カップラーメンとビール
聖堂教会から逃れるため街をでるルディ達リリィフラワー。
そして旅の初日。
ついにルディは神からギフトを授かる。
「ふー、今日はここをキャンプ地とする」
とそう言って、何もない平原の小道から少し離れた川辺に腰を下ろすアリシアさん。
「まずまず順調な滑り出しね」
軽く伸びをするクラリスさん。
「お腹すきましたー」
ペタっと大きな石の上に女の子座りでへたり込むリリアさん。
「荷物出しますよー」
俺は胸の谷間からキャンプ道具一式を取り出す。
ささっとテントを設営するリリィフラワー。
かなり手慣れている。
「何か手伝える事あります?」
キャンプ不慣れな俺は手持ちぶたさだ。
「そうねぇ…カマド作れる?」
「カマド…やってみます」
カマドか。
石を積めばいいのかな…
俺は天使の眼を使ってみる。
ARでカマドに使えそうな石を探す。
「ん?」
別ウィンドウにカセットコンロセットが表示された。
値段が5銀貨(約5000円)と表示されてる。
なんだこれ!?
俺は懐から銀貨を5枚取り出し、AR表示に当ててみる。
すると!
銀貨が消え、カセットコンロセットがARから現実の物に変化した!!
「おわっ!?」
「ルディ!?どうしたの!!」
俺の悲鳴に駆けつけるアリシアさん達。
「何ですかこれ?」
地面におちていたカセットコンロセットを見つけ、
小枝でツンツンするリリアさん。
「これは…調理器具です…」
俺は組み立ててみる。
「何これすごいわ…魔道具なの?」
興味深々なクラリスさん。
入っていた取り説を見ながら乾電池とボンベをセットしてツマミを捻り、火をつける
「うわっ!!!」
「えええ!!?」
「魔法!?」
カセットコンロの火に驚く三人。
シュゴーー!勢い良く燃えるカセットコンロ。
「なんか買えました…」
こんな機能、なかったはずなのに…
追加機能 アイテム購入スキル
[死すべき定めの人間20105名の命を救った報酬として神から与えられたギフト。地球の商品を買える。
ただし1日1万円分まで 注:繰り越し可]
とARが表示してくれた。
「おおおおおおおおおお!!!!!」
始まった…俺の異世界無双ライフの始まりだ!!
これでこそ異世界転生モノの醍醐味!!
「カップラーメン!!ユウヒのビール!!!」
パソコンのネットショッピング画面がAR表示され、
俺はさっさと画面をクリックアンドスワイプして目的の物を探す。
「ねぇ…ルディがいきなりパントマイム始めたわよ」
「ルディ、壊れた」
「あんな興奮しているルディ、初めて見たわ」
とりあえずカップラーメンとビールを4つ購入する。
現れたカップラーメンとビールをアリシアさん達にも配る。
「な…なんて綺麗なコップなの!!」
金色のラベルのビールの缶のデザインに驚くアリシアさん
「それにこの軽いコップ?は何?」
くるくると回転させカップラーメンを調べるクラリスさん。
プシュッ!!
「いい匂いです!!なんですかこれは?」
無意識に缶ビールのプルタブを開けたリリアさん。
「私の国のエールですよ。とても喉越し爽やかです」
俺も我慢できずプルタブを開け、喉を鳴らしながら飲む!!
「くぁぁぁぁぁっっっ!!効くッッッ!!!」
数ヶ月ぶりのビール…涙が溢れるほど美味かった。
プシュッ、プシュッ。
アリシアさんとクラリスさんもプルタブを開ける。
そして一口と呑み…
「こ、これが天界のエール…お腹の中が熱くなる…」
「信じられない…もぉ死んでもいい…」
「これは…禁断の味です…これを知ったらもう他のエールは呑めません…」
「さぁ、お湯も湧きましたよ。これも私の国の食べ物でカップラーメンと言います」
透明のビニールに驚きながら蓋をあける三人。
そしてお湯を注ぎ、体感で三分間待つ。
「これはスープと一緒啜るように食べてください」
スズズッ!!
…あぁ。日本に帰ってきたようだ…この味は俺のソウルフードだ。
アリシアさん達も、俺の真似をしながら遠慮しがちにスススッと音を立てないように食べる…
「「「!!!!」」」
一口食べた瞬間!目を見開く三人。
ズバババッズバババと勢い良く食べ始める。
スープまで完食!!
「「「おかわり!!!!」」」
アイテム購入スキルの上限ギリギリまでカップラーメンを買ってみんなで食べ続けた。
俺は、この時のカップラーメンとビールの美味さは生涯忘れる事はないだろう…
読んでくれてありがとうございます!




