ドSな女達
ピクニックを楽しむリリィフラワーとお姫様一行。そしてそれを邪魔してきた盗賊達を撃退したルディ達であった。
「ひぃぃぃ!!」
フルオープンの軽自動車のリアハッチバックから後ろを覗き悲鳴をあげる俺。
時速20キロで走る軽自動車から伸びた牽引ロープの先には五人の盗賊が結び付けられ引きずられていた。
そして、土埃をあげ引き回されボロ雑巾のようになりながら悲鳴をあげる盗賊達の姿にビビる俺。
「きゃはは!いい気味いい気味!」
ハッチバックから出した両足をブランブランさせながら陽気に笑う姫さま。
メイドのノエルさんと女騎士のレイラさんの乗る馬からも盗賊が一人ずつ引き回されている。
「アリシア!あっちの方が道が悪いわよ!」
苦しむ盗賊を見ながら歪んだ笑みを見せるクラリスさん。
盗賊が死なないように時折、ヒールを飛ばす。
「うふふ、岩が埋まってて気持ち良さそうね」
悪路に向けてハンドルを切るアリシアさん。
「グェェェ!!」「アギャァァ」「殺しテェ!殺しテェ!!」
ズボンが摩擦で脱げ、フリチン姿で引き回される盗賊の無残な姿に青ざめる俺。
「はぁ…はぁ…ヒール…はぁ…はぁ…」
上気し赤く染めた頬で、荒い吐息を吐きながら盗賊にヒールするクラリスさん。
「ギャ!!」
岩でピーーーを打ったのだろう断末魔のような悲鳴をあげる盗賊。
「おー、今の痛そうです。アリシア、もっと蛇行してください」
リリアさんも苦しむ盗賊を見て喜んでる。
こ、この世界の女はみんなドSなのか!?
内心、恐怖を感じる俺だった。
1時間ほどして王城の城下町の近くの森に着いた。
幸い、悪路を選んで走ったお陰で、街道を行き交う人達には車を見られなかった。
「あー楽しかった~」
ご満悦な姫さま。
なんだろう。
俺はマッドなマックスな世界を見たような気分だ。
「ルディアルさまのお菓子もすごく美味しかった」
お菓子も喜んで頂けたようだ。
「姫、私はこやつらを憲兵所に連行してきます」
ほぼ全裸のボロボロのボロ雑巾になった盗賊七人を連行していくレイラさん。
盗賊とはいえ、あんな目に合わせるぐらいなら、その場での斬首を認めてあげた方が良かったかも知れない…
俺はお土産にお姫様お気に入りの1.5リットルの黒い炭酸飲料をプレゼントした。
「姫さま。今日は姫さまとご一緒できて嬉しゅうございました。では、私たちはこれでっ!?」
ガシッ!
うおっ!さすがレベル37のモンクの握力!!
握られた腕が万力で挟まれたようにビクともしない!
「ルディアルさま、また遊びに行ってもいいですか?」
金髪の美幼女の上目遣いのおねだり!
これは逆らえない…
俺はアリシアさん達を見る。
頷くアリシアさん達。
「えぇ、また遊びに行きましょう」
俺は姫さまと指切りげんまんをした。
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