表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代ダンジョンで地道に努力する  作者: クスノキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/22

BOSS

ボブゴブリンを倒し終え、軽く息をはいた。


「よし、次だ」


身体強化の効果はまだ少し残っている。

レベルが上がったことで余裕が生まれ、倒すのにそこまで時間を使わなかった。


第五層の奥へと進むと、何かがこちらを見ているようなそんな感覚がする。


カツ、カツ、と硬い何かが地面を叩く音がした。


「来たか」


薄暗い通路の先に、赤い光点。そこからゆっくりと黒い影が姿を現す。

赤黒い毛並みに四本の足に、鋭い牙、赤い瞳がこちらを見ている。ベルハウンドだ。


鋭い爪と牙で攻撃して来て確か素早いという情報を事前に調べておいた。

するとベルハウンドが吠えると、飛びかかってきた。


ガウゥッ!


「速っ..」


確かに速い。しかし、目で追えないほどではない。

和真は瞬時に体勢を落とし、滑るように横へ。

振り下ろされる鋭い爪を受け流すと、その勢いを利用するように背後へ回り込む。回転しながらアイアンソードを脇腹へ切り返す


ズバッ!


黒い血が飛び散り、ベルハウンドが苦痛に喘ぐような声を漏らす。その怯みを逃さず、和真はさらに踏み込んだ


「これで!」


首元に鋭い一撃を叩き込む。ベルハウンドは力を失い、そのまま煙となって消えた。


和真は、周囲を確認し、敵が居ないことを確かめて息を吐いた。


「ふぅ…これならボブゴブリンの方が強かったな」


ヘルハウンドが近付いてきて気づけたのは、気配察知の効果だろう。


落ちていた魔石と毛皮を拾い、さらに進む。

その後も、道中でベルハウンドが二体現れたが、動きは先ほどとほとんど変わらなかった。

危なげなく撃破する。続いて現れたボブゴブリンを他押すと、ピコンと音がなった。


「よし、ボス部屋までにレベル上げられたな」


確認する為にステータスウィンドを開く


━━━━━━━━━━━━━━━

名前 : 東堂 和真

年齢 :18 性別:男

Lv: 7 → 8

称号: 《逆境超えし者》

HP:250 → 280

MP:100 → 135

攻撃力: 29 → 35 + 12

防御力: 28 → 33

魔力: 10 → 11

俊敏: 25 → 30

知力: 13 → 14


スキル:

《識術》

【鑑定】

《常在術》

New【剣術Lv3】 【気配察知Lv1】

《戦技》

【身体強化Lv2】


装備: アイアンソード、ライトシールドジャケットシリーズ


━━━━━━━━━━━━━━━


剣術スキルが上がっている。

これなら、ボスとも十分やれそうだ。

和真は、ステータスウィンドを閉じ、通路の奥へ進む。道中ヘルハウンドなどを倒したりしながら進んでいくと、ボス部屋の巨大な扉が見えてきた。


「流石ボス部屋だな。空気が違う」


扉の手前、少し開けたスペースは“ 戦闘前の安全地帯のように静かだった。敵の気配は一切ない。ここで準備しろ、と言われているようだ。

和真は壁にもたれ、深く息を吐いた。


「ふぅ…ちょっと休憩するか」


座り込み、ポーチから水筒を取り出して口をつける


「うまいな」


ただの水なのに、休憩時だとやけに美味い。

喉を潤すと、軽く目を閉じ呼吸を整える。

緊張はあるがそこまで恐怖は感じていない。

むしろ胸の奥が熱くなっていた。


「いこうか。これを超えたら初心者卒業だ!」


和真は、ゆっくり立ち上がり巨大な扉へ向かって歩き出した。鉄の扉は重々しく、まるで試すように沈黙している。


和真は、1度だけ拳を握り扉を開いた。


ギィィ...!


鉄の扉がゆっくり広がっていく。

中に入ると、暗がりの奥の巨影が動いた。


ドン...ドン...ドンッ。


「...っ!」


現れたのは、身長3メートルを超える灰緑色の巨躯。丸太のような腕、膨れた筋肉、肩には石斧。

赤黒い瞳が和真を捉えた。オーガだ。


初心者ダンジョンのボスにして、圧倒的なパワーの象徴。ここで探索者を諦める人もいる。


「来いよ!」


恐怖よりも、挑む高揚感の方が勝っていた。

オーガが吠えた。


グオォォオオッ!!


咆哮とともに、地面を砕いて突撃してくる。


(速い、でも見える!)


和真は横へ跳び、身体強化を使った。


「【身体強化】ッ!」


全身に熱が帯びていく。


「はぁッ!」


オーガが振り下ろした巨斧を踏み込みながら横薙の一閃。


ガァンッ!!


オーガの腕に浅い傷。オーガは痛みを無視して拳を振り下ろしてくる。

気配察知が反応し、攻撃をギリギリ回避する。


ズドォォン!!


拳が地面を抉り、破片が飛び散る。和真はその破片を利用して跳躍し、オーガの肩に着地する。


「ここだ!」


オーガの首へと鋭い刺突をするが、


ガキィン!


硬い。首の皮膚がまるで岩のようだ。


「っ....でも、効いてる!」


オーガが怒り狂って腕を振り回す。和真は吹き飛ばされる前に飛び降り、距離を取り直した。


オーガは地面を踏み鳴らし、低く腰を落とすと

地鳴りとともにオーガが一直線に突っ込んでくる。

和真は寸前で横に跳び、すれ違いざまに太腿へ深く斬り込んだ。


ザシュッ!


巨体が傾き、オーガは膝をつく。


「今だ!」


身体強化を使い直し、和真は足に力を込め、地面を蹴った。一直線に、オーガの正面に走る。


「うおおおおおおッ!」


オーガが最後の力を込めた斧を振り上げる。

しかし、その軌道は完全に読めていた。


「右上!!」


和真は一歩踏み込んで懐へ潜り込み、真上へ剣を振り上げた。


「これで終わりだぁ!!」


アイアンソードがオーガの顎下から頭頂へ、一直線に突き刺した。


ドォォォォン!!!


巨体がゆっくりと後ろへ倒れ、地面が揺れる。

オーガは、煙となり消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ