天使、魔王軍に加担する
ハンディカムに映し出されていたのは魔王城に迫る1万を超える昆虫軍の姿だった。
「す、すごい…」
ハンディカムの液晶モニターに映し出された敵陣の映像に言葉を失うデビアス。
この映像は偵察部隊のハーピーが撮影した2時間前の動画だ。
ハンディカムの超望遠を生かし、ハーピーの高高度からの撮影により、敵の昆虫族は盗撮されている事に気がついていない。
ハーピーは撮影を続ける。
敵最前線部隊はジャイアントビートルとジャイアントアント、ジャイアントビーの1万を越す混成突撃部隊。
まさに戦いは数だよを地で行く数の暴力だ。
このわしゃわしゃとひしめく巨大昆虫に鳥肌が立つ。
昔やったゲーム、地球◯衛◯を思い出す。
ハーピーはそのまま敵陣の奥深くに突入する。
敵陣奥深くに行くほどに、昆虫族の姿は人間に近づいてくる。
おお!エロいアラクネだ!
下半身は巨大な蜘蛛。上半身は美女の蜘蛛女の姿が見える。
蜘蛛の糸で拘束されたい!!
さらに昆虫族と同盟関係の爬虫類族のラミア!
惜しげも無くおっぱいを晒す蛇女。
これもまた尻尾で締め上げてほしい…
などセクシーなモンスターがいっぱいいた。
そして一際高く、一番奥の陣営に1人の女性がいた。
「やっぱりぃ…精霊姫が後ろにいたわねぇ」
デビアスママのルシファさんがポツリと呻く。
「精霊姫?」
俺はルシファさんに尋ねる。
「昆虫族はその性質上、木や花などといった植物の精霊との結びつきが強いのです」
そして精霊は、森を切り開き自然を破壊する人間族と相性は最悪で敵対関係と言っても良いレベルらしい。
「もともと精霊姫は、精霊の敵である人族と同盟を組む事に反対していたからねぇ」
この進行スピードだと4日後に魔王国国境に到するようだ。
「もし精霊姫が勝ったらどうなります?」
「僕と母は見せしめで処刑され、そのあと人間族と全面戦争かな?」
ダメじゃん!
「まぁ大丈夫。今の母上は全盛期ほどではないけど歴代最強の魔王だし。あの1万の昆虫の群を突破してなんとか精霊姫とタイマンに持ち込めば勝てるよ」
◇◇◇◇◇
魔王城の外で着々と戦闘準備をする魔王軍。
ルシファさんも漆黒のドレスに漆黒の胸当てをつけた色ぽい鎧を身にまとっている。
騎士団長のカルディナも部隊編成に駆け回っている。
俺たちは部外者。
戦争に巻き込まれる前に王国に帰っても良いし…
いや…天使として人間に害なす魔族は討つべきか?
一応、この世界の創造神である駄女神に意見を聞きたいところだが…
この体をくれた名もなき天使様は、こういう時どう動くのだろう…
「ルディ…私たちは貴女の判断に従うわ」
「うん、ありがとう!」
アリシアさん達を守る!その為には人類の敵は討つ。
「デビアス、友人である貴女に協力します」
目を剥くデビアス。
「駄目だよ!天使が加担したとなると人類と神、悪魔と精霊の全面戦争になるよ!」
「問題ありません。私はこの世界の天使じゃないですから」
笑顔で答える俺。
「それに勝つにしても被害は出るでしょう?」
「まぁ、大規模な内乱だし。それなりに出るだろうね」
「私なら巨大昆虫だけを始末して、相手の戦意を砕く事が出来る!と言ったら?」
「あの1万以上のジャイアントビートルを!?」
「えぇ、ハーピーの協力があれば可能です」
俺は魔王軍に手を貸す事にした。
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