表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代ダンジョンで地道に努力する  作者: クスノキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/22

リベンジ

柚希が大学へ向かって歩き去って行く背中を見送り、和真は小さく息を吸った。


(よし、俺も行くか)


前から貯めていたお金に、昨日のダンジョン収入が少し加わった。5階層に挑むなら、さすがに防具なしは不安だ。


和真は、そのまま最寄り駅方面に向かい、

探索者向けショッピングモールGATE MALL新宿に足を運んだ。


自動ドアが開き、ひんやりした空気が肌を撫でる。

店内には雑貨店やカフェが並ぶ奥のフロアにダンジョン関連の専門店がずらり並んでいる。


その中でも特に人気なお店のDARWIN GEARに来ていた。

入口には、最新の装備やジャケットや大型スクリーンには、ダンジョンのCMが映っている。

まるでアウトドアブランドと家電ショップを融合させたようなお店だった。


「すげぇ…ここがダンジョンショップか」


思わず呟きながら足を踏み入れると、人の代わりにホログラム店員がふわりと現れ、笑顔を向けてきた。


『いらっしゃいませ。冒険者ランクはお持ちですか?』


「まだ登録者したばかりの初心者です」


『かしこまりました。ランクEからD向けの取り扱っている部門は、こちらになります』


ホログラムが光の矢印を出し、売り場へ案内された。


並ぶ棚には軽装プロテクターやカーボンプレート入りのジャケット、耐スライム素材のブーツなどが並んでいる。どれも日常でも着られそうなシンプルなデザインだ。


「すいません」


和真は、防具にそこまで詳しくないため、店員に聞くことにした。

声をかけると、二十代くらいの男性店員が振り向いた。


「はい!どうされましたか?」


「初心者なんですけど軽めの防具が欲しいんですけど…」


「それなら、このシリーズがオススメですよ」


店員が取り出したのは、黒とグレーのシンプルなジャケット。


「これ【ライトシールドジャケット】っていって

見た目は普通のジャケットですけどダンジョン用の耐衝撃層が入ってて、血兎くらいならかなり軽減できます。動きやすさ重視なら、まずはこれですね」


「触っていいですか?」


「どうぞ」


男性店員から受け取りながら鑑定してみる。


━━━━━━━━━━━━━━━

ライトシールドジャケット

ランク:E+

防御力:+10

斬撃ダメージ5%軽減する。

━━━━━━━━━━━━━━━


性能も悪くない。初心者用としてはそこそこだろう。昨日までただのジャケットだった自分からしたら格段にいいだろう。


「これが初心者セットの中で一番人気なんですか?」


和真が聞くと、店員は頷いて説明を続ける。


「はい。入門用の中では耐久が少し高くて、軽い分、動きやすいって初心者の方に好評なんです。本格的な中級装備には届きませんけど初めの一着としては無難ですよ」


「なるほど」


値段も手頃だし性能も初心者にしてはいい。

柚希に、少しは安心してもらえるだろう。


「これください」


「ありがとうございます」


和真はライトシールドジャケットを購入し、その場で着替える。身体にフィットし、動きやすさも申し分ない


そして店を出たあと、そのままダンジョンへ向かった。


キューブを操作すると、いつもの薄い光に包まれら一瞬で景色が変わる。


初心者ダンジョン5階層に転移した。

初心者ダンジョンの最終層の第5階層には、因縁の相手、ボブゴブリンがうろつき新たに、ベルハウンドが出てくる。


第5階層の空気は、他の階層よりわずかに重い。

通路の奥から、荒い息遣いが聞こえてくる。

角を曲がると、以前苦戦した因縁の相手がいた。


「グルルルァ!」


身長は、和真より少し高い程度、肩幅は広く腕をぶんぶん振り回しながらこちらを威嚇してくる。

緑色の皮膚に金色がかった鋭い眼光。ボブゴブリンだ


初めて遭遇した時は、回避するだけで精一杯だった。ショートソードでは、歯が立たず、ギリギリ倒した。


(でも、今は違う)


レベルが上がり、ステータスも大きく伸びてる。

装備も強化されたし、身体強化も2になった。


「よし、やるか」


ボブゴブリンが唸り声とともに突っ込んできた。


(あの時より、動きが見える)


迫り来る拳を横に跳んで避け、反対側に回り込む。重たいはずの一撃を、身体が軽々とかわしていた。


「はっ!」


ボブゴブリンにアイアンソードを振り下ろす。


ザシュッ!


以前は弾かれた硬い皮膚が、今は大きく裂ける。

ボブゴブリンは苦痛の声を上げた。


(本当に、強くなってる!)


勢いに乗り、和真は身体強化を発動する。

ボブゴブリンが再び突撃してくるが、


「遅い!」


横へ跳び、胸元へ斬りつける。深い傷ができ、ボブゴブリンが大きく体勢を崩す。

倒れかかった胴体へ一撃を叩き込む。


ズバァッ!


断末魔とともに、ボブゴブリンの巨体が霧のように消えた。


「…勝った」


息は上がっているが、心の中は妙に落ち着いている。前みたいに苦戦せず勝てたことに成長を、実感し、胸の奥が熱くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ