精霊姫フェアリア
ついに始まる魔王軍対魔王軍の戦い。
昆虫族、爬虫類族、精霊族の5万の反乱軍が魔王城に迫る。
「裏切り者のデビアスよ…我が怒りを思い知るが良い!」
数キロ先の魔王城を憎しげに睨みつける少女がいた。
少女の後ろに控えるのは昆虫族の長、アラクネ族の女王タランティーヌと爬虫類族の長、ラミア族のガーラだ。
「姫、全軍突撃準備完了しました。」
タランティーヌが報告する。
頷く緑髪の少女。
「うむ、タランティーヌ、ガーラよ。ご苦労であった」
姫と呼ばれたその少女こそが昆虫族と爬虫類族、そして精霊族同盟軍最高司令の精霊姫フェアリアである。
「いけ!!我がシモベ達よ!!憎っくき人間に与するデビアスを討つのだ!!」
緑色の軽くウェーブのかかった細く端正な面持ちの精霊姫が5万の昆虫族、爬虫類族と精霊族を鼓舞する。
「うおおおおおおおお!!!!フェアリア!フェアリア!フェアリア!!!タランティーヌ!タランティーヌ!ガーラ!ガーラ!ガーラ!」
大地を揺るがす4万の歓声と1万の歯軋り音!
ありとあらゆる昆虫や爬虫類の姿をしたアラクネやラミアと言った亜人達や、木の体を持つ植物系亜人が精霊姫フェアリアの鼓舞に反応する。
さらにはシルフやウィンデーネ、ドライアードと言った精霊種が彼らに祝福を与える。
この精霊と昆虫、爬虫類の三族同盟軍の万全の布陣に精霊姫フェアリアは微笑む。
「全軍出撃!!」
フェアリアの勇ましい掛け声と共にドラが鳴り響き、大地を埋め尽くす5万の軍隊が動き出した。
20分後…
「こ、降伏します…」
先代魔王ルシファさんの足元で土下座する昆虫族女王のタランティーヌと爬虫類族の長ガーラとそして
精霊姫のフェアリアの姿があった。
◇◇◇◇
反乱軍が進軍する少し前に戻る。
俺は器械天使liteパックのクラフトスキルの残りポイント全部使ってクラスター爆弾を30発ほど作った。
その30発のクラスター爆弾をハーピー達に持たせ、上空から反乱軍の鉾であり盾であるジャイアントビートルやアントなどの巨大昆虫の群れの中に無差別に投下させた。
結果。
数千匹の巨大昆虫は粉々になり、その爆発の破壊力に反乱軍の亜人達は恐慌状態に陥り壊走。
戦列が崩れ軍の機能が停止する。
自分達の上を縦横無尽に飛び交うハーピー達の姿に精霊姫は負けを認め白旗を上げ投降してきた。
こうして昆虫族の最高指導者であり拠り所となる精霊姫フェアリアと女王タランティーヌと爬虫類族の長ガーラを捕虜にする事で魔王国の内乱は開戦から1時間も経たずに終わった。
◇◇◇◇◇
「本当にありがとうルディアル!こちらは一兵の損失もなく反乱を鎮圧できたよ!!」
魔王城に戻ってきた俺に礼を言うデビアス。
「ふふふ、お安いご用ですよ」
実際、制空権を確保してしまえば対空兵装のない地上の軍隊などただの標的でしかない。
反乱軍もジャイアントビートルや蝶の亜人などが迎撃に飛んできたが、隼のように飛翔するハーピーに追いつける昆虫はいなかった。
例えるなら音速ジェット戦闘機相手に鈍重な攻撃ヘリで迎え撃つようなものだ。
むしろ敵亜人に怪我をさせないように爆撃したせいで余計な手間がかかった。
デビアスとともに謁見の間に向かう。
魔王になったルシファさんに戦勝報告するためだ。
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