神聖国への旅路
聖女との闘いに破れたルディは神聖国に向かう事になった。
「あっ、ああ!あふっ!」
熱い呻きを漏らす聖女。
ガタガタ跳ねる馬車の中で、俺は聖女の上で跳ねていた。
「あぁぁ!て、天使様のお尻が!お尻が私の背中の上で跳ねているぅぅ!!」
俺の尻の下に轢かれている少女はファーラスト神聖国の聖女さまだ。
俺はこの聖女さまと戦い、そして負けた。
負けた俺は聖女との約束した通り、神聖国に向かっている途中だ。
道中、ガタガタ揺れる馬車が苦手な俺を気づかい、聖女は自らの身体を座布団代わりにするように言ってきたのだ。
もちろん断ったよ。
でも熱く蕩けた目で背中に座ってくれと懇願されたから仕方なしに座ったけど…
細身すぎる聖女の背中は少しゴリゴリして少しお尻が痛かった。
「聖女さま、そろそろお昼の時間です」
御者席に座ったガーランドが窓越しに声をかけてくる
「うん、分かったわぁ」
ちょうど良い大きさの一本の樹の下に馬車を止め、かまどを作ったガーランドは手慣れた様子で干し肉を炙り始める。
ブロロロ…
少し離れた場所に停車する軽自動車。
心配して俺の後を追ってきてくれたリリィフラワー達だ。
「聖女さま…リリィフラワーの皆さんもこちらに呼んで良いですか?」
「て、天使様…私の事はセリナと呼んでください!」
ガシッと手を握られる。
「分かりました…ではセリナ。皆さんを呼んでも良いですか?」
「はい、天使様の御心のままにぃぃ!!」
セリナの了解を得たのでリリィフラワーに向かって手を振る。
「ルディ…大丈夫?へんな事されてない?」
ヤンデレコミュ障聖女と二人きりで馬車の個室に閉じ込められた俺を心配してくれるアリシアさん。
「まぁ…大丈夫と言える範疇かなぁ…」
聖女の人間座布団プレイは好意からだし、セーフと言うことにする。
まぁ、とりあえずせっかくみんなで食事をとるんだし、ここはアイテム購入スキルで豪華に行くか!
俺はテーブルセットを胸のアイテムボックスから取り出した。
「セリナ!ガーランドさん!こっちで食べましょう」
「おぉ、なんと立派なテーブル!」
全力で駆け寄ってくるセリナ。
「せっかく干し肉を焼いてくれたのに申し訳ありませんガーランドさん。」
「いえ、これはこれで食べますから」
「ルディ!!久しぶりにカップラーメン食べたい!」
「おぉ、良いですね!」
「チリトマト味のカップラーメンが良いですね」
「私、コーラも!」
「はいはい」
俺はアイテム購入スキルでカップラーメンを大量に買い込む。
「こ、これは!?」
カップラーメンを初めて見るセリナは興奮気味だ。
ヤカンで沸かしたお湯を持ってくるノエルさん。
みんなの分に注ぐ。
「私の国の食べ物ですよ。簡単に作れて美味しくて保存も効くすごい食べ物なんですよ」
みんながラーメンに対する想いを語り合う。
女性の中にたった一人の男性であるガーランドさんは、居心地が悪いのかその大きな身体を小さくしている。
その気持ちは分かる…
「おおおお…不思議な料理」
フォークですくい上げた麺に驚くセリナ。
ハフっハフっ
食べにくそうにフォークで巻き取った麺を齧るセリナ
「あ、思いきりスープと一緒に啜るように食べてください。」
スババババ!!
いや啜りすぎ!!
「美味い!!美味いのです!!!」
目を輝かせるセリナ。
セリナが食べているのはレッドフォックスだ。
「中に入っているこの茶色いパンのような物も美味しい!!」
「えぇ、こんな美味しい物…初めてです」
ガーランドもチャーシュー麺の味に驚く。
「久しぶりのラーメン…ルディ!おかわりです!!」
「私、ご飯追加!」
「お姉様!コーラ飲みたい!」
「お湯を入れただけでこんなに美味しくなるなんて…」
ノエルさんはワカメスープのラーメンだ。
レイラさんは焼きそばにマヨネーズをかけて食べている。どうやらマヨネーズがお気に入りのようで、色々な食事にマヨネーズをかけては食べている。
「ふぅ…食った食った…」
みんな2つ以上食べた。
「このお皿ぁ貰って良い?私の食器にするぅ」
いやいや、カップラーメンの容器は使い捨てだから!
と言っても聞かず、セリナは容器を大切に保管箱にしまっていた。
1時間ほど食休みをしてから再び神聖国を目指して出発した。
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