グレースのお披露目の夜会
婚約者としてお披露目の夜会です。
夜会の当日がやって来た。朝から王城は、慌ただしかった。大広間は、掃除をしたり飾り付けのセッティング。厨房では、夜会で出す料理の仕込みをしていた。グレースは、ウィルソン達と打ち合わせをし最終確認を行う。オリバーなとの騎士達は、警備に向けてそちらも最終確認を行う。午後からは、少し余裕があるので自室で休憩する。
「ふぅーーー。」
アンリとオリビアが紅茶の準備をしながら
「グレース様。紅茶を飲んで落ち着きましょう。」
紅茶を差し出す。
「ありがとう。本番は、夜だから頑張らないとね。」
ゆっくり紅茶を飲んで
「でも大丈夫かしら?。」
その言葉にアンリとオリビアは、顔を見合せて
「どうかしましたか?。」
グレースは、不安そうな表情で
「わたくしは、貴族の皆さんにどう思われているのかしら。もしかして国民達に認められないのではと考えてしまうの。」
「そんなことは、ありませんよグレース様。」
アンリとオリビアが否定する。
「自信を持ってください。それとマーク様経由で大臣から聞いたのですがグレース様結構人気があるようですよ。」
その言葉に驚く。
「それはどう言う意味ですか?。」
「だって国民達の流行り病を治したのですから。皆グレース様を女神様と呼んでいるそうですよ。」
必死にグレースを励ます。
「ありがとう2人とも少し落ち着いてきたわ。」
それから数時間後。夜会に向けて準備を開始。ドレスに着替え髪を整えメイクをする。そして招待された貴族達が続々と集まってきた。
「いよいよですねグレース様。」
「そうね。大丈夫かしら?。」
「自信を持ってください。」
するとジークがやって来た。
「準備は、できているね。さぁ行こうか」
「はい。」
グレースは、ジークのエスコートで会場に向かう。会場では、夜会が始まろうとしていた。ウィルソンが挨拶をする。
「今日は、集まってくれて感謝をする。まずは、わが娘ジュリアが戻ってきた。」
ジュリアが出てきて挨拶をする。
「皆様ごきげんよう。お久しぶりですわ。」
皆がざわざわして
「ジュリア王女だわ。」
「お元気になられてよかったわ。」
「顔色もよく安心だ。」
それらのやり取りを見計らって会場の扉が開く。そしてジークとグレースが入場してきた。その光景を見ていた皆が
「あの方がグレース嬢か。」
「すごく美しいですわ。」
皆が絶賛していた。そしてジークとグレースは、ファーストダンスを踊る。その美しさに皆が虜になる。その光景をを見ていたディオン達が
「グレース様美しいですな。」
「ジーク殿下も立派に成長しているな。」
「ジュリア王女も元気になってよかった。」
すごく感動している。その光景を見ていたレイナが
「お祖父様、ディオン様、マーク様。3人って涙もろかったでしたっけ。」
少しドン引きしている。
ダンスが終わり拍手が起こる。その拍手にグレースは、戸惑う。
「すごいですわ。」
「皆がグレースを歓迎してくれているのだよ。」
ジークが優しく呟く。少し嬉しくなった。
それから貴族達の挨拶。
「ジーク殿下グレース様おめでとうございます。」
「グレース嬢ありがとうございます。あなたのおかげで娘達は、健康になりました。」
「グレース様あなたは、命の恩人です。」
「グレース様まさにあなたは、女神様ですわ。」
皆がグレースに感謝を述べる。グレースは、驚く。こんなにも慕われていたなんて。グレースは、思った。エレバス王国に来て良かったと。それから皆はパーティーを楽しんだ。ジュリアの周りには令嬢達が集まり
「ジュリア様お久しぶりですわ。」
「お元気になられてよかったわ。」
「またいつかお茶会を開きましょう。」
「皆様ありがとうございますわ。」
あっという間に楽しい時間が過ぎお開きになろうとしていた。すると見知らぬ3人が出てきた。
「あれは、誰かしら?。」
「見たことないですな。」
3人は、ジークとグレースの近くへ行くと
「ジーク殿下グレース嬢婚約おめでとうございます。」
2人は、慌てて挨拶をする。
「ありがとうございます。ところであなた達は、誰ですか?。」
3人は、笑いながら
「この姿は、見たことがないからの。分からなくて当然だ。」
体が光だしたと思ったからそこには、アリーシャとペルナスとユリーネの姿があった。貴族達は、騒然。
「まさか精霊様。」
「アリーシャ様が現れるなんて。」
「そなた達にお祝いを言うために来たのじゃ。」
「ありがとうございます。」
皆にとって思い出に残る夜会となった。
それから3週間後のデリマール王国。国王陛下は、戻るところだが災害の影響で国境近くで足止め。国王陛下が戻ってくるので焦るベルモンド。そんな時思いもよらない報告が舞い込んでくる。
「なんだと。グレースがエレバス王国のジーク殿下の婚約者になった。」
大臣がおそるおそる報告をする。
「はい。信じがたいですが事実です。」
「くそ。公爵達この俺を騙しやがって。」
「グレース嬢を連れ戻すのは、不可能になりました。」
ベルモンドは、机をバンっとたたいて怒鳴る。
「嫌だ。何とか連れ戻す方法を考えろ。」
「無理ですよ。王城にいるのですよ。国際問題になります。そんなことをしたら国王陛下に何をされるか分かりません。」
ベルモンドは、ため息をつきながら
「じゃあグレースが不幸になる方法を考えろ」
大臣は、首をかしげながら
「不幸ですか?。」
「グレースが不幸になればエレバスにいずらくなるだろう。」
グレースを巡って波乱の展開が待ち受けていたのだ。
次回グレース宛に贈り物。しかし謎めいた秘密が待ち受けていた。