なぜ帝国の皇太子と聞くと悪だとなるのか。
話の流れがわかってもらいたくである程度話数は書きます。
普段は別サイトで話を投稿しているので、趣味の趣味みたいな実験的な物なので更新が途絶えたら、あ忙しいのかなとでも思ってください。
俺はクラスメートたちを秘密裏に護衛兼監視している。そんな義理も義務もないのが現状ではあるが、女神の契約上この世界の管理を現地人目線で担当させられている。そのため、他のよりもフライングで5年ほど先に生を受けているが、容姿はほぼ同世代と変わらない姿をさせてもらっている。女神いわく。
『もしクラスメートに会ったときにオッサンだったら会いづらいでしょうが。』
とのことだ。
浅く広く?のコミュ障に会うなんて選択肢はないもんなんだけど。
そうこうするうちに目的の場所についてしまった。おれが静かに降り立ったのは王都ツェッペの王族御用達の学園中庭。ここにクラスメートが7人ばかし在籍している。一応俺も裏口入学で在籍させている。もちろんモブとして。転生したからといっても日本時代の顔つきではないので鑑定さえされなければ近くにいたところで気が付かれない。それに女神の加護というか恩恵で偽装スキルを持っているから尚更バレないだろう。着いてそうそう俺はまっすぐ自分の教室へ向かう。もちろん一年生の教室だ。
先程も言った通りこの学園に在籍しているのは7人。みんな元が日本人ということもあって自身の成長に余念がない。転生者以外から特にこの学園の教師陣から黄金の世代と呼称されるほどに。そのため、基本的にクラス分けは各クラスが同じ平均となるように構成させるところをこのクラスに一纏めにしたらしい。
まぁ、生徒同士で切磋琢磨してほしいらしいがラノベしかり漫画然りの「僕達に彼らに教えることあります?」状態なのだろう。「むしろ僕達が教わりたい」とも言っていた気がする。そしてさらにはこの世界では珍しく彼らがどのように育ってきたのかわかれば今後の我が校の教育方針も確率すると思ったらしくカモフラージュもかけて教室に常に二人の従者がいる始末。
おっと話してるそばから1人来ましたよっと。鷹の眼と聞き耳スキルを発動しつつ俺は机に突っ伏す。
来たのは数名の男子生徒を囲って現れる隣国のガジスタング帝国皇太子イバレス・セラ・ガジスタング。武闘国家とも呼ばれる力こそ全てと呼んでいる脳筋帝国の次代の賢帝様である。帝国の気質柄というか血筋でどうも魔法に対する適正が低いらしくその風潮強いらしいが、この次代賢帝様は魔法の素養に長けている。もちろん、腕にも自信アリと文武両道らしい完璧主義者と……聞こえはいいが、その実は中身が日本男児なのだから、参考には並んだろ。まぁ女神も親しい人間に転生させると言っていたから素体的にはあってるよな、性格が煮詰めすぎて悪い方転びそうだけど。なんで帝国ってくると傲慢な悪の化身みたいなイメージが出てくるのか。
ん?あれなんか近づいてね?
「おい、起きろ。その席俺とかわれ!」
してやったり顔の同級生。賢帝じゃねぇ暴君やん。皇太子はどこが偉いんじゃ。まぁ前世の性格上お前はそういうやつだったよな。仕方がない。
俺は立ち上がり、1番後ろの廊下側にいた席からあたり暗躍とは程遠い窓側の席へと移動する。もちろん、席に付けば突っ伏すOK?
しかし、ナツメよ。こうも傲慢だと敵作るから気をつけろよ。
イバレス・セラ・ガジスタングこと前世桐生ナツメはクラスに一人はいる陽キャの1人。がき大将の気質は申し分なく、自分の正当性を頭ごなしに主張するやつだった。本人はクラスを率いるための優しさらしいが、お前はみんながみんなそう何度もバスケしたいとは思わねぇんだよ。課外実習の休憩の合間合間にどこから持ってきたのかバスケットボールを取り出せば、男子全員をバスケに誘いやがって…陰キャな俺はアウトドア派じゃねぇんだから。こいつは監視からマジで外したい。まぁでも今の現状を見るとアイツも可哀想になってはいる。取り巻きが誰もがナツメを持ち上げる係だストッパーがいない。この世界トップの王族クラスなのだからそんな馴れ馴れしくはできないのが当然だし、取り巻きたちも取り巻きたちで将来を見据えてパイプがほしいのもわかるが親や従者をそばに置けないこの状況で取り巻きたちは切り捨てればハイ終わりとなるがナツメだけはそうはいかんだろうに…可愛そうである。そんなストッパーも一応近くにはいる。いつの間にかナツメと取り巻きの前に陣取ってしきりに目配せしてる人物。彼女は男爵家バルトラ家の長女ルシーラ・バルトラ。前世は、谷津星奏……男である。
ストッパーを女にするなや。なんの意図や。カップルにでもして皇太子を尻に敷かれる算段か、おい。
ちょっと安直過ぎません。暗躍して奏な人となりはプライバシーに関わることはあまり見ないようには避けてはいたけど、本人相当ショックだったんだからな赤ん坊の頃は見えてなかったから疑念しか抱かなかったものを立てるようになって自分が着せられるものに違和感覚えて、むっちゃ努力して立派な淑女にお成りになったんだぞ。もちろん転生補正で魔法に対する能力はこのクラス女子生徒の上位を争うが。ナツメも気がつけよ。目の前に転生者でお前の唯一無二の親友だぞ。
夜にぼやいてるお前の親友だ。アチャ〜、取り巻きのほうが目をつけちゃったよ。
「おい、女。さっきからチラチラと目障りだぞ、次代の賢帝様にお近づきになりたいからと言ってそんな貧相な体では貴様とはあいなれんぞ。」
あぁ、取り巻きくんそんな舐め回すように奏くんを見ちゃって…嫌悪感丸出しだよ。虎の威を借る狐…ナツメの威圧を我が物顔で…。あっ、ナツメくんを奏くんが睨む。立ち上がって悪態を吐き捨てて、えっこっちに座るんですか…まぁ、近くは嫌だよな…。ナツメ君はと…おぉ、顔をこちらに向けんな。何呆けた…いや惚けたのか?女神…お前の思惑通りになったみたいだぞ。ただまぁ、取り巻きにしてやられた状況直ぐに近づけないのか、今度はそっちがこっちをチラチラするんじゃない。
奏くん、ガンバ。