第2部 旅立ち
火竜を倒しホッとしたのもつかの間。
王都に不穏な噂が流れ神官達がルディを疑い始める…
「私は天使さまじゃありません!!」
火竜討伐から1ヶ月。
ここ最近、毎日のように俺たちリリィフラワーの拠点である宿屋に神官達が押しかけてくるようになった。
「悪いね…ウチの客どもがルディちゃんの事を天使だって言ったせいで…」
頭を下げる宿屋の主人。
そう、ここの客どもが俺の事を
「ルディちゃんマジ天使!」
とチャネラーのように騒ぎ立てたせいで、それが噂となり王都にある聖堂教会に伝わり、噂の真偽を確かめる為、神官が連日のように俺に会いにくるようになった。
その神官に噂の内容を聞くと…
なんでも、この宿屋には天使が毎晩現れ、その甘美な歌声で夜な夜な大勢の宿泊客を元気づけていると言った感じの内容だった…
まぁ、男の一部を元気にしてるのは間違いではないのだが。
「ヤバイなぁ…アーデルさんが来たらさすがにバレるだろうし…」
馬車を共にした事もあるイーリス教の司祭アーデルさんには何度も王都で会っている。
顔を見られたら1発でバレるだろう。
「ならしばらく私の故郷で暮らす?」
とクラリスさんが助け船を出してくれた。
「それ良いですね!」
ほとぼりが冷めるまで街をでるのは悪くない。
「クラリスの村かぁ1年ぐらい行ってないわね」
神官を追い出しながらアリシアさんが言った。
「犬族の村は親切で良い所です。」
とリリアさん。
クラリスさんは犬族の獣人だ。
獣人と言っても犬耳と尻尾があるだけで見た目は普通の人間と変わらない。
むしろちょこんと垂れた犬耳が可愛い美女だ。
「クラリスの村はここから徒歩で1週間ぐらいね」
1週間!?かなりあるな。
「今から買い出しに行きましょう!」
久しぶりの遠出が嬉しいらしく張り切るリリアさん。
いつもなら最小限の荷物だけで遠征するらしいが、
今回は俺と言う荷物持ちがいるので、豪華に行くらしい。
みんなが買い込んだものを、胸のアイテムボックスに詰め込む。
なんか女だけで行くキャンプみたいでワクワクする。
女同士で星空を見上げながらムフフな事をしたり…
女になって良かった!!
こうして次の日の早朝。泣きながら引き止める宿屋の主人に3か月ほど旅に出ると伝えて出発した!
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