表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1話 やっぱり僕に恋愛は難しい?

放課後の廊下は、夕日で少しだけ赤かった。

靴箱の前に、笑い声が響く。


それが僕に向けられたものだって、もう聞き分けられるようになっていた。

「おい、茉央。なんでそんな顔してんの? 」

黒瀬灰翔が笑いながら、僕の肩を軽く叩いた。


その「軽さ」がいつも怖かった。


「別に」

そう答えた瞬間、背中に何かが当たる。

押された、と思った。


次の瞬間には、体が浮いていた。

世界が、ゆっくり反転する。


夕日の色が消えて、耳鳴りが残った。

ブレーキ音。誰かの悲鳴。

痛みより先に、


「あ、まただ」って思った。

前にも、こんなふうに終わらせようとした。

でも今回は違う。


誰かの名前を呼びたかった。

呼べなかった。

白い光が、俺を飲み込んだ。


救急車の音だけが聴こえる。

あぁなるほど、よくわかった。

僕は、突き飛ばされて轢かれたんだ。

もう、全てがどうでも良い。


さて、いつから思い出そう


―――


あれは小6の夏だった

あの日もイライラするくらい暑い日だった。


「ねぇ、茉央くんって好きな人いるの? 」

結衣菜の唐突な質問に思考が停止した、いや理科の授業中にすることじゃないだろ、、、。


いやおまえなんだよ

そう言いかけたけどギリギリ言葉には発せなくてよかった。とりあえずは濁しとくか

「えーっと氷川ちゃんかな、、、」

そう言いながら頬を掻いた。


まさかこの一言がこんな事になるなんてね、


「えっ! えっ! 茉央くん唯夏ちゃんのこと好きなの!」

嘘でしょ。そんな反応する結衣菜初めて見た。

「えー告っちゃいなよ! 」「そーだそーだ! 」

いやお前誰だよ、いやクラスメイトだろ

「あーうんいつかね、修学旅行とか」

「それ絶対言わないやつじゃーん。えっビビってんの?ww」

結衣菜は満面の笑みで言った。


「わかったよ、じゃあいつがいい? 」

墓穴掘るなよ。

「んー今日? 」

いや唐突すぎ、怒るよ !?

でもあんな可愛い顔で言ったら仕方ないやってみるか?いやでも僕は結衣菜が好きなんだ、大好きだ。

でも

「わかった、試しにね」

結衣菜に流されて言ってしまった。

あーあ


―――


お昼休み僕は、唯夏を体育館裏に呼んだ。

「えーっとなんで呼んだの? 」

唯夏は不思議そうな顔で言った


「優しくてかわいい唯夏が好きです。付き合ってください。」

結衣菜の作った告白台詞が書かれた紙の通りに言葉を発した。文字綺麗なんだ。知らなかった。


小学生みたいなこと言ってる自覚はあったし、心なんてひとつも込もっていなかった。

「いいよ」

唯夏の一言。

僕の目は大きく開いた。

手が震えた。


「よろしくお願いします」

あの日、僕は結衣菜を忘れた。


ーーー


「お前、唯夏と付き合ってんの? 」

黒瀬灰翔。僕を突き飛ばしたやつ。

正直昔は仲良かった。同じバスケクラブで練習してた。

いつからあんな風になってしまったのだろう。


「うん。まぁそうだけど、、、別に関係ないだろ」

「いや、めっちゃ関係してるだろ。こっちは幼馴染が付き合ったんだよ?パーティー開きたいくらいだわ」


心が込もってなかった。


灰翔は、半笑い気味に言った。

「いーなー。お前みたいな女っぽいやつでも彼女いるのに、俺は一向に彼女できないなぁ」

お前は、たくさん女が周りについてるだろ。ハエみたいに。

「まぁいいや。どうせすぐ別れるだろ。そしたら慰めてやっても良いけどw」


腹の底から怒りが湧いた。

殴ろうと拳を固めた時。


「何の話してるの?」

「唯夏、、。」


「あれぇ? 現在進行形のカップルじゃないですか。」

「もうあなたには、関係ないでしょ」

「彼氏さんと同じ事言ってますよーww」


本当に人を怒らせるのが好きだな。

もう離れた方がいい。

「唯夏、もう行こ」


唯夏の手を取って教室を出てった。

帰り際に灰翔の顔を覗いた。少し寂しそうな顔をしていたのは、気のせいだと思う。


―――


「唯夏。なんで僕の告白を了承したの? 」

「元々好きだったから。」

「あーあれか! 小4のときの! 」

「そうだけど、、、」

唯夏は赤面した顔で言った。

気づかないかったけどやっぱり好きだったんだ。


そう思い手を繋ぎながら静かに帰った。


まさか中学でこんなことが起きるなんて


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ