妖しい目
三国同盟第一回会合の日が決まり、それまで王都で平和な日常を過ごすルディアルを影から視るモノがいた…
「んふふぅ…初夜失敗…笑えるわぁ…」
ルディアルがマリア姫に蹴っ飛ばされるその姿を遥か遠くから透視する美しき女性。
その女性はほっそりとした足首まで届く紫色の絹糸よのうな髪を持ち、スレンダーでありながら、胸ははち切れんばかりに大きく、その蠱惑的な肢体を髪と同色のイブニングドレスで包んでいた。
◇◇◇◇
「お姉様…ごめんなさい!!」
マリアちゃんに蹴り飛ばされた次の日。
2ヶ月ぶりの公務中にマリアちゃんが謝ってくる。
「ううん、悪いのは私の方です。無理矢理こじ開けようとしてごめんなさい」
俺のだらしないふにゃふにゃ息子はマリアちゃんの防御力に屈した。
「もっと強くなってマリアちゃんの初めてをちゃんと貰うから、もう少し待っててね」
「…!はい!!」
「お話し中、申し訳ありません!そろそろ視察のお時間です」
ドアのそばに立つ近衛騎士のレイラさんが時間を告げる。
公務中のレイラさんは騎士らしく堅い口調で話す。
ちなみにここはランドール王城の最上階に作られた俺用の執務室 [天使の間]だ。
20畳ほどの広さの部屋で大きな窓とバルコニーがある
先程、公務と言ったが俺の仕事は王都の空を一回りし、たまに天使の祝福と称して劣化ヒールを民衆にかけるだけの簡単なお仕事だ。
「行ってらしゃぁいルディアル」
「ふん、民に媚を売る天使か…」
ベッドに寝そべりBL本を読む女神ファーラストと
同じくBLを読む天使リリネルだ。
流石に創造の神であり他国の御本尊であるファーラストを民の眼に晒すはマズイという事で、ここに隔離している。
と言うか天界に帰れ!!
天界はアイテム購入スキルの圏外という事で地上に居ついてしまった。
リリネルもファーラストのBL本目当てでここにいる
二人を白い目で見るマリアちゃん。
あんな風になってはダメですよと俺は諭す。
「じゃ行ってきますね」
バルコニーに通じる大窓を開いてくれるノエルさん
王都の空に飛び立った俺は両手を組んで、民達の目に止まるように大通りの上を飛ぶ。
家の中から外に出てきて、俺に向かって祈りを捧げる民達。
その民に向かってエフェクトだけは立派な劣化ヒールをばら撒く。
くく、これだけで毎日食っちゃ寝のハーレム生活を送れる!なんてホワイトな仕事なんだろう!!
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