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お稽古する巫女さん

 雑居ビルの3階に入っているお(こと)の教室に向かいます。

生田流(いくたりゅう)箏曲・北斗会 ここが目的の場所です。


そもそも箏とはなにか? 箏とは日本の伝統的な楽器の一つで、13本の弦(糸)が張られている楽器です。

琴柱と呼ばれるパーツを立てることで音程を調整し、爪を指にはめて演奏します。

柔らかく美しい音色が特徴的ですね。

お箏には大きく『生田流(いくたりゅう)』『山田流(やまだりゅう)』という二つの流派があります。


お箏を弾く時に使用する爪と呼ばれる道具に違いがあったり、弾き方などに違いがあります。

生田流の爪は四角く、山田流の爪は先が尖ったような丸い形をしています。

その他にも違いは色々ありますが、どちらの流派もお箏の歴史には欠かせない素敵な流派です。


お箏を始めるのに当たって必要なものは。

お箏本体

琴柱(箏に立てて、音を調整する器具)


お箏本体

教室やカルチャースクールの場合は貸し出しがあったりするので、必ずしも買う必要はありません。

自宅でも練習したい場合は必要です。(お教室によっては自宅用の練習箏がレンタル可能なところもあります)


和楽器屋さんで買う場合は糸や琴柱や台などがセットになっていたりします。

購入する時の一覧に書いてあるので安心して買うことができます。値段ですが、新品だと初心者向けで5~8万円、中・上級者向けだと10~20万円くらいのものが多いです。


琴柱

琴柱は弦の音程を調整するのに使用する器具です。 箏の上に置き、琴柱の溝に糸を乗せ挟むようにして固定し、位置をずらすことで弦の音を調整します。


琴柱も和楽器屋さんで買うことができます。

プラスチックや象牙といった材質のものがあり、結構値段の幅もあります。

プラスチックのものだと5千円くらいから、象牙だと1万円を超え、高いものだと3万円を超えたりします。 オークションでもたくさん出品されていますが、全部揃っていなかったりする場合があるので注意が必要しましょう。


爪は箏を弾くためのパーツで、指にはめて使います。

爪も和楽器屋さんで買うことができます。 爪本体と指にはめる爪輪というパーツをセットで売っている場合もあればバラバラに売っている場合もあるので、お店の人に相談してみましょう。


箏用の台

箏を演奏する時に箏を置くことができる台で、座って演奏する際の台と立って演奏する際の台などがあります。

爪などに比べどの台でも大きさに違いはなかったりするので、インターネットなどで購入しても問題ないと思います。

しかし、どの台を使うかは時と場合や流派によって違ったりするので、流派に入門する場合は先生などに聞いてから買うと良いかと思います。

立って弾く為の台だと15,000円程度で、座って弾くものだと3,000円くらいで買えます。


その他の付属品

他には譜面台(ふめんだい)(楽譜を置く台)や爪、琴柱をしまうケースや箏をしまうケースなどもあります。

全て買い揃える必要はないと思いますが、持ち運ぶ可能性がある場合は箏ケースは持っていて損はないかと思います。

付属品も和楽器屋さんやインターネットで買うことができます。

箏のケースは素材や重さが違うので、可能なら実物を見てから買ったほうがいいと思います。

ケースは7,000円前後で買えます。 持ち運ぶ際にぶつけたりする可能性もあるので、厚手のものだと安心です。


さてさて、基礎知識も語った所で教室に入りましょう。

教室で待っていたのは、箏曲演奏家でもある森田先生です。 御年(おんとし)60代のにこやかな笑みを絶やさない方です。

うちの神社との関わりも深く、お祭りごとなんかでは協力を頼む事も多いです。


「よろしくお願いします」


「よろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いします」


挨拶を終えれば早速練習に入ります。


まずは基本的な事を思い出しましょう。


まずは箏爪をはめましょう。 箏爪は3つ一組になっており、右手の親指・人差し指・中指にそれぞれ指の腹に箏爪が来るようにはめます。

はめる際は、黒い輪の部分を持って指にはめましょう。

これは、爪の部分を持ってはめようとすると余分な負荷がかかり、爪が破損してしまう可能性があるためです。

なお、左利きの方であっても右手に爪をはめて演奏します。 左利き仕様の箏というものも特にありません。


次にお箏の前に正座します。 『龍角(りゅうかく)』(絃を支えている部分)の延長線上に腰骨が来る位置に座ります。

続いて下半身を左斜め45°回転させます。その際、右膝は『(いそ)』(お箏の側面)につけます。


なぜ斜めに座るかというと、生田流で用いる箏爪は四角い形をしており、この爪の角を絃に触れやすくするためです。 上半身は前かがみにならないように背筋を伸ばしましょう。

山田流の場合は箏に対して正面に座ります。


床に正座して演奏する『座奏(ざそう)』でも、椅子に座って演奏する『立奏(りっそう)』でも座り方は同じです。


ここでお箏の部位についてお話しましょう。 お箏は、架空の生き物である『龍』に見立てて各部の名称が付けられています。

演奏する側の先端部分は、龍の頭に見立てて『龍頭(りゅうとう)』という名称が付いており、絃を支えている部分を『龍角』、絃を通している穴の部分を『龍眼(りゅうがん)』といいます。

龍頭の断面部分は『龍舌(りゅうぜつ)』といい、普段は『口前(くちまえ)』という専用カバーを付けて保護しています。


演奏する側とは反対部分を『龍尾(りゅうび)』といい、絃を支えている部分を『雲角(うんかく)』といいます。


胴の上面は『龍甲(りゅうこう)』、側面は『磯』といいます。


そして、裏面は『龍腹(りゅうふく)』といい、内部には様々な手法で彫りが施されています。


最後に、箏には絃が13本張ってあり、奏者の向こう側から一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、()()(きん)と数えます。


11~13番目の絃には特別な名称が付いていますが、これは楽譜に「十一」と記載されていた場合、11番目の絃のことを示しているのか、10番目と1番目の絃のことを示しているのか区別がつかないためです。(十二と十三についても同様)


斗、為、巾という名称は、かつて(じん)()(れい)()(しん)(ぶん)()()(らん)(しょう)()()(きん)と呼ばれていたことに由来します。


そして正しい姿勢で座れたら、肩の力を抜き右手は肩から親指の箏爪の左角に向かって自然にカーブを描くように丸みをつけます。


手のひらは柔らかく曲げ(卵を包み込むようなイメージ)、余分な力を入れないようにしましょう。

爪をあてる位置は、龍角から3~4cm左の所です。

そして左手は膝の上に置き、指先を13本目(巾)の糸にそっと乗せます。


これで演奏の準備は完了です。

次は早速弾いてみましょうか。


続く




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