エレバス王国へ
エレバス王国へ向けて旅立ちの物語です。
そして夕方。グレースは、エレバス王国へ旅立とうとしていた。侍女のアンリそれから飼い猫のルルを一緒に連れていく。ルルは、グレースが13歳のころ屋敷に迷いこんだ黒猫の女の子。子猫で怪我をしていたので手当てをした。それから大事にお世話をした。グレースは、幼いころから動物の言葉が分かる。ずっとグレースにお仕えしているアンリも同じく言葉が分かる。そして準備を終え出発しようとしていた。
「お父様。お母様。お兄様。お気をつけください。」
「グレース。元気でね。」
「アンリもしっかりな。」
「旦那様。おまかせください。」
「ジーク殿下。2人をよろしくお願いいたします。」
「はい。おまかせください。それでは出発します。」
ケビンが考えた作戦は、しばらく表向きは傷心旅行。実際のところは、グレースは、エレバスへ。公爵達は、ティリーがいるルイバート王国のディオーネ公爵に身を寄せる。
出発してグレースは、アリーシャの涙を見つめる。
『グレース不安なの。』
「ルル?。」
『家族と離ればなれで不安でしょ。』
「確かに不安よ。でもアンリとルルがいるから大丈夫。」
その会話にアンリも
「そうですよ。旦那様達がいないのは寂しいですよ。でもルルがいるだけで心強いですよ。」
アンリが励ます。
『確かに。私もグレースとアンリがいないと寂しい。一緒にエレバスに行くのが楽しみ。』
「ありがとうルル。」
その光景を不思議そうに見ているジーク。
視線に気がついたグレースが
「ジーク殿下。どうかなさいましたか?。」
グレースが首をかしげていると
「いやいや。普通に動物と話をしているのが不思議でね。」
くすくす笑うジーク。
「確かにそうかもしれませんね。」
楽しく会話をしながらエレバスを目指す。
その日の夜。デリマールの王城のベルモンドの執務室。ベルモンドとビーガンそれからダリアがいた。
「グレースのやつそうとうショックだろうな。」
「その通りですよ。しばらく立ち直れないと思います。」
その会話にダリアが入ってきて
「ところでグレース様がわたくしの侍女してくれるのですよね。いつ侍女にしてくれるのですか?。」
ダリアは、目をキラキラさせながら期待している。
「ダリア嬢落ち着いてください。まずグレース嬢のところへ行って侍女になるように説得してきます。まぁ殿下からの頼みですし引き受けるでしょ。」
「楽しみですわ。」
そして次の日。グレース達は、王都から離れている地域を進んでいた。順調に行けば3日後には国境を超える。
「お父様は、旅行中の国王陛下達と連絡を取ろうとしていますけどうまく行くでしょうか?。」
「確かに。あの婚約破談は、ベルモンド殿下の独断でしょ。国王夫妻達の留守の時を狙ったのでしょう。婚約破談それから聖女の就任式での断罪。おそらく国王陛下に連絡がいかないように手を打っているでしょう。」
いろいろ考えていると
「セオドラ殿下からの連絡も抑えているでしょうね。」
ベルモンドの弟セオドラ・デリマール。デリマール王国の第2王子。グレースとアンリは、王城へ訪れていたのでよく話をしている。
「セオドラ殿下が無事ならいいのですけど。」
その日の午後。ベルモンドの執務室。
「いなかった。」
「はい。部下達の報告によると公爵達誰1人留守だそうです。」
その報告で苛立ちを見せるベルモンド。
「どこにいるのだ。」
「使用人の話によると公爵達は、グレース嬢の傷心旅行へと出掛けたそうです。」
その会話にダリアが入ってきて
「旅行の行き先はどこですか?。」
「それは、分かりませんでした。おそらくルイバート王国かと思われます。」
ダリアは、首をかしげて
「ルイバート王国?。なぜ隣国なの。」
「グレース嬢の姉であるティリー嬢がルイバート王国のディオーネ公爵に嫁いでいるからです。」
ダリアは、笑顔になり
「場所が分かっているのならすぐにグレース様だけを連れてきてください。」
「ダリアそれはダメだ。」
ベルモンドがダリアの意見に反対をした。
「ベルモンド様なぜなの。」
「ディオーネ公爵家は、ルイバート王国の国王陛下の弟。そしてその息子モーリス・ディオーネにティリー嬢が嫁いでいるのだ。しかもディオーネ公爵家は、第2の王家とも言われている。手を出すとルイバート王国の国王達を敵に回すことになる。」
ベルモンドの言葉に真っ青になるダリア。
「とにかく旅行から戻るのを待つしかない。それからビーガン。父上達には絶対知られないようにしろよ。」
「仰せのままに。」
それから3日後。グレース達は、無事に国境を超えエレバス王国に入ったのだった。
「ようこそエレバス王国へ。」
「どんな国かしら楽しみだわ。」
そしてエレバス王国の王城を目指すのだった。
次回エレバス王国で起きている問題と対面。