ペットボトル
朝食にカップラーメンを食べたいと無謀な事を言い出すアリシア。
困り果てたルディアルは起死回生のアイディアとしておにぎりを買う。
「これ美味しい!!」
今朝もカップラーメンを食べたいと駄々をこねるアリシアさんに根負けして、スキルで朝食を買った。
さすがに朝からカップラーメンは如何なものかと思って、おにぎりを数種類ずつ用意した。
最初は小さな虫の卵の塊に見えるおにぎりに抵抗しめした三人だが、一口食べたらその味の虜になった。
「ツナマヨ最高!!」
「いいえ辛子明太子が至宝よ!」
とお互い譲らないアリシアさんとクラリスさん。
「梅干し、いらない…」
リリアさんに食べかけのおにぎりを押し付けられた。
間接キスいただきます。
おにぎりにはお茶だよな。
俺はヘーイ!お茶を人数分買う。
「独特な味ねぇ…」
「すっきりしててゴクゴク飲めるわ」
「この容器凄いです」
三者三様の意見だが、とりあえず満足してくれたようだ。
朝食が済んで出発する。
道中、旅の商人一行とすれ違った。
「ルディ、ルディ!ペットボトル売っていい?」
リリアさんに小脇を突っつかれた。
「え?えぇ?どうぞ!?」
旅商人に駆け寄り、ペットボトルを見せるリリアさん。
空に投げて落としてみたり、魔法で出した水をペットボトルに入れ、逆さにして振ったりして商品アピールしている。
なるほど、この世界の水筒は皮袋だ。
そんな世界でこのペットボトルは画期的なアイテムだろう。
ソロバンを弾きだす商人。
途中、何度か俺を指差すリリアさん。
そして駆け戻ってくるリリアさん。
「ルディ、この水飲める事を証明して」
ぐいぐいと俺の唇にペットボトルを押し付けてくる。
「うぷっ、飲むから口に押し込まないでください」
コクっと一口飲む。
「他のも飲んで!毒がない事を証明する」
「はいはい」
「できれば唾液をつけて飲んで」
言われた通り、他の3本も一口ずつ飲む。
「ん、ありがとう」
再び、商人の元に駆け寄るリリア。
俺の顔を見ながらソロバンを凄い勢いで弾く商人達。
何故か商人達の間でオークションが始まった。
少ししてホクホク顔で戻ってくるリリアさん。
その手に持った袋の中には金貨が500枚あった。
おー、以外とリリアさん商才あったんだな。
あれ?商人達が、リリアさんから買ったペットボトルの水を売らずに飲み始めたぞ!?
まぁ、中身よりペットボトルの方が重要だからな。
「ルディのおかげで大儲けできた」
俺の胸の中に金貨500枚入った袋を押し込むリリアさん。
「もしかして冒険者するよりも稼げる?」
「私はルディを売るようで抵抗ありますね」
「ルディさえ良ければこれで稼ぐのも悪くない」
うーん…俺は天使として人助けをすると誓った身。
転売は天使の流儀に反するかな…!?
(思考0.2秒)
「路銀に困った時だけにしましょう」
「ルディがイイならそれで決まりね」
商人達に別れを告げ立ち去る。
しかし…いつまでペットボトルの飲み口をペロペロ舐めてるだ?あの商人達?
その夜…
俺の間接キスを付加価値につけて商人に売られた事に気がついた俺は、リリアさんの弱点を責めてたっぷり鳴かしてやった。
そんなこんなで、1週間後…
クラリスさんの村にたどり着いた。
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