マガツの強さ
「あっ、来た」
「遅いよー」
城に入ると杉原さんとレナがいた。
「いまさっき終わったばっかだっての、そっちは早かったな」
「まあね、今日は基本的なところだけ教えてもらったからね」
「そうか」
「んじゃ、飯食いに行こうぜ」
俺たちは、食堂へと向かった。
相変わらずの中世ヨーロッパのような食事を堪能した。
「このあとどうする?」
食事を終えたあと桜井が聞いてきた。
「そうだな、俺は疲れたし部屋に戻るよ」
「そうか」
「そう言えば、ケビンなんだけどさ」
「誰よ、その人」
「ん?ああ、二人は違ったから知らないか。俺たちの特訓をした人だよ。んで、何だよマガツ」
「いや、思ったほど強くなくてな。オヤジならもっと速く打ち込んでくるだろうから」
「まぁ、おまえのオヤジさんに比べたらな」
「そうなのか?」
「あの人に勝てるのは、化物か怪物だけだろ」
「なんで?」
「お前は知らないだろうがな、あの人自身が化物だからだよ。いまだに道場破りが100人くらい来てその全員をその場から動かず、片手で倒したんだろ」
「それくらい普通だろ?」
俺はそう言って皆の方を向いた。
皆、苦笑いをしていた。
「普通は道場破りに100人も来ないよ」
「その上、その場から動かず片手で全員倒したなんてありえないから」
「そんなやつとケビンを・・・というか普通の人間と比べられないだろ」
あれ?そうなの?
「お前は、あれだろ。産まれてからあの人の修行受けてたんだろ?だといたら、この城の中でお前に勝てる奴なんていないだろ」
「そうか、んじゃこれからここを出るまでの訓練はどうしようか」
「適当にやればいいだろ?」
「それもそうだな」
「ちょっと聞いてもいいかな?」
杉原さんがおずおずと聞いてきた。
「何?」
「マガツ君のお父さんってどういう人なの?」
「どうって、訓練ばっかりやってる人だったな」
「それはマガツから見たらだろ。俺から見れば訓練は厳しいけど普段は優しい人だよ」
「そうなんですか」
そうやって話していると分かれ道まで来た。
「じゃあ、私達はこっちだから」
「また、明日ね」
「ああ、また明日」
俺たちはそう言って部屋に戻った。