王女
辛くも半神半人の刺客、勇者エミリナを退けたルディアル。
しかし王国では天使を巡る陰謀が始まっていた。
「ねぇ、ねぇ!お父様!!私も天使様に会いたい!会いたい!会いたいィィ!!」
国王ランバードに駄々をこねるのは、10歳前後ぐらいの金髪ロングヘアーの愛らしい少女だ。
「ふふ、困った娘だ。まだ公務中だぞ」
王座から立ち上がり、娘を抱っこする国王。
そして娘を抱え、そのまま王座に座ると優しく諭す王
「マリアーヌ…無理を言うんじゃないよ。ドラゴンを倒した天使様は天に帰られたのだよ」
大きな瞳を輝かせるマリアーヌ姫。
「でも、伯爵様の街にいるって聞いたわ!」
ランバード王も伯爵領の宿屋の天使の件は聞いていた。
私は天使じゃないとルディと名乗る旅人は否定しているが、おそらく本物の天使だろうと王国会議の有識者が集まり調査して出した結論だ。
と言うか、本人は外套で隠しているつもりのようだったが、小さな翼が丸見えだった。
しかし!
天使さま本人が違うと言うなら、そう言う事にしておこうと会議で決まったのだ。
愛らしい娘の頼みでもこればかりはどうしようもない。
諦めてもらうしかなかった。
「ふんだ!ならこっちから会いに行くもん!!」
広い自室に戻り、ドレスを脱ぎ捨てるマリアーヌ姫。
「レイラ!ノエル!!出かけるわよ!準備して!」
その頃、宿屋では…
「こ、怖かった…」
ドサッとベットに倒れこむアリシアさん。
「対峙しているだけで汗をかきました」
神官服を脱ぎ、脇汗を布で拭き取るクラリスさん。
「勇者様の魔力…ウィザードの私より高かった…」
勇者とは言え、前衛職に魔力で負け落ち込むリリアさん。
「あんなに強い人がいたんですね」
神すら殺せそうな力を持った人間がこの世にいるとは思わなかった。
「あの勇者様は半神半人で、間違いなく神様ですよ」
どおりで強い訳だ。
「500年も戦い続けているお方だし…」
うへ!?見た目は女の子なのに500歳を越えてたのか!?
「ねぇ…私、勇者様に殺気を向けられて身体が震えて…濡れてきてるの…」
熱い吐息を漏らすクラリスさん。
生命の危機に晒されると種族保存の本能が働くと言う。
それゆえ、獣人のクラリスさんは特に性欲が増すらしい。
俺はクラリスさんに押し倒され、そのまま夜戦にもつれ込んだ。
次の日。
宿屋の食堂でみんなと朝食を取っていると…
「ねぇ、あなたが天使様なの!?」
ブフッ!?
幼女の当然の問いかけに、リリィフラワー全員が鼻からミルクを吹き出してしまった。
「ゲフッゲフッ…違います。ただの旅人のルディです」
もう、このセリフも何度目だろう。
俺たちに鼻ミルクを噴き出させた幼女を見る。
随分と仕立ての良い服を着てる金髪ロングヘアーの幼女だ。
「ふーん、司祭様の言った通りね。本当に天使だとバレてないと思ってる天使様なのね。」
おぉ?今、なんか聞き捨てならない事言ったぞ。この幼女!
「そ、それはどう言う事ですか?」
「だって、司祭様たちがっ」
「失礼しました!!」
突然、幼児の口を塞ぐ鎧姿の女性。
(マリアーヌさま!それはご法度です。禁則事項です!)
(レイラ!離しなさい!今のは口が滑っただけよ!)
「あの?」
突然、内輪揉めを始めた幼女と女騎士さん?
「私は天使じゃありませんよ。似てると言われますけど。」
ヤバいなぁ、やっぱり王城関係者にはバレ始めてるか…
この幼女も身なりからすると王族か貴族様んとこの娘さんだろう。
俺は幼女とレイラと呼ばれた女騎士と背中に両手剣を背負ったメイドさんの三人組をよく観察する。
両手剣を持ったメイドさん…かっこいいな
…て!!!!
このメイドさん!!!
王城であった、とてとて(とてもとても強い) のメイドさんだ!!
たしか…肩書きが王族付きのメイドだったはず…
念のため天使の眼でメイドさんのステータスを視ようしたが、メイドさんが俺に対して仲間意識を持っていないため詳細は見られなかった。
うーん
(思考 2.0秒)
王族付きのメイドさんが従えているこの幼女は…もしかしてお姫様!?
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