きっと忘れてしまう
スマートフォンの電子音は、同じ曲を繰り返す。
目覚めた私は夢を、まだ覚えている気がした。
でもそれは、気がしているだけなのかもしれないな。
窓を開け、夜と朝が入り混じった様な空を見上げると私だけが世界でただ一人起きている。という錯覚に陥る。
スマホを手に取りゲームのログインボーナスを貰う。会社でもこのボーナスが欲しい。
二度寝をしたい。
甘いもの、パンケーキを食べたい。
そんな子供みたいな事をウトウトと考える。
そんな妄想もそろそろお開きにしようか。
私はもう、子供では無いのだから。
夜は過ぎてしまったのだから。
デジタル時計はとてもゆっくりと数字を刻んでいく。
私はまだ眠い頭で考え続ける。
最近読んでたミステリーの、犯人は一体誰なんだろう?
昨日数えた羊は何匹?
そもそもどうして眠るときに羊を数えるの?
そんなきっと2時間も経てば、きっと忘れてしまう事を、私はぼんやりと考えた。
大きくあくびをし、背伸びをした。
おはよう。太陽
おやすみ。満月
心の中でお辞儀をし、私は大人のひとらしく今日の予定を考えてみる事にしたのだ。