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ダンジョンで地道に努力する  作者: クスノキ


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3/15

緑の異形

初心者ダンジョンの1階層に出現するモンスターは2種類、角兎ホーンラビットと、低確率でゴブリンだ。

和真の目の前には、普通の兎よりひと回り大きいウサギ――額に小さな角を生やした角兎が姿を現した。初心者でも倒せる弱いモンスターだ。


初心者向けとはいえ、相手はモンスター。

ほんの少しでも気を抜けば死ぬ


和真はショートソードを構え、じりじりと間合いを詰めていく。しかし、その瞬間――


「キュピィ!」


「うぉ!? 危ねぇっ! 」


角兎が弾丸のように突進してきた。

和真は反射的に横に跳び、ギリギリで回避する。

和真は、角兎が通り過ぎた瞬間、振り返りざまにショートソードで角兎の背中を切り裂く。


ザシュッ!


「剣術スキルのおかげか…すげぇ、なんか自然に振れた気がする」


角兎はよろよろと起き上がろうとしてきた、まだよわよわしいが戦意を失っていない。

和真は少しだけ申し訳なさを覚えつつ、剣を振り下ろした。


「見た目は可愛いからちょっと罪悪感があるな」


すると角兎は煙となって消え、その跡には小さな石ころのような魔石が一つ、コロンと転がった。


「これが魔石か。このサイズだと50円くらい?命懸けでこれは割に合わないな」


和真は思わず苦笑いが漏れる。


(でも、最初はこんなもんか)


和真は気持ちを切り替え、ダンジョンの奥へと足を進めた


「流石に一匹だけじゃレベルも上がらないか。

まずは、レベル1アップそれを、今日の目標にしよう」


そこから、角兎を三匹ほど倒した頃、ついにその瞬間が訪れた。


ピコンッ!


「お、レベル上がった!」


目の前にステータスウィンドウが展開する。

-----------------------------


名前 : 東堂 和真

年齢 :18 性別:男

Lv: 1 → 2

称号: なし

HP:120 →130

MP:30 → 35

攻撃力: 6 → 8

防御力: 5 → 6

魔力: 3

俊敏: 5 → 8

知力: 4


スキル: 【剣術Lv1】


-----------------------------


ステータスの伸びには"どれだけ必死だったか"

"どれだけ危険だったか”が反映される。

死にかけたり格上を倒したりすると大きく伸びるが、楽をするとほとんど伸びない。

魔力が伸びていないのは、魔法を使っていないためだ。


「よし!今日の目的は達成したし、そろそろ帰るか」


和真は、今日は探索をこれで終わることにした。

角兎三匹の成果は魔石二つ。ドロップしないこともあるので、まあ仕方がない。


「ここに来たのが3時くらいだし…今は夕方か。まぁ、初日にしては十分かな」


そう思って入口へ戻ろうとしたそのとき――


ドタドタドタ!


こちらに向かってくる足音が響いた。


(この足音角兎じゃない?)


目を凝らすと、暗がりの奥から現れたのは、

身長130cmほどの緑色の人型、ギラついた瞳

右手に棍棒を持ったゴブリンが走ってきていた。


「ゴブリンか...!」


角兎より数倍危険なモンスター

距離はすでに近い。和真は覚悟を決め、ショートソードを構え直す。

ゴブリンが勢いよく棍棒を振り下ろす。


ブンッ!


ガキィンッ!


和真は剣で受け止め、力いっぱい弾き返す。

よろけたゴブリンの胴へ横薙ぎの一撃を与えるが――浅い。

次の瞬間、棍棒が和真の左肩へ叩きつけられた。


ゴッ!


「あぐっ…クソッ....! はぁぁぁぁっ!」


痛みに顔を歪めながら、渾身の力で剣を振り下ろす。その一撃は、ゴブリンの首元に深く入り、

これが決定打となり、ゴブリンは煙となって消えた。


「…はぁ…はぁ…やれたと思って…油断した」


HP 110/130


(痛みのわりに思ったよりHPが減ってないな)


左肩を見ると赤くなっているが、問題なく腕は普通に動かせので大丈夫そうだ。


「初日でこれか…次は、油断しない」


そう気持ちを改めて、和真はダンジョンの出口へと歩き始めた。

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