しかしてないみたいね。」
魅麗は安堵した顔で言った。
「はあ、はあ、あ、楢葉。元気そうね。」
遥希が後を追ってきた。走ったのだろうか息が切れている。
「大丈夫ですか?」
「うるさい。心配される側が心配しないでよ。」
「はいはいそうですか。」
彼はぶっきらぼうに言った。
「ねえ、退院いつ?」
魅麗は言った。
「あさってです。」
「意外と早いのね。よかった。」
魅麗は笑う。