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『白髪』

作者: Zimmer Volkovsky

友人の呟きからインスピレーションを受けて書きました。


感想やコメント等は気軽にお願いします✨


[作者のTwitter]

@Lazyboy_vol22


[創作アカウント]

@Volkovsky_22

貴方が私の白髪を見つけた時のことを覚えていますでしょうか。



子供達を寝かせた後にペチカ(暖炉)の前のソファに座り、2人だけでたわいの無い会話をするその時間は私にとって、とても幸せな時間でした。


『シェーヴィル、ここに1本白髪があるみたい。』


『あら、私も歳になったのね。』


その時、貴方は小さなハサミでチョキンとその仲間外れを切ってくれました。




初めて貴方に会ったのはお互いが14の時でしたね。

当時おてんば娘だった私を恐れるように、義父の背中に隠れながら深くフードを被っていた事を今でもよく覚えています。


初めてフードの下の絹の様な白い髪を目にした時、この世のものでは無いような神秘的な美しさに衝撃を受けました。

だって私の自慢のブロンドの髪よりもずっと魅力的だったんだもの。


時が過ぎるのも早くて、私の髪の毛は綺麗に真っ白になりました。

段々と髪の毛が白くなることに初めこそは自分の老いを感じて怖かったのですが、鏡の前に立つと何故か貴方のことを思い出すの。


貴方の髪のような艶はないし、毛先が傷んでしまっているけれどもこの白髪に触れると貴方と一緒にいたあの頃を思い出して青い気持ちになるの。


バイクの後ろに乗せてキラキラと光る海へ連れて行ってくれたり、一緒に大きなパズルを完成させたり、大きなパフェをほうばったり…そして2人の子宝にも恵まれました。

あの時私達は学生だったから贅沢は出来なかったけれどそれでも私は貴方といれたことがとても幸せでした。



今はヴィスナーは日本でイラスト関係の会社に就職し、彼の夢だった日本のアニメ制作に携わっています。

アプリェーリは素敵な奥さんとの間に天使のような可愛らしい子供が出来て子育てに大忙しです。


だから今はソファに座ってお話をする相手が居なくて少し寂しいのよ。

なので今日は貴方にお手紙を書いてみたの。


貴方が居なくなって30年経つけれどずっと貴方のことが恋しいです。

貴方のところへ逝くのはまだ少し先のことになるけれど、天国の女の子に浮気しちゃダメよ?




愛するスニェークへ

愛をこめて、シェーヴィルより

作者である自分はラブレターなんて書いたことはありませんから、書いてると段々と恥ずかしいような気持ちになりました。儚いようで健気で可愛らしいお婆ちゃんの姿を思い浮かべてくれたら嬉しいと思いながら手紙のように書きました。


作中に出てくるスニェークは戦死し、2人の息子と妻であるシェーヴィルを残して若くして逝ってしまいます。

国によっては今でも戦争へ行って帰って来ない人達が大勢います。それでなくても髪の毛が白くなるまで人生を共にできない人は沢山います。だから周りの人は大切にしなくちゃね。


作品の名前である『白髪』ですがあえてルビを打つことはしませんでした。

しらが、と読むこともはくはつと読むこともできると思います。それは読者である貴方に解釈は任せます。

ありがとうございました。

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