天使の帰還
火竜とともに爆散したルディアル。
必死の捜索する騎士団達だか…ルディアルの姿はどこにもなかった。
「ルディィ!!」
今まさに炎を吐こうとする火竜の口内に飛び込むルディアルの姿を少し離れた崖の上からアリシア達は見ていた。
「な、何よ…あれ…」
真っ青な顔でガクガクと震えるクラリス。
「身体が…半分なかった…」
ルディアルの頑丈さを知っているリリアには、下半身が千切れた今のルディアルの姿はどうしても信じられなかった。
次の瞬間!!
火竜の上半身が一瞬、膨張し…次の瞬間には衝撃波を伴う破裂音とともにが吹き飛んでいた。
ドサッとヒザが崩れ落ちるアリシア。
「うおおおおおお!!」
勝鬨をあげる騎士団。
そしてルディアルが今の爆発に巻き込まれた事に気がついたのだろう。
慌ててルディアルを探し始め動き出す騎士団。
アリシア達もその捜索に加わる。
捜索は三日間続けられたが何一つ見つけられなかった…
1週間後。
王都で火竜討伐の祭りが開かれた。
そして、それは今回ただ一人の犠牲者であるルディアルへの感謝と冥福の祈りを込めた儀式でもあった。
城門にはルディアルが斬り落とした火竜の二対の翼がルディアルの威光を伝える遺物として後世に残される事になった
その二対の翼を眺めながら、失意の表情で拠点であるギルドの街に帰還するアリシア達。
「天使は不死身なんだよね…?」
神官であるクラリスに尋ねるリリア。
「天使様の魂は永遠です。地上でのお役目を果たした天使様は天界に帰られるのです」
「もう…この世にいないって事!?それって死んだのと変わらないじゃない!!」
ボロボロと涙を流すアリシア。
天使だけどおっちょこちょいで…
ゴリラと戦えば正常位で組み倒され、熊と戦えば駅弁スタイルで担ぎ上げられ、グレートライガーと戦えば後背位で押し倒されたルディの姿が思い浮かぶ。
ルディの思い出話をしながら、半日かけてギルドの街に戻ったアリシア達。
ここでも火竜討伐と天使の話で盛り上がり、ギルド併設の酒場は大繁盛していた。
飲む気にもならずアリシア達は宿屋に戻った。
「お、アリシアさん達、1週間ぶり!」
宿屋の主人が明るく出迎える。
「帰りが遅くなってごめんなさい。でも今日はそんな気分じゃないからアレはしないわ」
暗い表情で宿屋の店主と話すクラリス。
「え!そうなのかい!?さっきルディちゃんやる気満々で精力剤買っていったよ?」
「「「えええ!!!」」」
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