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ダンジョンで地道に努力する  作者: クスノキ


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4/15

成長

目を覚ますと、まず視界に飛び込んできたのは、自分の部屋の天井だった。昨日、家に帰ってきて風呂に入り夕飯を済ませ、ベッドに倒れ込んだ途端に眠ってしまったことを思い出す。


「ふぁ〜…今何時だ?...11時か、寝すぎだろ俺相当昨日疲れてたんだな」


スマホの表示に、思わず苦笑する。

初めてのダンジョン探索は、自分が思ってる以上に疲労が溜まっていたのだろう。

筋肉痛というより、全身がちょっとダルい。


和真は高校を卒業したばかり。進学も就職もせず、探索者一本で生きると決めた。時間はある――が、昨日の肩の痛みがまだ残っている。今日は無理をせず休もう、と決めてベッドを出た


階段を降りてリビングの扉を開けると、ソファーに座っていた、黒髪ロングの女性が振り返った


「あら、起きたのね。ご飯ちょっと冷めてるか今温め直すから座って待ってなさい」


声を掛けてきたのは、腰まである黒髪ロングに156cmほどの母、東堂美紅。

今年43歳になるが、年相応でありながら可愛らしい雰囲気を持つ女性だ。


「ありがとう」


礼を言い席に着くと、母は心配そうに尋ねてきた。


「今日もダンジョンに行くの?」


「いや、今日は休むよ」


その言葉に、美紅はほっと息をついた。

だがすぐに、昨夜のことを思い出したのか、眉を寄せる。


「やっぱり心配なのよ、昨日、怪我をして帰って来た時なんて、お母さん血の気が引いたわよ」


昨日ダンジョンから帰ってきた時、俺を見た、母が顔色が変わり心配された光景を思い出す。


「母さん心配させてごめん…次は、こんな事にならないようにするから!」


謝りつつ決意を口にすると、母は困ったように苦笑した。


「そういうことじゃないのよ。探索者になるのは応援してる、でも…心配なの。

和真にもし何かあったら、お母さん倒れちゃうわよ? だから絶対に無理しちゃダメよ!」


「…うん」


説教というより、心配をしている。その気持ちが伝わってきて、胸の奥が少し熱くなる。


「よし、もうこの話は、おしまい! ほら、ご飯食べちゃいなさい」


「いただきます」


東堂家は、今仕事に出て家に居ない父、東堂正人と母、美紅とそして俺の3人家族である。

父と母は、和真が幼少より探索者になりたい事を知っていたため応援してくれている。そんな家族に感謝しつつ、温かい朝食?を口にした。



━━━━━━━━━━━━━━━

翌日、母に見送られ再び初心者ダンジョンへ向かう。受付を済ませ、ダンジョン内へ進むと、早速緑色の人型ゴブリンと遭遇した。


「前みたいには行かないぞ」


ゴブリンを警戒しつつショートソードを構える。

すると「ギャギャ」と叫びながら、ゴブリンが

棍棒を振りあげ飛び出してきた。


バッ!


和真は素早く横へ飛び、攻撃をかわす。

そして、すぐさま踏み込み、


「はっ!」


剣先をゴブリンの喉に突き刺し、横へ流す


ザシュッ。


首が落ちゴブリンは倒れ、煙となり消えた。


「よしっ!…ん?これは」


その足元に、金属のような硬い音が響く足元にコインのようなものが落ちている。


「ゴブリンコインか。確かこれ、ゴブリンのドロップの中だったらレアだったやつだよな」


ゴブリンコインを拾い上げ、袋に入れてしまってる時にピコンという音が頭に響いた。


-----------------------------

名前 : 東堂 和真

年齢 :18 性別:男

Lv: 2 → 3

称号: なし

HP:130 → 150

MP:35

攻撃力: 8 → 11

防御力: 6 → 10

魔力: 3

俊敏: 8 → 10

知力: 4 → 5


スキル: New【剣術Lv2】


-----------------------------


「よっしゃあ! ステータスが前より伸びてる…それて何より剣術のレベルも上がってる」


胸が高鳴る。昨日のゴブリンとの戦いが、しっかり成長につながっていたのだ。

せっかく剣術レベル2に上がったので試してみることにする。


角兎を見つけ、距離を一気に詰める。


シュッ!


「凄いな…ショートソードが前よりスムーズに振れる」


ショートソードが昨日よりも明らかに軽く扱える。剣が体の動きに合わせて自然に走り、一撃で角兎を真っ二つにした。


レベルが上がり攻撃力の上昇もあり、一撃で仕留められた。

角兎のいた場所には小さな肉片が落ちている。角兎の肉は美味しいと聞くので売却せず持ち帰ることにした。


(とりあえずステータスとかあがったしゴブリンで試したいな)


奥へ進んでいくと、再びゴブリンと遭遇した。

棍棒が振り下ろされる


ガキィンッ!


和真は、ショートソードで弾き返した。ゴブリンがよろめくその隙に、


「はあっ!」


肩から胸へ斜めに斬り裂き、さらに腹へ突きを叩き込む。抵抗する間もなく、ゴブリンは煙となって消えた。


(棍棒を弾けるって一瞬で判断できたのって絶対剣術スキルのおかげだ…レベル1上がるだけでここまで変わるのか)


実力が、明確に伸びている。

成長が手に取るように分かるその事実が、胸を熱くさせた。


「もっと強くなりたい」


その気持ちを胸に、和真は再びダンジョンの奥へと歩みを進めるのだった。



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