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1・過去の涙は捨てます

軽く


軽く

最後に結局、謝ってしまった。


「母さん、ごめん。」


最後は、ありがとうって言えればよかったのに。


母さんも、謝ってばかりいた。


「ごめんなさい。こんな、病気になるなんて私が丈夫に産んでやれなかったから。」

「ごめんね。代わってあげられなくて。」


どれだけ、母さんが謝っても泣いても運命は変わらなかった。


会社の検診で、『要再検査』って言われても27歳。


仕事もそうそう休めない。

何より、今まで病気になんてしたことがない健康体。

身体には、自信があった。

運動もしてたし、どこかに不調も感じていなかった。

どこかで、信じていなかったし、怖かったのかもしれない。

本当に悪い病気だったらどうしようって。


そして、3ヶ月たって再検査の用紙を持って病院行って

それからは、早かった。


結果は、1週間後くらいかな・・って思っていたら

その当日に

MRIの画像とか見せられて


少し時間が飛んだと思う。

周りの音が全て消えて一瞬、診察室に1人になった。


それからは、霞が掛かったように日が過ぎた。


「ご家族は?」


とか言われて、故郷から親を呼んだ。

泣くんだろうな。とか考えていた。


病院で結果と治療の話があった。


母は、ただ泣いた。

父は、絶句した。


会社は、辞めた。


実家に帰った。


両親は、他の病院に行けば何か治療がと知り合いに尋ねたりした。


結果は、同じ。

ただ、残り時間が違うだけの検査結果。


薬を飲みながら、家で過ごした。


地元の友達は、急に帰ってきた俺に


「仕事ヤバかったのか?」

「失恋か?」


なかなか、病気だって言えなかった。


だって、自分でも認められなくて信じられなくて

まだ、霞の中にいたから。


ふじのやまい・・・。


何それ・・・・。


(不治の病)なんだ俺。


霞が晴れたのは、本当に痛み始めてから。


悲しむ親を見て

思ったのは、結婚してなくて良かった。

子供いなくて良かった、だった。


こんなに悲しませて。


親不孝って、言葉を噛み締めた。


いや、普通に30位で結婚して子供は2人くらいで。って、考えていた。


大体、彼女はいつもいた。

結構、普通に結婚したいって言われた事もあったし。

次に付き合う子とは結婚を考えようって思ってた。

慎重に、結婚を考える彼女を探していたから

今は、彼女いなかった。

彼女がいたら、病気になった俺の事どう思っただろう。

本当に、今彼女がいなくて良かった。


彼女が居ない事喜ぶ日が来るなんて思っても見なかった。


日常が飛び去った。


昔、おめでたい事


『親が死に、そして子が死に、孫死に』


何が?って思った。

けど、そうなんだ。


泣く親を見てそう思う。


これからも、生きていればあの子は30とか50とか

近所の同級生を見ては、あの子もこうやって結婚して孫を見せてとか

思うんだろうな。


結婚もせず、子供も持てないかもしれないけれど。

親ってのは、死んだ子の歳を数えるらしいから。


姉貴がいて良かった。


姉たちは、もう結婚して子供も2人ずつ。


1番年上の姪っ子が今7歳。


俺の事、覚えていてくれるだろうか?

微妙だな。


おじさんが、1人減るって事はお年玉に響くだろう。

などと、自分が子供だった時の事を考えて

少し貯めていた結婚資金なるものから

姪っ子や甥っ子にお年玉や、入学祝いを渡して欲しいなんて言って

親をまた泣かせた。


大した貯金はなくて

葬式代も出るかどうか。

なのに、短い時間に色々考えた。


どうでもいい事ばかり。


家での時間はあっという間に過ぎた。


若いと進行が早いって言われて

見た目にも、病気だろうなってわかるくらいに痩せて


その頃には、友達も来て泣いた。


変な信仰の信者や、宗教の勧誘の人も来る。


弱っているから、母が揺らいだ。

父も縋りたそうだった。


でも、揺らいでも縋っても治るだけの時間がなかった。

家に帰って、たった2ヶ月。

病院のベッドで一週間。


親に泣かれなが


俺は死んだ。


27歳6ヶ月と2日。


親を泣かせて。


結構、チャラク楽しく生きて。


で、転生したっぽいです。






短く終わります

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