デリマール王国の状況
デリマール王国で起きている状況の話。後半はエレバスの話です。
グレースが隣国に行って1ヵ月がたった。デリマール王国では、災害続きだった。ある地域では大地が枯れあるところでは、豪雨などがあった。それらの報告が王城に届きベルモンドは、頭を悩ませていた。そんな時ある人物から手紙が届く。
「ベルモンド殿下大変です。」
大臣が慌てて執務室にやって来た。
「何事だ。また被害報告か。」
しかし次の報告は、
「国王陛下から手紙が届きました。」
「何。まさか。」
手紙を受け取ると確かに国王陛下からの手紙だった。国王陛下は、王妃と旅行中のはずだ。封を切り読み始めた
『わが息子ベルモンド・デリマール
ベルモンドよお主は、とんでもないことをしてくれたな。私のところにとある手紙が来た。勝手に聖女の就任式を行いグレース・シャルロット嬢に証拠もなく偽物扱いをし婚約破談。さらにダリア・オーガストを聖女に就任され婚約を結んだ。手紙によるとグレース嬢が聖女を辞めてからデリマール王国が災害が起き始めた。まるで真の聖女がいなくなった影響のように感じる。この話は、帰ってからゆっくり話すことにする。今王国に戻るところだ。おとなしく待っていろよ。
デリマール王国 国王 デズモンド・デリマール』
その手紙の内容に真っ青になる。どうして国王が知っているのか分からなかった。実はベルモンドの弟でデリマール王国第2王子のセオドラ・デリマールが手紙を出したのだ。セオドラは、兄のベルモンドの婚約者グレースのことを本当の姉のように慕っていた。セオドラ、婚約者マリーナとよく遊んでもらっていた。グレースが婚約破談された時から国王を呼び戻そうとしていた。しかし手紙を出したからすぐに気づかれてしまう。そこで友達のハトのクルンに手伝ってもらった。グレースと一緒に動物とふれあった時に仲良くなったハト。クルンの足に手紙をつけ届けてもらった。その手紙を受け取った国王。その後すぐにルイバート王国の国王からも手紙が届いた。それはルイバート王国にいるシャルロット公爵達から話を聞いた国王がデズモンドに手紙を出したのだ。2つの手紙で真実を知った国王がベルモンドに手紙を出し帰ろうとしていたのだ。
「どうしよう。父上が帰ってくる。」
「どうしようもないですよ。」
「ダリアこそが真の聖女だ。」
ベルモンドは、怒鳴り付ける。しかし大臣が
「しかし少し疑問が。」
「疑問。どこがだ。」
「確かにグレース嬢が聖女を辞めてから災害が起き始めました。それとダリア嬢も教会で祈りを捧げています。けど一向によくなっているとは思えません。」
その言葉にベルモンドが
「それはバートンの奴がアリーシャの涙のペンダントをどこかに隠したからだ。あれさえあればダリアの力が高まるはずだった。」
それはつい1週間前のこと。ダリアは、教会で祈りを捧げていたが大神官のバートンがあることを言った。グレースこそが聖女だと。ダリアは、ベルモンドに泣きついた。それに腹を立てて、バートンをクビにした。そしてビーガンが大神官に就任した。教会の弟子達は、15人いたのだかその内10人も辞めていった。元々弟子達は、孤児だった。教会で面倒をみていた。皆バートンのことを本当の親のように慕っていたからだ。残りの5人は、ビーガン派のため残ったのだ。
「バートンは、どこに行ったのだ。場所を聞いておけばよかった。」
大臣も同情するように頷き
「まったくです。しかしあのペンダントを探さないとですね。」
「ちなみにダリアは、今何をしているのだ。」
大臣は、ため息をつきながら
「王妃教育です。それがダリア嬢は、グレース嬢を侍女にするから必要ないから教育を受けないと言っておりました。しかし侍女の付き添いが常にあるわけでないからと言い聞かせ受けてもらっています。」
「そうか。ちなみに教育は、順調なのか?。」
「全然進んでいません。まぁ没落寸前の男爵家の令嬢だからです。幼い頃から教育を受けていたグレース嬢のようには、いきませんね。」
ベルモンドは、頭をかきながら悩む
「何故うまくいかないのだ。」
一方こちらは、エレバス王国。グレースは、自室でのんびりしていると大臣がやって来た。
「わたくしにお客様ですか?。」
「はい。大聖堂までお越しください。」
グレースは、アンリとオリビアに手伝ってもらって準備をしてレバス大聖堂へ向かった。そして大聖堂に着くとディオンが出迎えた
「グレース様。お待ちしておりました。」
ディオンの案内で向かうとそこには、
「大神官様!!」
「グレース様。お久しぶりです。」
デリマール王国の教会の大神官バートン・リバイヤとその弟子10人がいた。
「どうしてエレバス王国にいるのですか?。」
バートンは、気まずそうに
「実は少しトラブルで」
バートンは、語り始めた。ここにいる理由。デリマール王国の状況。
「まさか。そんなことが起きていたなんて。」
「我々は、ダリア嬢が聖女とは思っていません。しかし殿下は、聞く耳を持たないのです。」
少し怒りが込み上げる。
「実はセオドラ殿下から聞いたのですが。殿下は、国王陛下に手紙を出したと。そろそろ国王陛下から返事が来る頃かとおそらく戻ってくるでしょう。」
「全てベルモンド殿下の独断ですものね。バートン様達は、これからどうするのですか。」
「実は、ここで雇ってもらうことになったのです。」
驚き聞き返す。
「ディオン様本当ですか?。」
「はい。実は、知り合いなのです。若い頃旅をしていたバートンとビーガンと出会い少しの間一緒に過ごしたのです。兄上やレパードそれにマークとも顔馴染みなので。しかしビーガンが欲深かったなんて思わなかった。昔は真面目で素直だったのに。」
ディオンもビーガンの行動に驚いていたようだ。
「それにしてもよかったですわ。」
「ありがとうございます。それにそのペンダントは、グレース様に託してよかったです。」
グレースは、ある疑問を聞く
「バートン様は、エレバスの伝説を知っていたのですか?。」
バートンは、静かに頷き
「ディオン達から聞いていたので。あなたが生まれた時から伝説を信じていましたから。しかしエレバスにどうやって向かうのかは、ずっと疑問でしたけど。」
ジーク殿下に相談した。そして婚約者としてエレバスに託そうと思ったらしい。バートンやジークに改めて感謝をした。
忙しい日々が続きいよいよジークの婚約者のお披露目の夜会が近づいてきた。夜会では、ジュリアの復帰祝いとグレースの紹介をするのだ。ジュリアは、夜会に向けてダンスを練習している。ずっと療養していたからあまり踊ったことがない。しかしジュリアは、めげずに頑張っている。グレースも同じくダンスの練習やエレバスの貴族のことを勉強している。皆が支えてくれているので気合いを入れて頑張っている。
そして夜会の当日を迎えようとしていた。
次回グレースが婚約者として初めての夜会の話です。