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第7話「ドネスロン、鈍に沈む」(5/8)


『エイディ、追っ手減った!?』

『3機減って残りは6機。ただし……』


エイディは言葉を切ってレーダーに視線を落とす。

ウェンの支援を得ての攻撃で、こちらを追ってくる9機の敵を6機にまで減らすことは出来た。

しかし、その前方……基地からは更に敵が出撃、エイディ達へと迫ってきていたのだ。


『南から4機、この速度なら1分後にはお互いの射程距離だ』

『うぅ〜、意外と戦力残ってんじゃん!』

『うーん……ただ戦力が残っているにしては小出しなような……?』

『……ねえ、見えてきたんだけどアレって砲艦じゃないの?』


ウェンの言葉通り、遠目にうっすらと複数の砲艦や輸送艦が目の前を遮るように停艦しているのが見える。

しかし、あちらから動いてくる様子は見られない。


『ふむ……防壁代わりかな?』

『何それめんどっ! 流石に2機と支援機で砲艦の相手なんて……』

『艦橋を潰せば大人しくなるでしょ。もしくは砲座』

『乱暴だけど正しいね。防壁の役割に徹するなら、艦体を動かす必要は無いから……先に狙うなら砲座かな?』

『なら、エイディがさっきみたいにズバンと狙い撃っ……どわぁ!?』


調子の良いノノの言葉を、大きな衝撃が遮った。

接近してきた敵の放った砲弾が、ノノ機に直撃したのだ。

しかし、それでいながらノノ機の損傷はほんの僅かであり、その装甲の堅牢さを物語っている。


『……人がお喋りしてるトコにさぁ……」


ノノ機はよろめきながらも大地を踏み締めて立ち上がり、剣を両手で引き抜いた。

大砲の直撃をものともしないその姿に、敵も流石に足を止めてたじろぐ。


『舌噛み切っちゃうかと思ったじゃん! お作法(マナー)ってもんがあんでしょがぁあっ!!』


『戦闘中に作法(マナー)も何も』

『うん、無いわよね』


やや呆れながらも、エイディとウェンは怒りのまま突進していくノノに追従する。

“アフサーブ”が機関砲や誘導弾を乱射して敵の陣形を乱したところへ、ノノ機が突っ込んで両腕の剣を振り回す。

上から、右から、左から暴風雨のように打ちつける剣戟はみるみる内に敵を追い詰め、やがて尻餅をつくように転倒させた。

そしてそこへ、エイディ機がクロスボウによる射撃でとどめを刺す。


「よおっし、次!」


意気揚々と剣を振るい、次なる敵に斬りかかるノノ。

先程と同じようにウェンとエイディの援護を受け、次から次へと敵を破壊していく。

必死の応戦も虚しく、残る敵は瞬く間にあと1機。

そして、その敵に深く突き刺した剣を引き抜いたその時、ノノがある事に気付いた。


『……あれ? そういや追っ手は?』

『確かに、さっきから背中が変に静かね』

『ふむ……妙だね、近寄って来ない』


エイディの言葉通り、先程まで彼らを追っていた6機の敵はぴたりと足を止めていた。

エイディ機のレーダーにギリギリかかる程度の距離で、頑として動かない。

それを不審に眺めていたエイディだったが、直後にレーダーが更なる異常を示す警告音を鳴らした。

高熱源の発生を表すその反応は、ほぼ真南の方角、《ドネスロン基地》のやや手前から発せられている。

今、その位置に存在しているものと言えば……。

直後、エイディは弾かれたように顔を上げ、2人に向けて叫んだ。


『っ、2人とも! 射線から退くんだっ! 砲艦が撃つぞ!』

『っ!』


その声を受けて2人が反射的に飛び退くのとほぼ同時に、辺り一帯に落雷のような轟音が鳴り響く。

そしてほんの少し間を開けて、赤熱した円錐系の砲弾が3つ高速で飛来し、そのまま地面に叩きつけられた。

直後に砲弾が爆ぜ、眩い閃光と共に巨大な爆炎を生み出す。

半球状に広がる爆炎が、3機の影を飲み込んでいく……。


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