聖堂教会へゴー
王城に迎え入れられたルディアルは、浴場でメイドさん達に隈なく細かくあんなとこやこんなとこを丁寧に丹念に洗われて昇天してしまった…そして朝を迎える。
チュン…チュン…
朝チュンを迎える。
「知らない天井だ…」
純白のフリフリがいっぱいついたベットの天蓋が見えた。
あ、そうか俺…五人のメイドさんに色々なところを丹念に洗われて昇天させられてしまったんだ!
コンコン。
「どうぞ」
ドアがノックされとてとてメイドさんが入ってきた。
「おはようございます。お加減はいかがでしょうか?」
「気分は爽快ですよ」
ベットから起き上がる。いつのまにかシルクのサラサラな寝巻きに着替えさせられていた。
「朝食をお持ちしました」
銀に金の彫刻を施された高そうなトレーに銀の皿に銀のスプーンとナイフでパンと果物を中心にしたヘルシーな朝食だった。
「美味しそう。いただきます」
隣でミルクティーを淹れてくれるメイドさん。
そう言えば、メイドさんって朝から晩まで働いているな…メイドって意外とブラックな職場なのかなぁ
「メイドさんってお休みとかあるの?」
もしブラックな労働条件なら改善したい。
「え?あ、はい週に三日お休みを頂いてます」
うわぉ以外にホワイトだった。
食事を終えると王の間に来てほしいと言われたので出向く事にする。
天使の鎧を纏う為、寝巻きを脱ごうとすると隣の部屋からまた五人のメイドさん達が現れて、スルスルと俺を全裸にする。
も、もしかして隣の部屋でスタンばってた?
「あひゃ!」
程よく冷えたタオルであんなとことかこんなとこを拭かれる!!
「も、もう大丈夫!綺麗になったからありがとう!!」
見習い天使の鎧を具現化する。
ほぅ…とした表情で俺を見つめるメイドさん達。
も、もしかしてそっちの気がある人たちなのだろうか?
メイドさん達に囲まれながら王の間に向かう。
王の間に向かう廊下には貴族や騎士、メイドさん達が参列していた。
もはや俺は見世物状態だ。
王の間に入ると、昨日いっしょに馬車に乗ったアーデルと名乗った司祭とシスターの皆さんがいた。
「ルディアルさま!今日はぜひ我が聖堂教会にお越しくださいませ!!」
ひしっと両手を掴まれる。
「は、はい、ぜひ」
「おぉぉ…ありがとうございます。さ、さ、こちらへ」
アーデルにエスコートされながら王城をでる。
そこにはオープンカータイプの馬車があった。
「ささ、お乗りください」
アーデルに手を引かれながら馬車に乗り込む。
馬車の座席には座布団のようなクッションが6枚ほど重ねてあった。有難い事だが…お笑い番組の笑◯の落語家のような状態になってしまった。
そのまま、城門を出て教会を目指す。
街の中は俺を見ようと大勢の人集りがあった。
「天使さまーー!!」
「奴隷解放ありがとうございます!」
「税率を下げてくださってありがとうございます!」
などと身に覚えのない事まで俺のせいにされてる
とりあえず、笑顔で手を振っておくか。
しかしますますヒールしか使えない劣化ヒーラーだとバレないようにしなければなるまい…
ガタンガタンと、馬車が揺れるたびに座布団の上をボンボンと跳ねる俺。こんな座布団の上で跳ねてる天使を見て喜んでる男ども。何が楽しいのかねぇ?まぁトランポリンみたいで少し楽しくなってきたが…
ルディアルを見たとある男たちの感想。
(おい、見たか!?)
(見た見た!!)
(天使様のおっぱいプルンプルン!!)
こうしてルディアルは男たちに夢を見せた。
そうこうしているうちに聖堂に到着した。
おおー、ローマにある大聖堂を思わせる作りだ。
シスターに手を引かれ馬車を降りる。
「ささ、奥へ」
聖堂に入るとシスター集団による賛美歌のコーラス。
ここは笑顔で手を振るしかないな。
「どうぞ、お飲みください」
年代物ぽいワインだ。ありがたくいただく。
美味い!!
シスター達がどんどんお茶菓子を持ってくる。
遠慮なく頂く。
「あ、あの天使様…この度はどう言った理由で地上に降りられたのでしょうか?」
…理由なんてない、単なる事故だ。
とは言えないなぁ。
ボリボリとクッキーをかじりながら思考する
(思考0.2秒)
「視察です」
「も、申し訳ありませんでした!!!」
いきなり土下座するアーデル。
アーデルに習い、他のシスターさん達も土下座する。
「一部の者がシスターにあるまじき行為を働いていた事をお詫びします!」
あぶねー。いきなりのシスター軍団の土下座にクッキー噴き出しそうになったぜ。
「全て分かってます。私が求めるものは分かりますね?」
とりあえず、必殺「知ってるフリ」しておこう。
「はい!このアーデル。心を悔い改め神や天使様達の名を辱めないよう、民のために努力いたします!!」
うん。よく分からないけどシスターさん達が民の為に努力してくれるなら悪い事はないだろう。
「期待してますよ」
とりあえず、エフェクトだけは立派な劣化ヒールで周りにいるシスターズを祝福する
「おぉぉ…」
涙を流して感涙するシスターズ。
ここで、アーデルのステータスをこっそり覗く。
[名前 アーデル。職業 司祭。とてもとても強い]
あ、やっぱりとてとてだ。
司祭を名乗るだけあって回復魔法はかなり強力で手足の欠損ぐらいなら簡単に治せる実力はあった。
周りのシスターさん達も俺よりも能力は高い
しまった!回復のプロ集団に劣化ヒールを使った事を後悔する。
ここは逃げの一手。
「では、私はしばらく姿を消しますが地上の様子はちゃんと見てますよ」
「そ、そんな!どうか我が聖堂教会に滞在なさってくださいまし!!」
いやいや!?
偽物が本物集団の中で暮らせる訳がない!
ボロが出る前に逃げる!!
「ふふ、私はあなた達の心の中にいます」
「は、はい、どうかいつまでも私達を見守ってください」
聖堂を出て、ゆっくり空へ舞い上がる俺にシスターさんや、聖堂の周りに集まっていた一般市民の人達全員、ひざまついて祈りを捧げる
そんな人達に見送られながら天使の帰還ぽく演技しながらMPが尽きて墜落する前に安全に姿を見られずに降りられる場所を探す。
50メートルぐらいある巨大な山のような岩石の死角を利用して人に見られないように着地。翼を小さく収納する。
「ふう…メイドさん達と別れるのはもったいないけど、仕方ない…」
あのまま城でメイドさん達と暮らしたら絶対サキュバスにクラスチェンジしてた自信はある!!
魔道に堕ちない為にもこれは仕方がないんだと自分を慰めていると…
「ぐへへ!エロい格好したネェちゃんじゃないか」
俺たちは盗賊ですと全身で表現した男達に取り囲まれていた。